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可燃記

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可燃ごみの日(月・木)に書くことを目指す日記。
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2024年3月の記事一覧

2024/3/28 お土産の効能

2024/3/28 お土産の効能

人にものを教えるのが下手である。
明子が1分に何ページ本を読むのか、米Aは1kgいくらなのか、さとるが走るとたけしの自転車にいつ追いつけるのか、なんとなく必要な数字を前提から割り出してごちゃごちゃすれば答えが出るわけなのだが、その「ごちゃごちゃ」の説明がたどたどしくて子に伝わらない。
タスクをばらすんだよ。何をすればここに辿り着くのか、まず必要なタスクを洗い出してから小分けして並べて順番にだな、と

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2024/3/25 パノラマ

2024/3/25 パノラマ

酒を飲みながら洗濯物を畳んでいる。

前方ではテレビがついていて、木梨憲武が死ぬドラマをやっている。

ご飯をあげすぎてむくむくふくらんだかつて子猫だったものが、にゃごにゃご鳴きながらうろうろしている。

子どもの習い事のための裁縫がやりかけのままこたつの上に、氷結無糖のロング缶は汗をかいて、A4のコピー用紙にやりかけの計算が、ドリルの丸付けは途中で放棄して、怪談本は読み終わって、文芸誌は読みかけ

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2024/3/21 揺れない

2024/3/21 揺れない

地震があった、ということをSNSで知った。

なんだかあちこち切羽詰まっていて、朝からパソコンに張り付いてごそごそやっていた時間だ。打ち合わせが終わって、ぎゅーっと伸びて、blue skyだかthreadsだか開くと、みんな「揺れた」「緊急地震速報が鳴った」と騒いでいた。

ニュースサイトを開くとやっぱり地震の速報が出ている。家の辺りも結構揺れている様子。スマホの通知を開いてみたが、穏やかなもので

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2024/3/18 ざらざらとした粉にまかれる

2024/3/18 ざらざらとした粉にまかれる

登校班というものがある。
同じ小学校に通う子どもたちが集団で登校するというやつだ。
この辺りのものは任意の集団で、なんとなく近くに住む子どもたちがなんとなく集まって行く、というゆるいものだったが、まあ大体毎日なんとなく同じメンバーで登校していた。

ほんの数名の集団で、特にけんかすることもなく、それほど気が合わない者もおらず、そこそこ仲良く穏やかな関係である。その中の6年生も明日で卒業だ。聞けば一

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2024/03/14 粗くなるドット

2024/03/14 粗くなるドット

最近うっすらと目が見えにくい。眼鏡を作り直さねばならぬかと思うが、ひとまず画面の中のいろんなものの「+」ボタンを押しまくる。ワード、エクセル、ドキュメント、XD、全部200%ぐらいにして、さらにモニタのアームをぐいー、と伸ばして物理的に近づける。

40を超えて久しく、めっきり身体に対する解像度が落ちたような気がする。彩度が落ちた。ドットが粗くなった。いろんな言い方ができる。走れないし眠れないし起

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2024/3/11

2024/3/11

長男のドリルの採点をする。
赤ペンを持って、解答を左側にに置いて、正答なら左下から右上を通ってまた左下に戻るやり方で丸を、誤答ならレ点。

しゅ、しゅ、と赤ペンの先が紙を擦る音がする。採点を終えて、「はい、やり直しね」と渡すと、長男が炬燵の天板にがっくりと伏す。

わー、「お母さん」ぽい、と思う。

下唇を出す長男に、「こことここだけだよ、頑張んな」と言う。

ひゃー、「お母さん」ぽい。

子ども

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2024/3/4

2024/3/4

確定申告を終えた平日の、なんと眩しいことよ。
無敵である。

年度最後の個人面談のために小学校へ赴く。
さんざん迷って厚手の上着を着て外へ出ると、意外とあったかい。選択を誤ったか、と思う。(出掛けに長男に、「結構あったかいよ?」と言われたにも関わらず)

道にはいつもこの時間帯には見かけない、ジャージ姿の中学生たちがぞろぞろ歩いている。上履きとハンカチだけが入った小さいカバンをぶらぶら振りながら坂

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