イモを一切食べないオランダ人夫の話
私の夫はオランダ人だがイモが嫌いだ。
オランダの主食はイモだ。
イモというのはじゃがいものことだ。
主にマッシュしたイモ、茹でたイモ、ローストしたイモなど。
夕飯はイモを食べる家庭が多い。
だがうちの夫は一切イモを食べない。
付き合い始めてから5年ほどになるが、夫がイモを食べたいと言ったことは一度もない。
むしろ、私のほうがイモが食べたいなぁと思うことがあり、たまにはローストポテトでも作ろっかなー🎵なんて言っていると「絶対にイモは食べたくない」という夫がいて、結局食べられずにいる。
まぁイモなど食べなくても生きていけるし、レストランでステーキなどを注文した時のサイドとしてローストポテトを頼むことができるので、それでいいと思っている。
ちなみに夫はレストランでもイモを残す。
どんだけイモが嫌いなんだよ。
過去のトラウマ
今日、夫と夕飯を食べていた。
夜が遅く、疲れていたので、レトルトのスープ、パン、トマトサラダ、野菜いっぱいオムレツなど家にあるものだけで作って食べた。
夫が突然言った。
「あのね、君がいつもいろんなご飯を作ってくれることが本当に僕は嬉しいんだ。いつもありがとう。」
うん、どういたしまして。
「僕が小さいときはね、いつもイモ+肉+野菜のワンプレートだったんだ。」
え?いつもって毎日じゃないよね?
「毎日だよ。肉の種類が変わることはあっても、毎日イモと肉と野菜なのは変わらなかった。米がたまに出てくることはあったけど毎回ナシゴレンで、それ以外の米は食べたことはなかった。」
注)オランダはインドネシア料理が盛んなのでナシゴレンは定番料理である。
「だからね、君がこうして、和食、韓国料理、中華料理、タイ料理、インドカレー、イタリアン、スペイン料理を作ってくれることが嬉しいんだ。おいしいし楽しい。本当に君と結婚できて幸せだよ。」
そっかぁ、そりゃ、イモ嫌いにもなるわね。
小さい時の夫に同情した。
そして、私の料理についていつも美味しい美味しいと言って食べてくれてはいたけど、こうして過去のエピソードを交えながら、今が幸せだと言葉で伝えてくれたことが嬉しかった。
私は当然のように毎日違うものを作って食べる家で育ち、日本ではバラエティに溢れた食事を食べるのは普通だし、自分自身も毎日同じものを食べ続けることが嫌なのでオランダに来てからも毎日違うものを作っている。
そんな当たり前のことが、夫にとっては感動的で、とても嬉しいことなんだと知った。
オランダの伝統料理スタンポット
オランダの伝統料理の一つとしてスタンポットが挙げられるだろう。
これはマッシュしたイモと、茹でた野菜と、肉もしくはソーセージをワンプレートで提供するものだ。
スーパーのレシピにはいつもスタンポットが載っている。
肉や野菜の種類が変わっても、これがオランダ人の愛する伝統料理であることには変わりない。
私はオランダに来てから一度もスタンポットを食べたことがない。
たぶん一回食べたくらいだったら、まぁ普通においしいんじゃないか、と思うのだろうけれど、子供の時に、食べ盛りのときに、毎日毎日これだったら、そりゃ辛いだろうと思う。
料理をするのは面倒な日もあるが、毎日美味しい美味しいと言いながら嬉しそうに食べてくれる夫のためにも、これからもおいしいものを作っていこう。
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