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エンターテイナー・ストリート

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甘野充プロデュースの共同運営マガジン「エンターテイナー・ストリート」です。  共同運営マガジンは、みんなで作るマガジンです。  小説、詩、エッセイ、絵、音楽、動画など、想像力と創… もっと読む
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2024年2月の記事一覧

『鼻』の語り手と登場人物が全員大阪弁で喋ったら

 禅智内供の鼻と言うたら、池の尾で知らん者(もん)はおらん。長さは五、六寸あって上唇の上から顋の下まで下がっとる。形は元も先も同じくらいに太い。いわば細長い腸詰めみたいな物(もん)が、ぶらりと顔のまん中からぶら下がってんねん。  五十歳を越えた内供は、沙弥の昔から、内道場供奉の職にのぼった今日まで、内心では始終この鼻を苦に病んで来た。勿論表面では、今でもさほど気にならんような顔をしてすましとる。なんでか言うたら、自分で鼻を気にしとるという事を、人に知られるんが嫌やったからや

春陽

ぽかぽかと 春陽浴びて 枯れ木 立つ 命の芽吹き 我もまたー かくあらん

『桃太郎』の語り手と登場人物が全員大阪弁で喋ったら

 むかし、あるところにおじいさんとおばあさんがおった。おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行った。  おばあさんが川で洗濯しとると、川上から桃がどんぶらこ、どんぶらこ、と流れてきよった。 「あら、こら見事な桃やなぁ。お土産に持って帰ろか」  せやけど、桃が大きすぎておばあさんの力ではよう持ち上がらへん。誰かに頼もうか思うても人がおらん。 「仕方あらへん……こうなったら意地でも持ち上げたる」  おばあさんは火事場の馬鹿力ならぬ浪速の馬鹿力で桃を「せいやっ!」

⭐️絶滅危惧種⁉️【杼】と【漆刷毛】(画像添付•加筆2/13PM)

※ヘッダー画像は、毎日新聞川平愛記者の記事よりお借りしました これが「杼」です 元夫Hの伯父(Hの母の兄)は人間国宝。 京都の西陣に住んでいて、機織りの杼(経糸の間に緯糸を通す道具、シャトル)を作る最後の職人。 つまり杼を作れる唯一の人間。 伯父夫婦には子どもがいない。 一時期、Hを養子にしたかったらしいけれど実現には至らなかった。 Hの姉より先に生まれた兄が夭逝していて、Hが長男として育ったから。 この辺りは、私の身内のエピソードをミックスしたみたいで、初めて知ったとき

雨上がり 毛の濡れそぼりし猫戻り そのしなやかなる肢体で つんつんと乱れた毛を舐めり やがて みゃお?と小首傾げ 我が顔を凝視す 何やら問うような視線に 苦笑いし あぁ、今夜は元気よと 猫のしっとり湿った毛並みに 顔埋めたならば ひょんっと 軽やかに我が手から逃げる この奔放さがよいのだ そのうち 気が向いたなら 我が枕元に飛び上がり 朝まで顔の傍にて ぴゅーぴゅーと 風のような寝息吐き 時に尾っぽを毛繕いし 喜ばしき こそばゆさを わたしに与えてくれる

マイナス×マイナスがプラスになる理由をファストフード店を例えに説明した結果

 人に物事を説明するというのは案外難しい。相手が幼ければ幼いほどその難易度は増す。「空はなんで青いの?」とか「雲はどうやって浮いてるの?」なんてのは典型的は例だろう。だから俺は、   「マイナス×マイナスはなんでプラスなんですか?」  という後輩の問いに答えるのに少々時間を要した。  後輩の有馬(ありま)曰く。今日、数学の授業で正の数と負の数の掛け算を習ったのだが、「マイナス同士の掛け算の答えがプラスになる」というのがどうしても納得できないらしい。 「で、有馬は理由を訊い

「レクイエム」

「レクイエム」F8 キャンバスに油彩 

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大谷翔平選手の”結婚”に思うこと~ゲイ的視点~

びっくりニュースが飛び込んできましたね。 ◾️大谷翔平選手、結婚。 わー、今日ってエイプリルフール?違うよね。うそー、おめでたーい。 いろんな感情が入り混じる。 なんとなくすっごく勝手に、ストイックなイメージから色恋にはあまり興味関心がなく、なんなら交際経験とか、そういうのもないんかなってくらいなんにも一切感じなかったので余計にびっくりでした。 けど考えてみたらそりゃそうか。 小さい頃からいろんな目標に向かってしっかりそれを達成されてきた方だものね。結婚という一大

華の寝台

その精悍なる腕は 何のためだ その哀切たる眼は 何を視るのだ 一体 何を視て来たのだ もうおまえの その腕も目も要らぬ この たわわなる乳房を 二度と乞うな お前の寝台になど なるものか

観梅祭

いつもの道を いつもの場所に向かって走らせる いつもの人と遭い ただ来た道を戻る 筈であった 突然、立て札見つけ 少し寄り道した観梅祭 思えば、此処の梅を 元気な頃の母連れ 観に行ったでありました 何度も何度も 母は、梅を愛で 会場の直売所で 梅干は嫌いといい 梅ジャムや梅饅頭、えとせとら、 せがみ 花より団子を満喫 何とも、賑やかな色彩となりました。 何度、描き直しても、梅の香りを伝えることも、 あの気韻を、的礫なるさまを写し取ることは、出

「レクイエム」

「レクイエム」パネルにミクストメディア

Seeme!Feelme!

わたしを視て、しっかり感じてよ どこの誰がおまえを視るというのか お前の望むように いつまで嘆きの底に沈むのだ 痛い悲しい辛い苦しい怖い真っ暗 タスケテ 救い上げて 抱いて お前が欲するカタチで いくらでも繰り返すがいい 誰もそんなお前など 知ったこっちゃないけどね 鏡の前で泣いてごらん 顔背けたくなるか 或いは吹き出してしまうまで 鏡に映るその顔 直視してごらん 試してごらん 害はない 意味もないかも知れないけども 救われようとして