見出し画像

住みにくい国オランダ

オランダに住んでもうすぐ4年になろうとしているが、最近気付いたことがある。オランダは一生住むところじゃないなと。とにかく不平等さがすごいなと思う。

中間層が不利なことだらけ

オランダには金持ちがたくさんいる。まず挙げられるのはHighly skilled migrantsという外国人たちだ。彼らは収入が高いのに加えて、税金も30%優遇措置がとられている。駐在員はこのビザを利用して来ていて、さらに会社が高い家賃を払ってくれるから、手取りの収入はかなり多い。また、飛び抜けた金持ちたちは、家をたくさん持っていて大体不動産収入で儲けている。

対して、オランダには収入が低い人もたくさんいる。その場合は住宅補償(Huurtoeslag)を受け取ることができる。23歳以上の大人で、年収が22,700ユーロ(約280万円)以下かつ家賃が752.33ユーロ以下(シェアはだめ)、かつ貯蓄が31,340ユーロ(400万円)以下の場合だ。

会社でフルタイム週5で働いていて、そんな少ない年収になることはほとんどないだろう。ブラック企業で働いている人はこれに該当することがあり、彼らは住宅手当をもらって割といい暮らしをしている。日本人でもこれを利用している人がいて、「まともな会社に勤めたら住宅手当がもらえなくて他人とシェアしたり狭い部屋に住まないといけなかったりして損だから、私は低収入のこの仕事を続ける。」と言われたこともある。価値観の違いを感じたよね。

まともな会社でまともな給料をもらっているサラリーマンが一番きつい。金持ちや優遇されている外国人、家賃補助などをもらっている人たちに嫉妬しても仕方ないが、なんだか普通に暮らしているのがばかばかしくなるくらい。よっぽど稼いでいる人でなければアムステルダムで一人暮らしをするのは難しい。アムステルダム近郊の街に住んだり、アムステルダムでフラットシェアをするのが一般的だ。

家を買うのも大変

例のウイルスのおかげで在宅ワークが一般的となったオランダでは、人々がアムステルダムから田舎へと流出している。人々は少し離れた街に家を購入し始めているため、競争率が死ぬほど高い。

家の価格は競売式で、たとえば400,000ユーロ(5千万円)の家が広告に出ていたら、それより上の金額で一番高く入札した人が買える仕組みになっている。今だと広告の価格の20%以上割増の金額で落札されている。

また、この住宅バブルを逃すまいと、現在家を持っている人がその家を売って住み替えることも多くなった。家は瞬く間に高額で売れるので現金がすぐに手元に入り、そのお金で新しい家を一括購入するのだ。売る側の人も現金で払ってくれる人のほうがこれからローンで払う人より信頼度があるらしく、その人たちが優先される。初めて家を買う人はそういう人たちには勝てない。

所得税が高い

収入を得たら税金を取られるのは当然だ。中間層(額面年収20,710ユーロ〜68,507ユーロ)の場合は38,10%, 高額年収者(額面年収68,507ユーロ以上)は51,75%だ。

もう税金のために働いているようなものである。もちろん、税金は日本よりは透明性が高く、福祉などに役立てられている。私も失業したときに失業保険をもらったが、これは税金を払っていたからこそ。ありがたいが、それでも手取りがここまで少ないと、質素に生きるしかないのである。

一生オランダに住むことはない

私は今でこそ新しく始めた仕事をがんばりたいからとか、永住権がほしいから、とかもっと広い家が欲しいから、とかいう理由でオランダに住んでいるし、しばらく住み続けるとは思うけど、一生ここに住んでいたいかっていうと別に、と思う。

Twitterを見ていると、オランダに教育移住だの、フリーランス移住するだの、オランダがまるで夢の国のように書いている人たちがいる。そう感じる人はそれでいいと思うが、私はそうは思わないってことだ。日本に帰れば家も税金も安いし娯楽もあっていいなと思うし、他の国で安く家が買えたり税金が安いのであれば、それもいい。あと天気がいいところに住みたい。

オランダという国が住みやすいかというと住みやすいだろう。英語が通じてヨーロッパ各国にも旅行しやすい、自然が多い、人々がフレンドリーなどもちろんいいところもたくさんある。でもここで一生やっていく!しがみついてやる!という気合や情熱はもはや私にはなく、もっといい国があればそっちに行きたいなという気持ちである。いい年して住む場所が決まらないのは落ち着かないのかもしれないが、私は何歳になっても自分が楽しく生きられる場所で暮らしたいと思うのだ。



いただいたサポートはオランダの経済を回すために使います。