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NとかSとか

何年前だったろう、我が家がお世話になっている保険屋さんの息子さんが“N高校”に入学したと聞いた時、「何処にあるんですか?」「“えぬ”ってどんな字を書くんですか?」などと無知を晒してしまったことがあった。通信制高校で、えぬはアルファベット、KADOKAWAとゲームの会社(後からドワンゴと知った)が経営していて授業は一人一台与えられるPCで、と。当時はネットで授業を受けられるなんて一部の有名予備校くらいで、高校の授業がネットでなんて先進的すぎて驚いたことを覚えている。今でこそコロナ禍でネットによる授業が珍しくなくなりつつあるが、あれ以来私の生活とN高校とに特に接点は無く聞いた話以上の知識は無かった。

先日朝日新聞に掲載された記事の中にN高校の文字を見つけた。それは『ドワンゴの救世主』というタイトルの、現ドワンゴCEOで“iモードの生みの親”こと夏野剛氏の数々の実績報告書のような全3回に渡る記事だった。斬新なアイディアは持っていても収益に結びつかない、そんな窮地のドワンゴを1年で再建。

“ドワンゴのゴーン”
“オタクの会社にやってきた大人のコーチ”

などの呼び名に思わずニヤニヤしてしまった。
そんな夏野氏が今後の柱に考えているのが、“角川ドワンゴ学園N高校”とのこと。
通信制高校というと、不登校の子の受け皿的なイメージがある。申し訳ないけど私はN高もそうだと思っていた。

ネットを駆使した未来の学校」N高は不登校の子に限らず既存の高校に飽きたらない生徒が集まる。プログラミングを学びたい子、スポーツ選手、そして、今年初めて東大合格者を出した。「ウチは母数(生徒数)が違う。やがて週刊誌の東大合格者ランキングに顔を出しますよ。」そう、今や生徒数は1万5千人もいるそうだ。進学実績が高校の信頼性に大きく関わるのなら、N高もそれをやっていこうとしているのだ。生徒数の増加を受けて、ドワンゴは高校新設の検討を始めた。これにいち早く働きかけた茨城県つくば市に、来年4月新しい高校の開校が決まったそうだ。その名もS高校。

コロナ禍でリモートワークが浸透したように、学校に通わずともネットでの高校生活もありなのかも知れない。それでも私はやっぱり、毎日友達や先生の顔を見て、一緒に笑ったり部活に入れ込んだり、たまには叱られたりしながら送る高校生活、誰かと関わることで得られる思い出、そんなものに愛着を感じてしまう。古い人間なのかもしれないな。

ところでNとかSとか、どういう意味なのだろう?
NにはNet、New、Necessary、Neutralなど、いろんな意味が含まれているそうだ。
SはSuper、Special、Shine、Spectacleなど。
生徒一人一人が自分だけのNやSを見つけられるようにという想いが込められている。
いつか本当に東大合格者ランキングに、開成や麻布と並んでNやSの文字を見かけたら、私はニンマリしてしまうだろう。

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