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ユーズド・ワイフ(Used wife)

私の2歳年下の従弟が監督をした作品で、柴田昌弘の漫画「枯葉の街」に発想を得た特撮作品。漫画「枯葉の街」は行きすぎた男尊女卑の結果、女性は人工的に作られる社会で、中古車屋ならぬ中古ワイフ屋や新ワイフディーラーで大量の女性キャストが売買される社会を描いたものですが、そのまま映像化したら大量の女性キャストが必要で、悲しいかな彼の自主映画では無理なので売買される中古女性を家事用中古ロボットに置き換えて、スタッフみんなで持ち寄ったモビルスーツや超合金やフィギュアなどのロボット模型で代用して中古ロボット屋のシーンを撮影しています。本編ヒロインのミユキもロボットの設定ですが、主人公には当時大学生の女性をキャスティングしています。確か主役のミユキ役にはギャラ代わりに「ここはグリーンウッド」の単行本を当時発刊分全部を提供したと聞いています。基本的にこの映画の出演女性はみな監督の従姉妹です。彼の映像課題に親戚が集まって協力して出来たのがこの映画なのです。容姿か身長が足りなくて本編出演不可にされた私が言うのだから間違いありません。父方の叔父叔母が7人にイトコが20人いた昭和だから出来る話です。主人公はロボットの彼女を妻のように扱いますが、周囲から見たら、あくまでメイドか介護のロボットでしかなく「中古妻」と悪口を言われているという設定で映像を撮っています。
ただロボットといっても身体の数ヶ所にマジックで線を書き入れ、手足にアルミホイルやアルミテープを巻いて作ったロボットパーツを装着するだけの簡易な表現を用いています。
クライマックスシーンでは反ロボット同盟によってヒロインミユキがまるで「デビルマン」の牧村ミキのように壊され晒し首(さすがに槍に突き刺すのはやらないで梟首で表現されています。梟首ならダミーヘッド作らなくてもごまかせる利点もあります)にされます。主人公はミユキの生首を抱きかかえて泣きながら気を失います。ラストシーンは主人公の部屋にあるバックアップ用のハードディスクのアクセスランプが点滅してミユキの再生を予感させて物語は終わります。
バックアップ用にミユキとパソコン繋ぐのがRS232Cケーブルだったり、パソコンがFM TOWNSⅡUXだったりと仕方ないけど古くさい描写が残念なところです。
結果として柴田昌弘原作では女性を自動車に例えたところを女性をパソコンに例える作品になっています。
1991年に千田町で行ったささやかな上映会で公開した作品で25分の長編作品です。監督やスタッフが解説するのがセットになった上映会でした。知り合いばかりの半分飲み会兼ねた上映会でしたが。
従弟は無事課題提出を果たし進級しました。卒業後は町役場の公務員になり平成の大合併で中堅市の職員になれました。ちなみに親族会議の結果、本映画は(特にヒロイン役の要求で)封印作品となっています。
タイトルはロバート・ゼメキスのユーズド・カーからインスパイア。

女性型家事アンドロイド ミユキ
本編はこんな美女ではありません
本編のロボットパーツは手足のみ制作
女性型家事用アンドロイドが普通にいる世界
左から二人目が私7歳 真ん中が主演女優ミユキ 右端がこの映画の監督 

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