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三浦豪太の探検学校

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冒険心や探究心溢れる三浦豪太が世の中について語った日本経済新聞の連載記事「三浦豪太の探検学校」(2019年3月に最終章)の、リバイバル版。わずか11歳でキリマンジャロを登頂。フリ…
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#スキー

適正ジャッジあってこそ

2013年11月9日日経新聞夕刊に掲載されたのです  先週、国立スポーツ科学センターで行われたFIS(国際スキー連盟)フリースタイルAレベルジャッジクリニックに行ってきた。  フリースタイルスキーは現在5種目ある。モーグル、エアリアル、ハーフパイプ、スロープスタイル、そしてスキークロスだ。これらの競技はスキークロスを除いて、すべてジャッジの採点によって競技が進められる。  そのため、こうしたジャッジの判断基準を理解することは、今後のフリースタイル競技の流れを知るためにも重要

スキー仲間と炊き出し

2011年7月2日日経新聞夕刊に掲載されたものです。  宮城県塩釜からフェリーに乗り、松島湾の中にある桂島に仲間のスキーヤーと炊き出しに行った。  今回の支援炊き出しを呼びかけたのは、2003年初代スキークロスワールドカップ(W杯)王者の滝沢宏臣選手、トリノ・バンクーバー五輪アルペン日本代表選手である佐々木明選手ら。僕らの仲間でもあるモーグル・スキーハーフパイプ日本代表の畑中みゆき選手が普段から復興支援を手伝っている彼女の地元塩釜の桂島に行くことになった。  さらに基礎スキ

原点見つめなおす

2011年1月8日日経新聞夕刊に掲載されたものです。  札幌テイネ山でのスキー三昧が、僕が小学校のころからの三浦家の正しい正月の過ごし方だ。  しかし現役選手だったときは、世界中を巡るワールドカップ(W杯)が欧州で始まり、年を越すとすぐに北米戦が行われる。お正月をのんびり過ごすわけにはいかず当時、僕はのんきに年越しそばなどを食べている家族がうらやましく思えたものだ。  年末年始に現役真っただ中の後輩である里谷多英選手と附田雄剛選手がテイネに練習にやってきた。彼らはテイネ山

自然と人の境目

2011年2月12日日経新聞夕刊に掲載されたものです。  朝7時、朝日がコースをオレンジ色に照らし始めたころ、新潟・苗場スキー場のパトロール隊の仕事が始まる。苗場には都会的なイメージがあるけれど、実は極めてワイルドなスキー場だ。  特に上部は急斜面が多く、場所によっては雪崩の危険もある。パトロールはそれらを一つずつ回り、危ない箇所を事前に崩したり、亀裂の距離を測ったり、と毎日のモニターが欠かせない。そして危険と判断するとロープを張り進入を禁止する。  苗場で40年間パトロ

山頂から消えた氷河

2010年11月20日日経新聞夕刊に掲載されたものです。  キリマンジャロ山頂を目指した僕の友人たちの挑戦はギルマンズポイント(5681㍍)までだったが、僕の目的はここから先にあった。ギルマンズポイントはルート上、ちょうど火山のふちにあたる。  30年前、僕たち家族は火口の中へ降りて氷河の上でスキー滑走をした。氷河が消滅したと聞いた僕は今でもスキーができるか知りたかった。しかしギルマンズポイントからだと視界が利かず足場も悪いので、遠回りになるが火口をぐるりと周ってキリマン