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「アップルパイの午後」稽古場観察日記🍎

はじめまして!
この度「稽古場観察日記」と題して、翠月瞳企画vol.2『アップルパイの午後』の稽古場レポートをお届けいたします、佐々木明音と申します。

これから、本番までの稽古のうち数回にお邪魔し、こうして皆さまに稽古場の様子をお届けできればと思います。どうぞ、よろしくね。

※一部、内容のネタバレを含みます。


さて、今回お届けするのは、少し前の5月16日の稽古場です。

自己紹介

5/16(火)18時 天気☀ @都内某所
参加者:ひとみん、なおみん、みやしゅー、とっしー、いお、ひよ、あかん

稽古場レポート作成用メモより

どうやらこの稽古場では、お互いをあだ名で呼び合っているみたい。
みんなが自己紹介の時に教えてくれました。
ちなみに……

  • ひとみん:翠月瞳(企画・演出・出演)

  • なおみん:藤井直美(出演)

  • みやしゅー:宮崎柊太(出演)

  • とっしー:佐藤俊彦(出演)

  • いお:池田衣穂(演出)

  • ひよ:若林緋依(演出助手)

です。
僭越ながら私もあかん、と名乗らせていただきました。
なんだかお互いを呼び合うだけで楽しい。

準備運動

挨拶もそこそこに、全員そろっての準備運動がはじまりました。どうやら、みんなで準備運動するのも、この稽古場のこだわりのようです。
演出助手などスタッフも一緒にやっていたので、私も混ぜてもらいました。
まず初めに、ストレッチをしながらミュニケーションを取ります。

今日のわたし(身体、睡眠、空腹度、五感)を5段階で評価する。

稽古場レポート作成用メモより

これまでいろんな稽古場に行ったことがありますが、このトークテーマはかなり個性的です。

「今日のわたし」を

  • 身体(体調、調子)

  • 睡眠(眠たさ具合)

  • 空腹度

に分類し、5段階で調子を測ります。

例えば、今の私はこんなかんじ。

  • 身体:2(季節の変わり目の風邪をひいてしまいました……)

  • 睡眠:5(ここ数日はよく眠れています)

  • 空腹度:1(焼肉ランチを食べたばかり!)

その日の自分のことを、気軽に、素直に話せるのはとてもいいなと思いました。もう一つ、

  • 五感

というトークテーマが用意されています。
前回の稽古から、今日稽古場に来るまでのあいだに、五感を刺激されたエピソードを共有します。

「ゆっくり休んだら、悩みが晴れた」
「初めて食べたマックグリドルがおいしくなかった……」
「三谷幸喜の大河ドラマの作り方を本で読んだ」
「バイト先の先輩から、古本についてきたおばけの話を聞いた」
「大学の授業で紙芝居を読んだら、おもしろい発見があった」

稽古場レポート作成用メモより

取り留めのない内容に思えますが、毎回の稽古で共有することで、自然と自分の五感が敏感になって、お芝居にも生きてくるみたいです。

ストレッチが終わったら、二人一組になって、お互いをマッサージします。疲れている部位、固くなっているところなどを確かめ合い、コミュニケーションを欠かしません。

最後に、筋トレをして準備運動はおしまい。
筋トレは毎回ではないようですが、この稽古場の筋トレ大臣ことみやしゅー(宮崎柊太)が時々みんなを指導しているようです。

シーン稽古

小休止を挟んだら、いよいよシーン稽古が開始されました。

兄妹による軽快な口喧嘩と、「不幸」に付きまとわれた日曜日の夫婦。
二つの世界が交錯する長めのシーン

稽古場レポート作成用メモより

原作『アップルパイの午後』は、明治時代を生きる兄妹が、口喧嘩する様子を描いた作品。
本作では兄を宮崎柊太、妹を藤井直美が演じます。

翠月瞳バージョンの本作では、現代の視点でもう一つの設定が加えられています。

それが、上記メモ
「「不幸」に付きまとわれた日曜日の夫婦」
の部分。
夫婦を演じるのは翠月瞳と佐藤俊彦。

この日は原作の世界と、新設定の世界が交わるシーンの稽古でした。さっきまでのストレッチ中の和気あいあいとは一転、緊張感のあるシーンです。

美術演出・池田の客観的な視点。
キャラクターの舞台上での立ち位置を<視覚(池田)>と<意味合い(翠月)>のバランスを取りつつ整理していく。

稽古場レポート作成用メモより

見事だと感じたのが、共同演出の役割分担。

より作品の中身に近い部分、いわゆる「ドラマ」の演出を担当する翠月は、出演も兼ねています。
自身も出演するから、演者間で生まれた違和感や疑問を敏感に察知し、整理します。

翠月の出演するシーンでは、視覚的情報を整理する「デザイン」の演出担当池田が、客観の目となります。

これは、どの稽古場でもあまり見ない光景でした。
演者たちも、二人の演出家を信頼して、自身の演技を試行錯誤しているようでした。

演者の違和感を丁寧にほぐしていく稽古
やってみてどうだった?が多い稽古場

稽古場レポート作成用メモより

緊張感のあるシーンもやりこなすチームワークがある

稽古場レポート作成用メモより

二人の演出家を筆頭としたチーム『アップルパイの午後』は、安心感と緊張感のいいバランスを保っています。
そのバランスの良さに、「健康的!」とうれしくなるほど。

いつだって、素晴らしい創作は健康的な創作環境から生まれるものです。
新鮮なりんごたちが、どんな風に熟して調理されるのか、期待が止みません。

2023.5.25 佐々木明音


翠月瞳自主企画vol.2
「アップルパイの午後」

尾崎翠の代表作『アップルパイの午後』
共同演出・生演奏で舞台化!
モダンとクラシックの融合を試みる新たな挑戦。

2023/6/16(金)~6/18(日)
@スタジオ空洞(池袋駅、西口徒歩7分)

🍎チケット予約🍎
ticket.corich.jp/apply/261098/

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