五、レイテ島タクロバン爆撃
その日の午後、比島東方海上に出現した敵機動部隊薄暮攻撃の命が出た。午後四時頃、戦隊全機出動した。私は航空兵としての初陣である。
敵艦船からの対空砲火は、どんなものか我々は誰一人知らないのである。戦隊の先輩達も陸上攻撃の経験は幾度となく積んでいるが艦船攻撃は全く初めてなのだ。
だが我が戦隊は大東亜戦争勃発以来、破竹の勢いでニューギニアまで前進し、かくかくたる戦果を揚げた戦隊である。雷撃は初めてとはいえ海軍に負けてなるものかと意気盛んであった。
私が入営のため郷里を断つ時、親父