義肢のヒルコ 第32話
☯
――葛原青葉と葛原青花の戦いが始まる。
闘技場には、陰陽院の生徒たちが集められていた。
五方の巫女である雀野朱火、虎谷鈴白、亀山玄海がいる。
順に炎のような赤色の眼と髪、清らかな白色の眼と髪、どこまでも吸い込む渦のような黒色の眼と髪をしている。
実は、もうひとり五方の巫女は存在するのだが、この闘技場には来ていないようだ。
「では、そろそろ始めましょうか」
この場を仕切るのは、五方の巫女である虎谷鈴白だ。
「ええ、始めましょう」
「じゃあ、りはっちゃん、銅鑼での合図を頼む」
「りはっちゃん……? まあ、いいでしょう。始めてください。……銅鑼を鳴らして!」
「はい!」
ゴォーン! 銅鑼を鳴らすことによる開始の合図が聞こえる。
「試合開始!」
俺と青葉ちゃんは、青花ちゃんと青花隊全員と、立ち向かっていく。
「先手必勝! 青花隊! 青龍の力を覚醒させて!」
『はい! 青花さま! 風の弾!』
風をまとう空気の弾が青花隊に所属する魂装師から放たれる。
「超吸収」
俺は自身に装着された神装具――千変万化の能力を発動させる。
千変万化に蛭子としての能力――吸収を付与し、千変万化で、さらに能力を解放させる。
それにより、すべての風の弾を吸収していく。
「お返しだ!」
風の弾を俺の能力で強化し、すべての魂装師に強化された風の弾を放った。
『――!』
青花隊の魂装師は、すべて気絶した。
「ええい! 役に立たないわね!」
青花は狼狽しながらも、自身の青龍魂珠の能力を解放していく。
「青龍之雷嵐!」
青花ちゃんの青龍魂珠が雷と嵐を引き起こし、青葉ちゃんに向けて放たれる。
「青葉ちゃん、今こそ力を使うときだ!」
「わかったよ、蛭子くん……青龍魂珠!」
青葉ちゃんの青龍魂珠が、この世界に顕現する。
「青龍之障壁!」
「――! なに、それ……」
青葉ちゃんは青龍之障壁を使って、青花ちゃんの青龍之雷嵐による攻撃を守った。
「こっちの番だよ! 青花お姉ちゃん! 青龍之暴風雨!」
青龍之雷嵐を超える術が発動される。
青花ちゃんも、青葉ちゃんと同じように守ろうとするが。
「こっちだって……青龍之障壁! ……ええっ……あああああぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!」
青龍之暴風雨は青花ちゃんの障壁を壊し、その術の中にある、落雷が青花ちゃんを貫く。
「…………!」
青花ちゃんは倒れた!
「……決まったようだね」
虎谷鈴白が審判の役目を終えようとする。
「勝者、葛原青葉っ!」
青葉ちゃんは、正式に五方の巫女になるための試練を乗り越えたのだった――。