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CO2排出量ゼロ・カーボンニュートラル電気ってどういうものだろう?

皆さんこんにちは、及川です。
今回は、先週の松下の「カーボンニュートラルLPガスってなんだろ?」の続編として、CO2排出量ゼロのカーボンニュートラル電気についてお話しします。

さて、皆さんに質問です。YES or NO、どちらでしょうか?

Q:ご家庭向けに販売されているCO2排出量ゼロの電気プランは、一般的に、全て太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーで作られた電気である!

答えはNOです。
※再生可能エネルギーにはバイオマス発電や地熱発電などもありますが今回は簡略化のため省きます。また、蓄電池などを活用し「YES」とする方法もありますが、「一般的に」ということで省略します。

太陽光発電は天気が良くないと発電量が落ち、夜は発電してくれません。また、風力発電も風の強弱により発電量が異なります。
このように太陽光発電や風力発電は、24時間365日、一定の発電量を約束してくれるものではありません。

何より太陽光発電や風力発電で発電された電気は、皆さんのご家庭に届くまでの間に、電線の中で火力発電など他の方法で発電された電気と混ざってしまいます。

したがいまして、CO2排出量ゼロの電気プランを契約したからといっても、実際に使っている電気が太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーのみで作られている、というわけではありません。

とすると、次の疑問が湧いてくると思います。

Q:じゃあ、CO2排出量ゼロ電気というのは何?

ここで「カーボンニュートラル」という概念が出てきます。文字通り、炭素中立です。

太陽光発電や風力発電などで発電された電気も、火力発電などで発電された電気も、電気という点では同じものです。
しかしながら太陽光発電など再生可能エネルギーによって発電された電気は、火力発電と違って発電の過程でCO2を排出しないことから、「クリーン電力」「グリーン電力」と呼ばれたりしています。
つまり太陽光発電などで発電された電気は、電力としての価値以外に、「CO2を排出しない」という価値も持っています。
これを「環境価値」という形で電気と切り離して定義化したものが所謂「環境価値」というものになります。
環境価値にもいくつか種類があり、電気では国が認証した「非化石証書」「J-クレジット」が使われるのが一般的です。

分かりやすく説明するため、「CO2排出量ゼロ・太陽光発電100%の電気プラン」というものがあったと仮定し、供給される電気の元(電源)は太陽光発電と火力発電とします(夜間など太陽光発電で賄えない電気を火力発電で補う前提とします)。

この場合、日中は太陽光発電で発電された電気を供給し、日中余った太陽光発電の電気はもったいないので、「電気」と「環境価値」に分離してとっておきます。
そして太陽光発電が発電しない夜間は、火力発電所で発電された電気に、とっておいた太陽光発電の「環境価値」をプラスして電気を供給します。
このように、「太陽光発電で発電された電気」というお墨付きを使って、電気を使う過程において相殺する、という概念で整理したものが「カーボンニュートラル」です。

この国が認証した「環境価値」を、一定のルールに従って活用することにより(例:火力発電で発電された電気に環境価値を併せて提供するなど)カーボンニュートラル電気=CO2排出量実質ゼロの電気を提供することが可能になるのです。

このように「カーボンニュートラル」という概念によってトータルでCO2排出量をゼロにしていこう、という考え方が日本の目指す脱炭素社会の根底になります。

我が国に限らず、世界は脱炭素に向かって動いていきます。この流れは速く大きなものです。
そして変化が速く大きなものである場合、そこはビジネスチャンスになります。
当社グループもこれを好機と捉え、積極的に動いていきたいと思っています!
最後までご覧いただきありがとうございました!

●前回の記事

株式会社イーネットワークシステムズ 代表取締役社長 及川浩
1993年4月に東京電力株式会社に入社。
東京電力では営業部門に約10年、新規事業部門に約13年在籍。営業部門では電気の契約業務から電化促進活動、WEBサービスの企画・開発・運営等、幅広く従事。
新規事業ではコンシューマ向けサービスの開発・運営等を主として担当。
2015年6月から現職。

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