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短歌

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2021年2月の記事一覧

2月第四週に詠んだ短歌

また一人星の鼓動に導かれメンバー募集のチラシが揺れる 

またひとつ世界が狂う高橋の代わりに死んだ鳩の右足

三島から通学してる寺島の定期をちょっと見たいと思う

泣きながら頭を下げる店員に渡せなかったバンドエイド

一組が白衣で歩く四組は制服のまま両端に寄る

2月第三週に詠んだ短歌

一斉に落とす缶ペン振り向いた顔が昨日の子役に似てた

適当な受け身を取って踊り場の床にはいつも消しカスがある

35ページ以降は無事だった来週からは受ける数学

上履きで渋谷を歩くマルキューも今日は私を見下している

制服を着ているだけじゃ生徒にはなれない長い十分休み

色彩が失われてもアネモネを摘んで窓辺に飾る生活

青空が貼り付いた手で返されたボールはやがて八月の季語

それつまりメイドでしょ

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2月第二週に詠んだ短歌

君を待つ時間もデート丸の内線に揺られる君はかわいい

水捌けの悪い街だね今日も寝癖が取れないね君に会えるね

人類の人類による人類のための愚かさなんじゃないかな

すれ違う人全員がみきちゃんに見えてしまって元通学路

2月第一週に詠んだ短歌

パスポート取らないままで成人し海の向こうにはサンタクロース

王子様みたいなキスで目が覚める私はただの派遣社員だ

泣くことは想定されず雨や汗、テカリに強いものが売られる

僕たちは背中合わせで別々の星座を見つけ教えあってた

奈良県の中央だよと奈良県を場所を知らない奈央が答える

豆乳が意外と流行り鬼ヶ島ドトール一号店が開店

方南町行きと気付かず三限の話でずっと盛り上がってた

地平線目指すよ

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コメダ珈琲店

びっしりと書かれたメモを隠しつつ研修中の君の接客

ミニシロノワールひとつと復唱す君の瞳は熱意溢れて

オーダーは何故か英語でラージワン、ラージワンと呪文のように

ゆっくりとナイフを入れるあなたともこんな感じで別れたいけど

受験生ここから受かれ駅前の東進なんか行かなくていい

いつ来ても変わらない場所東京にあってよかったコメダ珈琲