読書感想「羊と鋼の森」
読書感想です。
今回は宮下奈都さんの「羊と鋼の森」です。
2016年の本屋大賞を受賞した本作は、今年6月に映画も公開される予定です。それに合わせつつ、自分も気になっていた作品だったので読ませて頂きました。
調律師のお話、ということで専門的な会話や説明が多いのかと身構えていましたが、そんなことはありませんでした。
答えのみえない、正解のない美しさや善さと向き合い続け、苦悩する調律師の姿は、決して他人事ではないように思いました。
人の感性を体現する世界の「何か」に触れて、その熱を感じ取り、音にする。
ときおり、自分がどこまでその領域に踏み込んでいったのか分からなくなり、来た道を振り返りつつ、それでも先の深いさらに奥地へと進んでいく。
その過程を描く物語を読み終えて抱いた感想は、スタートラインに立った、ということでした。
外村が目指す調律の先を、自分も見てみたくなりました。
映画になる上で、あの美しい文体やピアノの音色が一体どのように表現されるのか、気になるところです。
ちなみに、僕の好きな音楽家はエリック・サティです。
サティは物語には関わってきませんが、ピアノを題材にしているだけあって、ピアノ曲をBGMにして本作を読むと、とてもこの小説が近い場所にいる存在に思えました。
良い作品でした。皆さんも機会があれば、ぜひ。
それでは、またいつか。
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