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若手弁護士「ホンネ調査」Vol.5:“4大”出身者から見た三浦法律事務所とは? 4大法律事務所からの移籍コンビが語るホンネ(前編)

2019年創業の三浦法律事務所は2020年、新人弁護士採用を開始します。設立当初は3人しかいなかったアソシエイト弁護士も現在は9人まで増えました。当事務所に興味がある方や、ファーストキャリアの候補の1つとして当事務所を考えている方に少しでも事務所の雰囲気や若手弁護士としての働き方のイメージを持ってもらえるよう、アソシエイト弁護士にインタビューを敢行しました。それぞれが何を考え、何を求めて三浦法律事務所の門を叩いたのかを探ります。

第5回は、いわゆる“4大”と呼ばれる大手法律事務所の1つから移籍した大草康平弁護士と皆元大毅弁護士のインタビュー前編をお届けします。国内最大手の法律事務所から設立したばかりの事務所に移籍を決めた理由を中心に、彼らのホンネを探りました。

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(左から)大草 康平(おおくさ・こうへい)PROFILE:2015年弁護士登録(68期)。12年東京大学法学部卒業。15~20年2月西村あさひ法律事務所。17~19年経済産業省経済産業政策局産業組織課へ出向。20年3月に三浦法律事務所参画

皆元 大毅(かいもと・ひろき)PROFILE:2016年弁護士登録(69期)。15年慶應義塾大学法科大学院修了。16~20年1月西村あさひ法律事務所。20年2月に三浦法律事務所参画

――よっぽど何か惹かれるものがない限り国内最大手の法律事務所から(移籍当時)設立1年ちょっとの事務所に移籍はしないと思いますが、どこに魅力を感じましたか?内部に知り合いがいたということでもないんですよね?

大草 康平弁護士(以下、大草):三浦法律事務所ができたという噂は聞いていましたが中に親しい知り合いはいませんでしたし、事務所のことはあまりよく知りませんでした。

まず、前の事務所からの移籍を考え始めたのは、2017年から2年間の経済産業省への出向がきっかけです。出向中は法律事務所の以外の人と関わることも多く、その経験を通じて「パートナーからアサインされる案件に向き合うだけでいいのかな」と考えるようになりました。若手のうちはがむしゃらに案件に取り組むことで弁護士としてのスキルを磨くことも重要だと思いますが、出向経験を経て「もっと自分で営業したり、事務所の外を向いて仕事がしたい」という思いが強くなりました。

そこで転職を考えはじめたときにエージェントから三浦弁護士を紹介されました。三浦弁護士は大手の事務所がどんなところかを知っていますし、その上で50期代や60期代、70期代以降の若手弁護士が生き生きと働ける場を作りたいという思いから新しい事務所を立ち上げたという話を聞いて、すごくおもしろそうだなと感じました。また、アソシエイトでも個人受任が可能だということで、自分でクライアント開拓ができることも重要でした。

――大草弁護士は今年5年目ですし、弁護士になりたてだったころに設定した目標から一歩踏み込んで、新たな目標設定をする時期でしょうか。自分が将来どうなりたいかを考えつつ、そのために今どう動くかを考えるフェーズというか。

大草:そうですね。前の事務所を辞めずに留学するという選択肢も考えられましたが、もう少し国内で弁護士としての経験を積みたいと考え、転職を選びました。

――皆元弁護士は?

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皆元 大毅弁護士(以下、皆元):私も仕事が事務所内で完結していると感じたことはありました。また、転職を考え始めたタイミングは弁護士3年目だったので、まだまだ弁護士として経験を積む必要があると思い、そのためにはこれまで以上に案件に深く関わることができる環境が必要不可欠だと考えました。

転職活動をはじめる前は三浦法律事務所の存在すら知らなかったので、“案件に深くかかわることができる環境”が整っているかどうかは不安でしたが、「弁護士として成長するのに必要なのは良い案件と良い先輩だ」という三浦弁護士の言葉に共感し、最後はもうその言葉を信じようと思って飛び込みました。

――そうは言ってもやはり周りから止められたり、「もったいない」と言われたりしませんでしたか?

皆元:それは言われましたね。前の事務所も良い事務所なのは間違いないですし。でも、自分がどういう弁護士になりたいかということを考えると、“最大手の事務所から出る”ということについてもったいないとは思いませんでした。

日本で一番大きい事務所からできて間もない事務所に移籍となると、不確実な部分が大きいと思いましたが、三浦弁護士以外の弁護士ともいろいろな話をして、取り扱っている案件は大手法律事務所と遜色ないなと感じました。実際に案件の相手方に4大事務所が出てくることもありますし、そういう意味でもこれまでと近い環境で働きつつ、新しいことに挑戦できるのかなと感じました。

大草:私も周囲から「もったいない」と言われることはありましたが、弁護士が何百人も在籍する前の事務所ではほとんど面識がない弁護士も多くいましたし、自分の行動が事務所の運営に影響を与える度合いがとても小さいなと感じていて、もっと自分が事務所の一員だと感じられる場所の方がやりがいが大きいのではないかと思っていました。あとは皆元弁護士の話に“不確実”という言葉が出てきましたが、私はその“どうなるか分からない”、不確実な部分に魅力を感じ、参画を決めました。

