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有名小学校に入学するための入試対策④

○どんな子どもに育てたいか
~知・情・意のバランスを取れた子~

入試に際して小学校側の求める子ども、理想的な子ども像とは、どのようなものなのでしょうか。学校の校風によってそれぞれ教育方針も、理想とする子ども像も違ってくるわけですが、基本的な点をいくつか挙げることはできます。最も重要だと思われる点は、知・情・意がバランスよく発達している子どもといえましょう。

 知・情・意とは、知識の「知」、感情の「情」、意思の「意」という意味で、大人の人格構造を表すときにも用いられる表現です。では、子どもの発達に照らし合わせて、これらの言葉の意味するところを考えてみることにしましょう。

 子どもの発達と言われれば、誰もが身体が成長し、身体機能が発達することを考えます。何よりも身体が歳相応に発達していることが他の発達の基本(ベース)になるのは言うまでもありません。日常生活の様々なことを一人できちんとできるか、簡単な操作や作業ができるかどうかは、その身体発達のベースの上に成り立ちます。また、「情」としての感情や情緒の発達も身体の発達と深い関係があります。子どもは疲れたり、眠かったりすると感情のコントロールができなくなりますし、いろいろな感受性も身体的敏感さと関係しています。しかし、身体的発達の関係だけでなく、情緒の安定は、幼児期の母子関係(人間関係)に大きく関わっています。幼児期に十分に甘えることができ、暖かく自分自身を受け入れてもらえるという体験をしっかり持っていること、それが子どもの情緒の発達・情緒の安定の源になります。幼児期に母親との関係が大切だと言われるのは、このような点からなのです。

 さて、「知」としての知識や知的能力に話を進めましょう。
 知識偏重と取り沙汰されるように、多くの人々の関心は子どもの知的発達に集中しやすいようです。そうなってしまう理由には、第一に知的発達は検査しやすく、発達レベルがわかりやすいこと、第二に日本の学校教育が知的能力を中心においていること、第三に、親や教師が子どもを教育する時、比較的方法が確立されていて取り組みやすいこと、第四に、教育の成果が出るまでの時間も短いことなどがあるでしょう。けれども本当の知的発達は、身体発達や情緒発達をベースにして、その上に成り立つものなのです。きちんとした日常生活、母子を中心に家庭での情緒的に安定した人間関係をつくる、それらを省みないで、調教のようにして知的訓練のみを繰り返す…、このようなことは決してあってほしくないことですし、このような方法では決して良い結果はもたらされないでしょう。長い目で見て、子どもの発達を正確に捉えれば、調教や教化ではなく、その子にわかるように楽しく遊びながら身につける方法が、最も子どもにとって良いことがおわかりいただけると思います。

 最後に「意」ですが、大人にとっての意思というものではなく、子どもにとっての意思というのは、「取り組む意欲、興味、やる気、集中力」というものになるでしょう。ですから、今までの話と同様に「意」もまた、身体・情・知の発達と切り離しては考えられないものなのです。一定時間一つのことに、集中的に興味を持って取り組み続けるためには、身体的持久力-楽しいと思う感受性-知的好奇心などが総合的に働かなくてはなりません。やはり、いろいろな能力の発達がベースになり、補い合うことによって意志もかたちづくられてくるのです。このように、知・情・意がバランスよく発達するためには、いろいろな方面からいろいろな方法で子どもに接していかなければなりません。

○集団の中で仲良く遊べる子

 次に求められる点は、社会性のある子、集団適応力のある子、ということになるでしょう。小学校の多くは、講義形式の一斉授業という授業形態をとっています。そのためには、幼児特有の自分中心の考え方から他の子のことも考えて行動できるように諭してあげなければなりません。また、集団行動や集団の決まりに適応できることが大切になってきます。兄弟姉妹の数も少なくなり、多人数で遊ぶ機会も少なくなりつつある昨今、子ども同士で遊ぶ機会を意識的に設けていかないと、なかなか集団に馴染むのは難しくなるでしょう。実際の小学入試でグループごとに分けて集団行動を観察するのも、こうした視点からなのです。

○家庭での教育

子どもの発達に即して、それを見守り育てるならば、おのずと一定の方向が定まってくるものです。そうは言っても、現実の子どもの発達には、その子それぞれの発達
段階があります。手先の器用な子、お話しの上手な子、お絵描きの好きな子、機敏な動きのできる子など様々です。それこそ、その子独自の発達段階であり、個性でもあるわけです。こうした個性・長所を伸ばしながら、他の能力もバランスよく伸ばしていくよう働きかけることが肝要です。
 具体的には、じっくりと子どもに接し、子どもの得意なところ、不得意なところ、好きなこと、嫌いなことなど見極めることです。次に、その伸ばしたい能力を子どもが楽しみながら取り組める方法で働きかけます。その時、好きなことと結びつけ、自信をもたせるようにしましょう。決して急がず、焦らないよう、子どものペースにそって取り組むことがポイントとなります。特に、情緒面の発達には、母親の暖かく受容的な態度と、父親の緊張を緩和させる精神的余裕が不可欠です。くれぐれも、両親そろって知的発達のみ重視し、親の意向を子どもに押しつけていく方向に行くことだけは避けてください。

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