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<ノーミーツ(No meets)時代の育成>新人メンター115名への緊急ヒアリングから見えてきた現場の工夫

三井物産人材開発の大川と申します。今回は前回の「新入社員128名で行ったフルオンライン研修で見えてきた最も大切なこと」に続き、ノーミーツ(No meets)時代の育成について新人メンターへのヒアリングから見えてきた現場の工夫について伝えたいと思います。

新入社員が4月に入社して早4ヵ月が過ぎました。
新人が上司や同僚、顧客とうまくやっているか、現場で困っていないか、心配している人事の方も多いと思います。
先日、立教大中原教授のブログでも対面で逢えない「ノーミーツ(No meets)」時代のOJT、育成ノウハウに関して記事を上げていらっしゃいました。(http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12018)

当社でもコロナ禍で新人と新人メンターがなかなか直接会えない環境の中でどのようなる工夫を行っているか緊急ヒアリングを行いました。同じような環境下で新人育成に少しでもお困りの方の参考になれればと思い共有いたします。

■現場の育成担当者は何に困っているの?

当社新人メンター115名にヒアリングした結果がこちらです。

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最も多かったのは、『細かい部分の指導が難しい』で、約3割の新人メンターが難しさを経験しています。

・電話対応や商談など、実際にその場の様子を見て・聞いて学ぶことができない。
・基本的なビジネスマナーの指導(エレベーター、タクシー、会食の場など)ができない。
など、“肌で感じる・体感する”ことが必要なものの指導がオンラインでは難しい様子が読み取れます。

その次に多かったのが、『新人が何をしているのか見えず、不安』という声で、2割です。
・「何をしているか様子が見えず、いま与えられている業務量が多いのか少ないのか判断できない
・「業務の様子が見えない為、何に困っていて、何に時間がかかっているのかが分からない
など、新人の様子を心配している気持ちが現れています。

また、新人の成長を考えた際に今後の不安の種となっているのが『コミュニケーションが限定的になっている』という声です。
入社式から新人研修までずっとオンラインで、その後の出社回数も制限されています。オンラインだと、コミュニケーションを取る相手が新人メンターや配属先の先輩、上司に限定され、狭い範囲でしかネットワークが構築できていないという懸念です。
出社していればフロア内で自然に、また、打ち合わせ、食堂、カフェスペースなど様々な場面で偶発的な出会いの機会が創られていました。

■オンラインにおける新人育成のコミュニケーションで行っている3つの工夫

一方、現場では様々な工夫が行われていることも、今回のヒアリングで分かりました。3つほど紹介させていただきます。

① 業務開始時に一日のやることを一緒に確認、業務終了時点でまた一日の振り返りを行う
対面では当たり前に行っていることかもしれません。ただ、うまくやれている新人メンターは、オンラインでもやはり同じようにこれを実践しています。1日の目標設定し、業務終了時にそれを振り返る癖を付ける。シンプルにこれだけですが、これをきっかけに新人の課題や不安が自然に新人メンターにも共有され、コミュニケーションが広がります。

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② “話しやすい雰囲気”を作ることに徹底した密なコミュニケーションを意識オフィスで一緒に仕事をしていても、先輩社員と新人との間には壁が生じがちです。ましてや、オンラインです。新人がセーフティーゾーンを感じやすくするために、新人メンター側が一段と努力することが大切なようです。オンラインでも、雑談タイムの設定や、あたかも隣にいるように、常時接続状態で随時チャット質問を受け付ける、などの工夫が効果的なようです。
この点は、新人数人にも本音を聞いてみました。先輩社員の努力にもかかわらず、「心を開けていない。」という声。「どこまで砕けていいのか分からない。新人の癖に知らない間に馴れ馴れしい奴だと思われたくない」という声が印象的でした。お互いに、相手の立場、感情を考え、丁寧に、高頻度にコミュニケーションを取ることが必要そうです。

③ 部署全員で育てることを伝える、そして実践する
部署全体でのイベントで新人のオンライン自己紹介を行ったり、上長から部署全員に「部署全体で新人を育てていく」と発信したりすることで、1対1の関係性だけでなく、他にも相談できる人を創ることができます。また、新人自身も帰属意識が高まることで、一緒に働く仲間という気持ちが形成されるようです。
当社では新入社員は毎日、業務日誌を書いています。それを新人メンターだけが見るのではなく、オンラインという場を活かして部署全員が見られるようにオンラインツール上に格納し、部署の全員が一言でもコメントをすることで、新人も組織で見てもらえていると感じることができます。

■社内外の実践知を集結させwith/afterコロナに備える

私たちも、多くの企業・個人のみなさまが発信する情報を参考にさせて頂いています。今回、自社の現場の工夫をヒアリングして、1つ1つの地道な取り組みは他社でも参考にしていただける点があるのではと感じ、発信させていただきました。これからも引き続き微力ながら、人材開発・組織開発に関する弊社の取り組みを今後も発信していきたいと思います。

ぜひ、ご興味を持っていただいた方は当社をフォローいただけますと幸いです。