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オランダの教育に賛成できない理由

私はオランダに5年住んだ。パートナーはオランダ人だし、持ち家もあり、彼の家族がそばにいて、学校なども近く子育てするには十分な環境があったが、私たちはオランダを去った。


オランダを去った理由の一つが子供をオランダで育てたくないと思ったらからだ。


自分はパートナーと英語日本語でコミュニケーションを取っていて、一切オランダ語は使わない。

子供がオランダで育ち、オランダ語を話すようになり、オランダ人になっていけば自分も子供とのコミュニケーションが十分ではなくなり、自分と子供との繋がりを感じられなくなるのではないか、という恐怖があった。


もう一つは私のパートナーがオランダで受けた教育、環境が良くなかったことにより、子供をオランダで育てたいとは思えなかった。

私のパートナーはとても心が優しい人だ。今、見た目は背が高くシュッとしていておしゃれな服も着ているが、小さい頃は太っていたし、家族が裕福ではなかったので安い服を着ていた。

だから彼はいじめられていて、そのいじめは15歳になるまでずっと続いた。

いじめる子供は親が金持ちで金髪白人の子たちだった。私の彼は白人だが髪は茶色でクルクルしている。

いじめの内容は残酷で聞くと心が痛くなるものであった。

彼の親は学校に相談したが、教師は一切対応してくれず、いじめは続いた。



私のパートナーは15歳から働き始めて、自分の稼いだお金で服や靴を買って生きてきた。

海外に渡り勉強や就労経験を積んだことで今では十分なほど稼いでいる。彼の稼ぎは親から譲り受けたものではなく、彼自身の努力の賜物なのだ。



オランダでは12歳で将来が決まる。

簡単に言うとHigher educationに行く子、middle educationに行く子、lower educationに行く子と別れる。

大学に行くにはHigher educationにいかなければならない。

Lower education に行った子が大学に行きたいと思ってもそんなことはできない。一度決めたらもう進路は変えられないのである。


どんな子がHigher educationに行けるのかというと、親が白人、親が金持ち、親が大卒、親が一流企業で働いている、などというのが実力よりも重視される。

学力がたとえ低くても、親が白人で金持ちであれば教師が融通を効かせてくれて、Higher education に進める。

親が移民、特に有色人種である場合、融通など効かせてもらえることはほぼない。

結局オランダの教育は白人金持ちが優位なのである。


私はそれをパートナーから聞いたし、12歳前後の子を持つ親たちからも聞いて、その現実に悲しくなった。

それと同時に私のパートナーがたとえオランダ人で、私自身が大卒で、わたしたちが人並み以上に稼いでいたとしても、私たちの子供は将来厳しい現実にぶち当たるだろうと容易に予想ができた。

私はそんなオランダの教育システムに対して残酷だと思うし、教師不足も異常だと思うし、教育の質が下がっていることも知ってオランダで子供を育てるのは難しいと思ったのだ。


私たちの友人の一人は高校の物理教師だが、教師である彼が年々ひどくなる教育の質の低下や、手に負えない子供たち、躾をしない親たちについてよく話をしてくれるので、それも参考になった。

現場からの声はありがたいものである。



いま私たちは別の国に住んでいるが、教育システムはオランダとは全く違う。

12歳で人生が決まらない。

そしてもっとインターナショナルでオープンマインドだ。

ここでなら安心して子育てができると思った。

もちろん100点満点な教育ではない。でも私たち二人にとってはオランダよりいいと思ってる。

今日も友達家族に会って教育について色々教えてもらい、その後パートナーと話し合ったが私たちが求めている教育環境だと思った。


オランダの大学はレベルも高いので、将来子供が大学に行きたければオランダの大学に行かせることができる。

それまでは別の国で育てたいと思う。


これから生まれてくる子供のためにしっかりと下調べをして、子供の将来の選択肢を増やせるよう頑張ろうと思う。




これはあくまで私と私のパートナーの話です。

移民の子でも、親が高等教育を受けてなくても、金持ちじゃなくても、Higher education に進める子供はいると思う。

あくまで一例として、こんな人たちもいるんだと思ってもらえれば幸いです。


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