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創作昔話「じゃがいも太郎」

寝る前に時々披露される、息子の創作昔話。
2021年一発目のお話が、令和時代にふさわしい(?)斬新な内容だったので、録音データを元に文字に起こしてみます。

じゃがいも太郎

昔あるところに、おじいさんと、中国のおばあさんがいました。

二人は川に行って魚をいっぱい釣っていました。すると、じゃがいもがどんどん猛スピードで流れてきて、おばあさんおじいさんは川に飛び込んで、そのじゃがいもを取りました。
それで一緒に丸ごと食べようとしたら、じゃがいもがぱかーんと割れて、大きな女の子の赤ちゃんが生まれました。

で、みんなで一回だけ子育てすると……かっこいい、力が強い、じゃがいも太郎になりました。
じゃがいも太郎は、おめめはにんじん。野菜でできているのです。

じゃがいも太郎はある日、鬼に飛びかかって、ぴゅーんと刀の平らなところを当てました。
すると鬼は、トーーーンと大きな鐘を鳴らしてもう一人鬼を呼ぶと、すぐトーーーンともう一人の女の子のじゃがいも太郎が飛び出してきました。

そしてみんな鬼と戦ったら、いつの間にか鬼が消えていました。

おしまい

講評

「中国のおばあさん」と国際結婚している時点で、まず新しい。
通常、桃太郎だとおばあさんは一人で川で洗濯をしているのだが、この話では男女の立場は対等だ。二人で魚を釣り、二人で川に飛び込む。

じゃがいもが猛スピードで川を流れるという表現も良い。

生まれてきたのが「女の子」なのも、時代への配慮を感じられる。
成長したらなぜか「じゃがいも太郎」になるのだが、生まれた時の身体的性別と育っていく中で判明する心の性別が必ずしも一致するわけではない、ということだろうか。

刀の「平らなところ」を鬼に当てるという柔らかい表現も、好ましい。子ども向けの話なので無闇な暴力表現は避けたのかもしれない。
最後にもう一人女の子のじゃがいも太郎が登場して驚いたが、戦う女性ヒーローというのもこれからの時代には当たり前になっていくだろう。
これまでの常識に捉われない、新しい物語だった。

……はい。というわけで、息子による「じゃがいも太郎」と、私による講評でした。
一生懸命考えながら喋るのが可愛いんですよね〜〜。声も可愛いし。

そうそう、この話をしてくれたのは、雪だるまを作った日の夜のことで。

これです、これ。
だから途中で「おめめはにんじん」「野菜でできている」とか言ったんでしょうね。その日あったことを取り入れてるんだなぁ。
なんとも微笑ましい創作昔話でした。


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ななみ
ApplePencil購入資金、もしくは息子に酢だこさん太郎を買い与える資金になります。