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人間に助けられたアライグマの話

3年前、ニッキ・ロビンソンさんは道路脇でアライグマの赤ちゃんを見つけました。救助したものの、野生生物の保護施設はどこもいっぱいで、「獣医に安楽死させてもらう」か「拾った道路に戻すべき」とのことで、連れて行った診療所でも安楽死させるべきだと言われました。

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そこでニッキさんは、実母のリンダさんに白羽の矢を立てました。その2年前に友人が似たような状況で拾った別のアライグマの赤ちゃんを、リンダは育てて野生に戻した経験があったからです。

ニッキさんは野生生物の保護リハビリ施設で働きたいが当時は他でフルタイムの仕事に就いていたので、母のリンダさんに毎日の給餌を頼みました。

アライグマの赤ちゃんには頻繁な餌やりが必要で、世話や注意、そして愛情もたくさん必要でした。

リンダは躊躇したが「いつか生まれて子守をする孫の代わりだと思って♪」と娘に言われて引き受けてしまったのでした。

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とはいうものの、哺乳瓶でミルクを与えると愛らしい瞳でみつめながらゴクゴク飲むので、リンダはたちまちこの仔のトリコとなり、まるでアライグマのママになったような気分になりました。

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かくして、リトルハンズ (小さな手)と名付けられたその仔は広い庭で自由に放たれ、リンダによって育てられました。

一緒に育ったことのない人間や動物のことは非常に怖がったが、2人のもとには毎晩戻ってきました。

リンダは毎晩リトルハンズのために食べ物を残し、夜寝る前にポーチのブランコに座って待ちました。

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やって来るのはいつも夜で、寒くなるにつれだんだん来なくなりました。時には1ヶ月も現れなかった。ある晴れた日の夜に現れたが、2人が近づくと逃げたこともありました。

リトルハンズは来ると真っ先に、時には食べ物を嗅ぐより前に、ブランコに座っているリンダにすり寄り、そばに座って撫でてもらいたがります。とくに腰とあごをスリスリしてもらうのが好きです。

リンダはリトルハンズを愛して赤ちゃんのように育ててきました。

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赤ん坊だったリトルハンズが最初に見つかった時は、脱水状態で空腹な上に非常に怯えていたが、それでも十分に野生的でした。

拾われてから2か月半を2人のもとで過ごして成長し、完全なアライグマとして生きるために野生へ戻されました。

「リトルハンズは常に穏やかなアライグマでした。成熟してもなお、とても愛情ゆたかで思いやりがあります。しかしそれでも十分に野生的だから自分で生きていけるのです。」とニッキは言う。

そして、驚いたことに、リトルハンズは戻ってきました!

リトルハンズが戻ってくると親娘は本当に嬉しい。その後も戻ってくるたびに嬉しさが増しました。なぜなら、食べ物も欲しがるが、2人に甘えてくるのがとびっきり可愛いのです。

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こうして3年間続いています。

その後リンダ親娘が保護した他のアライグマたちは、みんな野生に帰りました。夜食べ物をねだりに来たり赤ちゃんを連れてきたりもするが、人間を怖がって2人には近づきません。

「リトルハンズは特別で、めっちゃ愛らしいんです!」と言いつつ、ニッキはなぜこの仔だけが戻ってすり寄ってくるのか推察しました。

「ここはいつでも彼らの家なの。ここなら簡単に食べ物にありつけると知っているから。けれど、満腹になる以上のもの・・ただ愛情だけを求めるアライグマもなかにはいるのです。」

「動物を救うことでやりがいを感じるのは、成長して学習し子供ができ成熟していくのを見れること。

最も難しい部分は、同時にこれは最良なことでもあるのですが、いつ野生に戻すかなの。解放される時点では十分自立できるのに、それでもたいていが屋外の囲いに閉じ込められてしまう。

私らが野生へ戻す場合はそうじゃないから、再びその姿を見れるかどうかはわからないのよ。」

リンダ親娘は他のアライグマの世話もしたが、リトルハンズほど頻繁に戻ってきて甘えてくれる仔はいませんでした。

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ニッキ親娘が今まで何匹の動物を救ったかって?

「5年間で合計15匹以上のアライグマを救ったと思います。他の動物たちも扱ったが、アライグマほど密には接しませんでした。

私と母は将来、野生生物リハビリセンターを公式に開設したいと考えており、いろんな種類の生物を扱うための資格取得とトレーニングに取り組んでいます。

でも結局はアライグマが中心になると思うわ。なぜなら、アライグマは自然界にたくさん存在しているけど誰も助けようとはしないから。どの動物にもチャンスは与えられなくちゃなりませんよね、ちがいますか?」

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ニッキはさらに自分のことも語りました。「自分自身にスポットライトを当てるのは好きではないけど、私はあらゆる種類の動物に情熱を注ぎます。獣医として数年働き、この仕事について教育を受けました。

動物が大好きなので仕事外でも野生動物を撮影したいの!野生生物を救って保護するには費用がかかるけれど、100%自己資金で賄わねばならないので、写真を販売してそのための資金を集めたいと思っています。」

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アライグマのリトル・ハンズは特別です。3年経ってもまだ・・すり寄ったり、ひっかいたり、そしてもちろん食べ物をもらうために、戻ってきます。

出典  https://www.instagram.com/red_pangolin/    all images used from: red_pangolin

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