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トホホの朝


休日の朝。朝ごはんの準備をしてふと、ちゃま(うちの旦那さん)を見ると、トレーナーを前後ろに着て平気な顔をしていた。胸ポケットが背中に来ているのに、だ。
「前後ろだよ」と教えてあげると「え、そう?」私はトレーナーの首元を引っ張って、背中に来るはずのラベルを見せてあげる。「あれ、ホントだ」


前後ろが分かりにくい服も、確かにある。が、胸ポケットがあろうとなかろうと前後ろに着たら、何だかやけに首元が詰まってるなぁとかなって、着心地が悪いはずだ。
「気づかなかった?」
「うん、全然」
あぁ、ちゃまも病気をしたせいか、こんなこともわからなくなってしまったのかな、それとも元々ボタンの掛け違えとかも多い人だったから仕方ないのかな、などと一人で嘆く。


今日は休日だ。朝ごはんを食べて、シーツを洗濯機に入れて、それからゆっくり着替える。この季節、気温と着る服の調整が難しい。寒いからと言ってあまり温かくしすぎないよう。はて、今日は何を着ようかな。着替えて、一応鏡で見てみる。ふと、腰のあたりに白いものが見えた。ん?何だ?


‥ラベルだった。私は肌着を、裏表に着ていた。はは、ははははは。ちゃまのこと、笑えない。私は一人嘆きながら正しく着直す。よし、これで良い。袖が鈴型に広がっている長袖カットソーに、半袖のトレーナーを重ね着した。あれ、なんだか首元のフィット感がいつもと違う気が‥鏡を見ながら服を前や後ろに引っ張ったり、襟元を調整したり。ま、こんなもんか、と鏡の前を離れようとしてふと首元に手をやると、なんとラベルが前にある。背中にくるはずのラベルが‥

‥‥‥‥‥。


はぁー!

ちゃまのことを嘆いていたが、私も人のこと言えないじゃん。これはもう、病気とか習慣とかじゃなく、年齢のせいだ。もう、それしかない。あぁ、イヤだイヤだと、朝から落ち込む。そういえばつい先日、自分のことを自分で年寄り扱いするのはやめようって思ったばっかりだった。


年齢のせいというのは撤回。
私が大人になったから、ってことにする。気持ちは大事。私は大人だから、間違いに気づけた。うん、それでいこう。


そんな感じで、休日が始まる。



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