思い出の多いあなたへ

会社の年下の女の子が結婚した
聞いたら名字が元カレと同じだった
幸せになって
私はその名字の人とは幸せになれなかったけれど

一方私は。
気持ちをぶつけても一向に変わることなく、落ち着いた生活を送っている。
はやる気持ちを抑えて、淡々と。


7年はやはり長かったらしい
元カレと彼を比べるつもりは毛頭ない
むしろ比べてしまうと今の彼のほうが断然良い
ただ、気遣いという点では元カレのほうが優勢だ
思い出が多すぎるのもよくない
お揃いのものが増えて
私の持っている物ひとつひとつに思い出が宿っている
普段は気にも留めていなくても、ふとした時に出てきてしまう

あぁ、これはあの時のあれだ、と

なぜだろうか
嬉しい思い出よりも、辛い思い出のほうが思い出せる

怒らせて頬を叩かれた
飲み会から帰ったら家に入れず漫画喫茶に避難した
出先で怒らせたら置いていかれた
セックスを断ったらベッドから蹴落とされた
嫌なプレイも心のスイッチを切って演じた
彼が帰る前に家に帰らなかった
あぁ、頭からお酒かけられたこともあったな

思い出しても笑えてくる
あの時は辛くて辛くて、よく泣いていた
情緒不安定で笑ってもいたけれど、泣くことも多かったな

彼なりに私を愛してくれていた
だから応えないといけないと思っていた
それが「愛情」だと勘違いしていた

生活費、折半だったのに払ってくれなくなったな
毎月ギリギリで生活して、貯金を全て食い潰されたな
貸したお金(ぴったり100万)返ってこなかったな

尽くすことが「付き合う」ことだと思っていた
それが正しい「彼氏彼女」だと思っていた

それでも、私が精一杯愛した人だった
与える愛情がカラカラに乾いても絞り出そうとした人だった

辛い思い出が多い分、思い出も強く残っている
それが余計に辛い


なぜ、今
そんなことを思い出すの
別れて1年だから?


誰に話しても別れて正解、と言われるけれど
私にとっては良い思い出で、
元カレを悪くなんて言えない。
それはもしかしたら私の意地なのかもしれないけれど。

だからもう、連絡をしてこないで

あなたに靡くことは、もうない

私の知らないどこかで、幸せになって

そして何十年後かに笑って会えたら良いね

あの頃は、なんてコーヒーを飲みながら

良い父親になったあなたを見たいから

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