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「アップルパイの午後」稽古場観察日記☀️②

本日は、第2回目の 「アップルパイの午後」稽古場観察日記 をお届けします!

▼前回 第1回目はこちら

稽古場観察日記 は、わたくし佐々木明音が、本番までの稽古のうち数回にお邪魔し、第三者の目線で稽古場レポートをお届けする企画です。
稽古の内容だけでなく、稽古場の雰囲気や、本作の見どころなど、見逃せない情報をお届けします!

※一部、内容のネタバレを含みます。


さて、今回お届けするのは、本番も行われる スタジオ空洞 をお借りした稽古の様子です。
スタジオ空洞は、演劇公演の本番だけでなく、稽古のためにも貸し出しが行われています。

6/4(日) 天気☀ @スタジオ空洞
参加者:ひとみん、なおみん、みやしゅー、とっしー、いお、ひよ、ひーちゃん(奏者)、やまと(舞台監督)、あかん 

稽古場レポート作成用メモより

お互いをあだ名で呼び合う習慣については、前回の稽古場日記で触れました。
今回は、奏者のひーちゃん(小林日和)、舞台監督のやまと(井上大和)も参加。
小林さんは大きなヴィオラの入ったケースを抱えての登場。
ちなみに、舞台監督とは、照明や音響など、スタッフの統括を担う役割を持つ人のことです。
舞台監督のいるスタジオ稽古はとても心強い!


準備運動

この日の準備運動は入念でした。
いつもの稽古場ではない、慣れない環境でケガをしてしまわないため、身体を馴染ませるためです。

ひとみんによるツボ押し・雄叫び/とっしーによる筋トレ/とっしーによる発声練習・体を開く・「はあ~⤴(爆音)」/アヴァロン・様子がおかしい

稽古場レポート作成用メモより

このメモからして内容が濃いことが伝わりますでしょうか……。
せっかくなので、順番にご紹介します。

・ひとみんによるツボ押し
主催の翠月さんは、実はツボ押しマスターなんです。
以前から度々稽古場でみんなのツボをもみほぐしているようですが、この日も激烈・ツボ押しタイムが開催されていました。
メンバーのなかには激痛で雄叫びを挙げる者も……!もちろん、よく効いている証拠です。

・とっしーによる筋トレ
この日は役者の佐藤俊彦さんの指示のもと筋トレも行われました。かなりきついメニューも笑顔でこなす強力なチーム!

輪になって筋トレ

・とっしーによる発声練習
同じく佐藤さん直伝の発声練習。
身体を開いて、空(くう)をかき集めながら「はあ~⤴」と息を吐きます。リラックスした状態で息を吐くことで身体も喉も開くというわけです。
しかし、爆音の「はあ~⤴」が響き渡り、全員で空をかき集める光景はなかなかシュール……。

なかなかシュールな発声練習風景

・アヴァロン
同タイトルの音楽に合わせて発声と身体訓練を同時に行う、演劇のトレーニングです。
みんなでタイミングを合わせて同時に違うことをしなければいけないこのトレーニング。
翠月さん以外初めての挑戦ということもあり、なんだか爆笑の結果に(笑)


シアターゲーム

会話奪い合いシアターゲーム

稽古場レポート作成用メモより

この日はシアターゲームも行いました。
「奪い合い」とは物騒な名前ですが、そんなに怖い遊びではありません。自然な流れで、誰かの発話からワードを拾い、「○○といえば……」とまったく別の話題で話し始めます。

私も参加させてもらいましたが、簡単なように見えて意外と難しく、全集中で五感を開いていないと、会話の流れがサラサラと流れて行ってしまいます。流れの中で、タイミングを見極め飛び込みます。


シーン稽古

役者たちが準備運動、シアターゲームをしているうちに、舞台監督の井上さんがスタジオにある平台や箱馬を使って仮舞台を組んでくれました。

プラン図面と照らし合わせ、立ち上げられた仮舞台

この日は、本番とほとんど同じ環境で稽古することができたようです。

舞台を組んで、持ちよりの衣裳で。
実際の空間で、書類上では分からない微調整をする。

稽古場レポート作成用メモより

本番用ではありませんが、役者もそれぞれ衣裳プランにあった私服に着替えて稽古します。
舞台監督・井上さんが組んでくれた舞台空間も、演出・池田さんの指示のもと、プラン図面ではイメージしきれなかった部分を調整を行います。

