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有名小学校に入学するための入試対策⑤

5.身につけてほしい基本的なことがら

○子どもに分かる教え方

 私たち大人は多くの場合、大人の立場から見た子ども、父親や母親の立場から見た子どもについて知ってはいても、「子ども自身の立場」から考えることはどうしても少なくなりがちです。それは、社会生活の中での役割分担を知らず知らずのうちに身につけ、その役割に自分をおいて物事を見たり考えたりするようになっているからです。子どもの成長を助けるためには、子ども自身の気持ちや考えを大切にし、それを受け入れてあげるところから始まります。
 
 では、小学校入学までにどんなことができるようになっていればよいのか、どのような点に留意して毎日の生活を送ればよいのでしょうか。机に向かって学習するという態度が身についている小学生以上の子どもとは違い、幼児の場合は、「さあ、ここに座って。では一緒にお勉強しましょう」という学習の仕方は不可能ですし、かえって学ぶことの楽しさ、おもしろさを失わせてしまう危険さえあります。そのために、「お母さんと一緒に遊びながら学ぶ」「体験を通して学ぶ」「毎日の生活の中で身につける」という基本的な方法を忘れないようにしてください。そして、書物や図鑑などの知識を覚え込ませることだとは思わずに、お母さんはいろいろ創意工夫をして、子どもに興味をもたせ、楽しく覚える手助けをする人なのだと考えてください。理想的なのは、お母さんご自身も子どもとともに発見する喜び、物事を知っていく楽しみを共有することです。母と子の関係が大変重要な意味をもっている幼児期に、お母さんと一緒に過ごした思い出こそ、何よりもかけがえのない財産なのですから。

○基本的な生活態度

 では、毎日の生活態度の中で身に付けさせてほしいことがらをあげてみましょう。まず、一番大切でこれさえしっかり身につけば良いが、幼児にはなかなか難しいことは「人の話をしっかり聞くこと」「他の人が話をしている時は、おしゃべりしないこと」です。こうした態度が身につくと、人の言われたことを理解して即した行動ができるようになってきます。これはやがて小学校で、先生のお話をしっかり聞いて理解し、その指示に従った行動をとることにつながってくるのです。
 次は「一定の時間、物事に集中できるようにすること」です。幼児にとって、これらは大人が想像する以上に大変なことです。はじめは立ち歩いたり身体を動かしたりしていながらも、だんだんと座っていられるようになります。
 三番目は挨拶をきちんとできるようにすること、四番目は洋服の着脱や片付けなど正しい方法で自主的にできるようにすることです。どちらも小さいときから身に付けてしまえば、何の抵抗も無くできるようになるでしょう。  
 五番目は、集団行動における規則を守ることです。昨今「集団」を経験する機会はなかなか少なくなっています。他の子といかに折り合っていくか、子ども同士の人間関係をうまくやっていけるか、ということは、対人関係の少ない今の子どもたちにとって、とても困難で重要なことなのです。入学して集団の内でうまく適応できるかは、小学校側の大きなチェックポイントでもあるのです。自分一人のときは生じない様々な葛藤や軋轢を集団の中で感じ、少しずつ自分をコントロールし、他の子を認め、他の子の気持ちも思いやることができるようになっていきます。そして、順番を守る、他の子の迷惑にならないようにするなどの集団における規則を守れるようになります。以上が、入学までに身につけてほしい基本的な生活態度です。

○基本的な操作

一方、学習の手助けとなる基本的な操作について考えてみましょう。幼児にとっての基本的な操作とは、クレヨン、鉛筆、のり、箸、はさみ、折り紙の扱い方になります。第一に、鉛筆、クレヨン、箸の正しい持ち方と扱い方を身に付けましょう。鉛筆は持ち方ばかり注目されがちですが、スムーズな運筆には姿勢も大切です。クレヨンは、立てて描いた線、横にねかせて描いた線、広い部分を塗る時の方法など、筆を進める手段に「違い」がわかります。箸は、失敗すれば窮屈さを感じるでしょうから、正しい持ち方を崩さないように工夫してあげてください。具体的には、お子さんの食べる食材は掴みやすいように調理をしてあげるなどです。小学入試でもよく見かける大豆・小豆などが、はじめからスムーズに掴める子はいませんから、正しい持ち方でスムーズに箸を進められるようになるまでサポートしてあげてください。

 次に、鉛筆やクレヨンで記号や直線、曲線など、様々なものの形を描く練習をしましょう。とくに△や□は難しい形ですので練習無しには正確に描けません。手先の器用さを問われるとともに、線や形を正確に描くことは、学習の基本でもあります。「~を線で結びましょう」と言われた時の線が直線であること、点図形を描いた時の点と点を結ぶ線が直線であること、「~に○をつけましょう」と言われた時に、きれいな○が描けること、これらは欠くことのできないことです。
 第三にはさみ、のりの扱いです。はさみは正しく持ち、まずは直線、そして曲線を切ってみましょう。最終的に、いろいろな物の形を切り口がギザギザにならずに切り取れるようになれるとよいでしょう。のりは、端から付けて適量を意識できるようにさせましょう。必要以上に付けすぎたりしないよう気をつけることも、言われないとわからないものなのです。第四に、折り紙の扱い。必ず角と角を合わせ、ずれないように折ります。折り目は、人差指の先に力を入れ、しっかり折り目をつけることを身につけさせます。「折り紙はこのように扱う」ということを指先に覚え込ませるつもりになってください。

 しかし、生活態度にしても、基本的操作にしても、幼児期にどの子もやっていることなのです。ただ、日常生活では、そうした態度や操作は、漫然と意識化させることなく繰り返されているのです。正確に身につけ覚えるためには、「意識して行うこと=意識化」が必要です。正しい方法を教えることは、子どもにこの意識化を促すことが最善だといえましょう。これらは、できれば年中クラスの間に正しい方法を教え、完全にできないまでも子どもがその方法でやろうとするようになっていってほしいと思います。

以前の記事はこちら
有名小学校に入学するための入試対策①
有名小学校に入学するための入試対策②
有名小学校に入学するための入試対策③
有名小学校に入学するための入試対策④

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