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1人だって立ち上がる価値がある ーローザ・パークス
キング牧師より以前。
アメリカの黒人の権利を自らの身体を持って主張した女性がいました。それが、ローザ・パークスさんです。
彼女が生きた1900年代のアメリカは、白人と黒人の差別が酷く、街中の様々な場面で黒人は虐げられていました。
白人のために「立て」と言われるバス車内
当時、バスの中は白人と黒人で座る場所が法律によって区切られていました。
更に、白人の座るエリアが満席になると、黒人は自分の席を白人へ譲らなければなりませんでした。
席を譲るというこの行為は法律で決められたものではなく、ただ慣習としてみんなが行っていたものでした。
1955年のとある日。
百貨店で裁縫のしごとをしていたローザさんはバス通勤をしていました。
その日もいつもと同じように仕事の帰り道、バスに乗車していました。
だんだんとバス車内が混み合い、白人エリアが満席になりました。
すると、黒人エリアの最前列に座っていたローザさんは、運転手から立つように言われます。同じく最前列に座っていた他の3人も白人に席を譲るように言われ、立ち上がりました。
しかし、ローザさんは立つことを拒みました。
何度言っても立たないローザさんに向かって運転手が詰め寄ります。
「なぜ立たないのだ。」
「立つ必要は感じません。」
と、ローザさんは冷静に答えました。
「よろしい。立たないんなら警察を呼んで逮捕させるぞ』
と脅す運転手に向かって、ローザさんは、
「どうぞ、そうなさい」
と答えたのです。
乗り合わせた乗客の証言では、ローザさんは終始、静かで威厳に満ちた毅然な態度を貫いていたということでした。
自分に嘘をつかなかった
ローザさんはとても疲れていました。
仕事で身体が疲れていたのではありません。
黒人だからという理由だけで、自分の意志に反して屈服させられることにほとほと疲れていたのです。
彼女の身体と心は震えるほどに黒人への差別を拒絶していました。そして、その声をごまかすことはもうできませんでした。
というよりも、ローザさんは心の中でもうごまかさなと決めていました。もう肌の色だけで虐げられることに屈服しないのだと。
ふつうの女性だからこそ社会を変えた
バスの運転手は宣言通りに警察官を呼び、ローザさんは逮捕されてしまいます。しかし、翌日には釈放されました。
この事件は公民権運動のリーダーであったキング牧師の耳にすぐに入りました。
そして彼を筆頭に「バス・ボイコット運動」という大きなうねりとなって、1年後には法律を変えることまでできました。
実は同様のバス車内での悶着はこれまでもありましたが、素行の良くない黒人の男性が起こしたものでした。
事件の前から周囲の誰もが、普段のローザさんは口調が穏やかで信心深い、きちんとした女性だった。と述べています。
つまり、行動を起こしたローザさんが普段から真面目に仕事に励む一般の女性であったことで、多くの人の共感を呼び、ここまでの大きな動きへ発展していったのです。
文字通り、たった一人の普通の女性が起こした行動によって、アメリカ社会が変わりました。
元南アフリカの大統領であり黒人の人権擁護者であるネルソン・マンデラ氏 は、ローザさんについて、こう言いました。
「キングの前にローザ・パークスがいたのです。彼女がわれわれに息を吹き込んで、権利のために座り、抑圧者に直面しても恐れずにいることを教えてくれたのです」
参照:公民権闘争の重要な節目に 席を立つのを拒んだローザ・パークス(National Geographic)
:ローザ・パークス(Wikipedia)
:歴史を変えた日(やちだよう子 公明党議員HP)
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