翠月:奏者と打ち合わせ 
池田:役者とシーン稽古、役者の持ってきたプランを観る

稽古場レポート作成用メモより

この後は通し稽古の予定です。
それまでの時間で、二人の演出家が役割分担し、できることを行います。演出の二分化の利点が垣間見えます。

演出・翠月(右)と奏者・小林(左)の打ち合わせの様子

兄弟の小競り合いのシーン稽古。
役者同士で気になった点を指摘し合う、納得のいくまで何度も短いシーンを繰り返す。

稽古場レポート作成用メモより

役者同士で、前回の稽古で気になったシーンのプランを再考し、演出・池田さんに見てもらいます。

宮崎さん・藤井さん演じる兄妹が、小さな言い争いをしているシーン。
一枚の手紙をめぐって攻防戦が繰り広げられるシーンですが、観客への見せ方、役の複雑な心理が絡み合い、なかなかに苦戦している様子。
役者同士で指摘し合い、池田さんの客観的な視点も踏まえながら、納得がいくまで繰り返します。

苦戦しながらもシーンを完成させてゆく


通し前休憩

休憩1時間/食事など取る。かと思えば自主的にシーン稽古を始めたりする。

稽古場レポート作成用メモより

通し前に長めの休憩を挟みますが、こんなところでも演者の本気度が伺えます。もちろん、観ていた演出は食事を取りつつ気になった点を指摘します。
当たり前のように強制的な空気はなく、各々ご飯を食べたり雑談をしているすぐ横で、自主的な稽古が行われている光景は、不思議な安心感さえありました。


再び、通し前稽古

長めの休憩を挟んだら、切り替えて稽古再開です。

確認し合ったシーンをつなげて、奏者も加わって長めのシーン確認

稽古場レポート作成用メモより

音楽:劇作の観点から翠月がプラン立てたものを、池田が整理する

稽古場レポート作成用メモより

ヴィオラの音が加わると一気にシーンに奥行きが生まれます。
同時に、初めての生演奏と芝居の本格的なセッションに、各々が苦戦している様子。
最終確認と調整を終え、いよいよ通し稽古です。


通し稽古

通し稽古中のワンシーン

スタジオの空間と馴染ませながら、やや緊張気味の通し稽古

稽古場レポート作成用メモより

やはり、初めての空間・初めての本格的なセットに緊張、お互い探りながらの通し稽古。
しかし、さすがのチームプレイ。次第に全員で創出した空気感をつかみ、物語に入り込んでいる様子でした。

私も初めて通し稽古を拝見しましたが、難しい台詞ばかりの作品であるにも関わらず、覚束ないシーンなどひとつもなく、すでに完成されかけていることに驚き。
ヴィオラの生演奏も、芝居とのセッションがさっきまでのシーン稽古よりずっと上手くいっていて、作品への没入感を高めてくれます。

とはいえ、本番までまだあと約2週間あります。まだまだ成長も予感させてくれる通し稽古でした。


片付け

通し稽古のあとは、舞台監督・井上さんの指示のもと、全員でスタジオを元の状態に復帰します。
私も参加させていただき、高校の演劇部時代ぶりに平台を担ぎました……!

次にこのスタジオへ来るのは、約2週間後の小屋入り。
本番と同じ空間を経験したことで、それぞれに課題も見つけ、メンバーのモチベーションはアップしたようです。
本番までの残された時間を有意義にしてくれる、大切な一日だったように思えます。

2023.6.7 佐々木明音


翠月瞳自主企画vol.2
「アップルパイの午後」

尾崎翠の代表作『アップルパイの午後』
共同演出・生演奏で舞台化!
モダンとクラシックの融合を試みる新たな挑戦。

2023/6/16(金)~6/18(日)
@スタジオ空洞(池袋駅、西口徒歩7分)

🍎チケット予約🍎
ticket.corich.jp/apply/261098/

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