タンドリーチキン職人誕生秘話。
冷蔵庫を開けるたびに視線がぶつかる。
鶏胸肉。
前回のカレーのあまり。
(もうそろそろいい頃合いではありませんか、、??)
そんな感じで見つめてくる。
いい感じにお昼だ。
本当は普通に塩胡椒でシンプルにソテーにでもしてやるつもりだった。なのに何ということだ、うちに塩も胡椒も見当たらないではないか。(なけなしの塩だけが瓶の端で固まっている、、。)
うちにあるのはカレーの残り。
にんにく、生姜、カレー粉、ヨーグルト、、、ああん?あれ、これってタンドリーチキンとやらは確かこんな材料ではなかったか。???
頭の中タンドリーチキンのニュアンスだけを把握して、ああ!きっとそうだ!と謎に自信めいた確信を得る。
ああ、そうだ!きっとそうだ!
と、気づけば鶏胸肉をフォークで突き刺し、滅多刺しにし、袋にぶち込み、適当な量のカレー粉とヨーグルト、すりおろしたニンニクと刻み生姜、(申し訳程度の塩もひとつまみ。ついでにそこらへんにあったシナモンとチリペッパーも入れてみた。これは、、!!オリジナルスパイスの完成である。流れるような適当さに、カレー屋のスパイス達人にでもなった気分である。)
そんな感じで鶏胸肉は無事仕込まれたのである。(ヤッタネ)
せっかくだから美味しくなれよ。と30分ほど寝かせた後、フライパンの上、オリーブオイルをしいて、全人類が嘘でしょ?と思うくらいの弱火でじっくり加熱してやった。
パチパチと油の跳ねる音がする。
いい香りである。
時間がかかりそうだったのでコンロ前に椅子まで持ってきてしまった。出来上がりをじっくり待つこの時間。オーブンの前でクッキーの焼き上がりを待っているかのような気分でわくわくする。
なんかいい感じな気がしてきた。
いい頃合いだったのでキッチンペーパーを敷いたまな板に取り出し切り分けてみた。
やばい、、、。完璧である。
今ここにタンドリーチキン職人が誕生した瞬間でもある。
お前鶏胸肉だよな?肉汁が滴っている。ふっくらしている。もう一度聞く、お前、本当に鶏胸肉だよな???
これはもうハッピーエンド間違いなしである。
昨日の残りのご飯を先ほどのフライパンにぶち込んで、あ、そういえばマッシュルーム使わなきゃ。と少し遅れてマッシュルームも入れてみた。おかげでちょっと火通りが悪かった。けれど確かマッシュルームって生でも食べれたはずである。と本当か嘘かわからない知識で自分を納得させ、そのままGOサインを出してみた。
いい感じに香ばしい。フライパンを振ってると料理してる気分になるため、無駄に振ってしまう。よくあるチャーハンのあれである。
正直、もうこの時点で美味しい。
少し大きめのお皿に盛って、チキンを乗せる。
やっぱり今日もレモンを添える。
完成である。
完璧すぎる。
自画自賛である。
料理楽しい。
ものすごく、楽しい。
わくわくした気分で食卓につく。
一口食べる。
「、、、天才かもしれない。」
割と本気でそんなことを口に出している。
割とそんなことを口にしながら完食した。
わたしはもしやトルコ人なのかもしれない。
大変だ。感動のあまり意味のわからないことを口にし始めた。
でも、やはり、上出来である。
本物のタンドリーチキン職人には怒られそうだが、エセスパイス職人気取りの私の脳内に、タンドリーチキンのレシピが更新された瞬間でもあった。
ごちそうさま。
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