皆元:私も不確実だからこそおもしろそうだな、楽しそうだなという思いが強かったですね。

――実際どうですか。楽しく働いてますか(笑)。

皆元:はい、そして自由度が高まりました。

大草:インフラ面においても、自宅で作業する環境がはじめから整っていましたし、きちんと自分の業務を全うすることが大前提ですが、「何時から何時まで事務所にいなければいけない」といったプレッシャーも感じず、働きやすいと感じます。

――「三浦法律事務所のいいとこ・わるいとこ」を教えてください。

皆元:アソシエイトを手厚くケアしようとするパートナーの姿勢はすごいなと思います。自分のキャパシティを超えそうになると手を差し伸べてくれるのでありがたいですが、忙しい中でも自分で考え抜いてやりきらなければならないときもあるはずなので、その意味では一長一短かなと思いますが、アソシエイトとしてはありがたいです。

大草:事務所の蔵書数は要改善ですね。今は引っ越し前(注:2021年末に拡張のため移転予定)でスペースの問題もあるので、事務所として所有する書籍数を絞って、足りない分は弁護士の個人所有の書籍を共有で使っています。その一方で書籍をオンラインで閲覧できるサービスの導入など、提案すれば柔軟に取り入れてもらっているので、こうした面は今後も改善案を出して充実させていきたいです。

皆元:これも仕方がないことなんですけど、やっぱり早く後輩がほしいですね(笑)。

――今年から新人採用を開始するので、たくさんの応募があるといいですね。やはりアソシエイトの数は足りないと感じますか?

皆元:今は、どの案件でも基本的に自分が一番下の期の弁護士として働いています。自分の年次に求められる仕事をやりつつ、誰かが拾わなければならない仕事もこなす必要があるので、「後輩が入ってくれると助かるなぁ」と思う場面がいくつかありました。とはいえ“ボール拾い”的な仕事も重要なので、引き続き自分ができる仕事を全うしつつ、アソシエイトの層が厚くなることも期待したいです。

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大草:確かにアソシエイトの人数が少ないので自分でいろいろと対応する必要もありますが、私はそこも一つのおもしろさだなと考えています。大変なこともありますが、それも含めておもしろさ・魅力なのかなと。三浦弁護士はじめ、先輩弁護士との距離がかなり近い状態で働くことができ、法律的アドバイスの内容だけでなく、クライアントへの対応の仕方なども含めて勉強になることが多いです。

皆元:それと、個人的にすごくいいところだなと思っているのは、横断的にいろんな分野の業務を経験できるところです。規模の大きい事務所は、取り扱う案件が特定の分野に偏る傾向があると思いますが、今は大体50人くらいの弁護士がいて、どの弁護士がどんな案件をやっているのかをなんとなく把握できます。気になる案件があればパートナーにアサインを直接相談できますので、さまざまな分野の案件を経験できる環境が整っていると思います。

――ほかの若手弁護士からも、いろんな分野の案件に入れるのは三浦法律事務所の良いところだという声があがりました。

皆元:その分、未経験の分野のリサーチは慣れないことも多いので時間がかかってしまうこともありますけどね。でも、自分の職域が広がっているという実感を持てます。

大草:私も幅広い分野の案件に携わることができるのは、この事務所の利点だと思います。以前の事務所ではM&A・コーポレートのチームに所属していましたが、訴訟・紛争もやってみたいなと思っていました。今はM&A・コーポレート案件をやりつつ、訴訟・紛争案件にも関わることができています。あとは消費者庁対応、不正調査、税務関連や、ベンチャー関連の案件など、これまでご縁がなかったような種類の案件にも携わることができ幅が広がっています。

皆元:もう1ついいなと思うところは、マーケットがどう動いているのかをより身近に感じられるようになった点です。前の事務所にいたころは、事務所自体が大きいので所内で対外的な見え方というのをあまり意識していませんでしたが、今は事務所が継続的にクライアントからご依頼をいただくためにも、また自分が弁護士として成長していくためにも、どのような形でマーケットに魅力的なコンテンツを発信できるかをより真剣に考えるようになりました。自分でどう動くべきか、という主体性が強まったとも言えます。

大草:あと、事務所の売り上げが月次レベルでアソシエイトにも開示されている点も、とても良いところだと思います。

――大滝弁護士・小林弁護士の回でもその話は出ていましたね。「とても驚いたけど、事務所の一員として頑張ろうという気持ちになる」と言っていました。

大草:事務所の売り上げや経費率といったことはパートナーだけで考えることだという認識が強かったのですが、それが可視化されることは「事務所の一員としてみているぞ」という強いメッセージだと感じますし、売り上げに貢献できるように頑張ろうというモチベーションにもつながります。

皆元:アソシエイトが事務所運営に携われるというのはすごいことだと思います。

大草:新オフィスのレイアウトをどうするかといったこともアソシエイトを含めて話し合うので、弁護士業務だけをしていたら学べないことも経験できます。

PHOTO : SHUHEI SHINE

(後編につづく)


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