ロボット人間

人間の個性として、その人が最も得意とする性格上の強み(良いところ)は三つあると言われている。たとえば、「優しさ」だったり「正しさ」だったり「我慢強さ」だったり。

そしてそれは幼少期から大人になるまでに遭遇した経験(ピンチ)から得た性格であって、生きていくため(大げさに言えば生存本能)に必要な能力と言われている。

三回の経験は、およそ幼少期3〜5歳くらいと12〜15歳くらい、そして18〜22歳くらいまでに遭遇し、その都度ピンチを乗り越えるたびに新しい性格を手に入れるという。

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さてこれを読んでいるあなた……。
自分の良いところ、強みを客観的に判断してみて欲しい。必ずその性格を手に入れたときに事件（ピンチ）があったはずなのだ。よーく思い出してみることで、自分を深く理解することができる。さあ……。

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たとえば、生まれてからずっと一緒に暮らしてきた君のお母さんが、ある日君を置き去りにしようとする事態(保育園で一番最初にやる慣れ保育みたいなやつ……。あるよね？)に遭遇したときって、まだ3歳だけど人生の大ピンチだよねw ここで 、

①泣きわめくことでお母さんを呼び戻す
②お母さんの言うことを信じて我慢する
③早々に他の子と仲よく遊び始める

など、性格に個性が現れるはずだ。
ひとりになったとき、ピンチをどう乗り切るかで個の性格が作られるからだ。
たとえば ③の人なら協調性をこのとき得たわけで、だれとでも仲よく遊ぶ姿をお母さんにみせて安心させる…延いては誰とでも上手くやっていく能力を目覚めさせたのだ。そしてこれが成功体験として自分に取り込まれ、たとえピンチが訪れてもこの能力（自分の良いところ）を活かしてしばらくは乗り切って成長してゆくことができる。

ところがある日、人の言うことをちゃんと聞かない我がまま放題の人と同じ班になり、にっちもさっちも行かない緊急事態が訪れる……。君は中学三年生だ。そのとき、

①論理的に説明して困ったちゃんを抑えこむ
②少々手荒だけど腕力と言葉で威圧して結局仲間になる
③存在感を消し、優秀な人の背後に付いて事なきを得る 

とか、君は新しい個性を手に入れてこの場をやり過ごすことに成功する。
※もちろん個性なので他にもいろいろな性格があるはずだよ。変な例文だけど、必ず良い方向で考えて。例えば③なら素直な性格とか指示どおりに動ける勤勉さとか… …。

そして22歳……。いよいよ就職活動で、君はお偉いさんと面接することに。そのとき、

①少々自分を過大評価して嘘を交えて説明し有利に導く
②正々堂々と正面から面接に立ち向かう勇気ある行動
③他もあるから多分大丈夫……。と、適当に受け答えしてラッキーに導く 

と、いままでで経験してきた自分の強みが通用しなくても、様々なピンチの乗り越え方に気づき、なんとかその場を切り抜けたはずだ。

すると、たとえば①-②-③(思ったことを行動に移せる強い意志と、少々強引だけど圧倒的な力で信頼があり、でも楽天的な性格も兼ね備えている)な人が出来上がる。
これはもちろん一例で、だけどおおよそこんな感じで人間は出来上がっていくと思う。
何度も言うけど、ピンチのときの成功体験が自分の強み(良いところ)になるのだ。

そしてここから先の人生は、ほとんど学習しないというか性格が出来上がっちゃってるので基本的には変わることがない。存在感を消して静かにピンチをやり過ごす人は、なにが起こっても一生そのまんまなのだ。 

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ここからが大事。

この、今まで培ってきた強み……。いわゆる自分を守ってきた三つの要素が、この先の人生で脅かされる事態にいつか必ず巻き込まれる。
それは成功体験の否定だ……。つまり、生存本能のピンチ(大げさに言えば死ぬかもしれない)なので、不安になるのは間違いない。現にコロナショックで精神がやられてる人は多いんじゃないかな？みんな少々怒りっぽくなっているよね？そして自分が普通じゃないなぁ……。なんて気が付いているはずだ。
そう、自分の強みって、実は弱みのウィークポイントでもあるのだ。

そうなったとき、攻撃的に変貌する人、鬱になる人、様々なパターンがあるけれど、多くの人は普通でいられなくなる。平常心が保てなくなるのだ。
どんなに我慢強い人でもイライラする。当たり前だ。生存本能が脅かされているのだから仕方ない。
けれど、上記で説明した「自分の強み」を理解していると、何故自分はイライラしているのかが客観的にわかるようになる。完ぺきな対処方法は見つからないけれど、機嫌良く過ごす方法をその都度探すことが出来る。原因がわかってる(自分の得意な性格が通用しない事態に巻き込まれている)ので、何もわからないよりだいぶマシなのだ。

自分が何にイライラしているのかを考える時に、ぜひこの思考法を思い出して欲しい。

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ここから先は余談として。

では最初に戻って、なぜお母さんに置き去りにされたとき暴れたのだろう…あるいは言うことをきいたのだろう。みんな同じ条件のはずなのに、てんでバラバラな反応をする。
これは個々のDNAに元々刻まれている情報に過ぎなくて、初めからそう反応するようにプログラムされていたからに他ならない。自分は自分だけの感情があると思ってるだろうけど、そんなことはない。生まれる前から、つまり最初からプログラムされていたのだ。

人間はロボットである。

どこかに腕をぶつけたら「痛い！」て思うけど、そんなの誰にも教わってないよね。初めてぶつけた場所であってもちゃんと痛いって反応する。本能…それは最初から''ぶつけたら痛い''という情報がプログラムされていたからそう反応するだけなのだ。 これは痛覚だけど、それ以外の感覚だって最初から人間にプリセットされている。

そう、人間はロボットである。

自分の感情は、最初からプログラムされた情報に過ぎないのだ。
いままでの全否定だけど……。人間の性格は勝ち得たものでなく、ただのプログラムに過ぎないのである。優しさも、正しさも、笑顔も、怒りも、哀しみも、そして感情が高ぶって流す涙ですら、それは最初からプリセットされたプログラムに過ぎない。
そしてそれは、生まれた国も人種すらも関係がない。

あなたもわたしも、ロボットにすぎないのだよ。