酒税法改正後の変化に関するアンケート調査-影響は?・飲酒の変化・購入状況分析
2023年10月に酒税法改正があり、ビールや発泡酒、日本酒、ワインなどの税率が改正されました。特にビール系飲料は影響が大きく、ビールが減税される一方、安さが魅力の新ジャンルが増税されて発泡酒と同じ税額になるなどの変化がありました。
そこで今回は、全国のPOB会員3,013人(平均年齢49.8歳)に「酒税法改正後のお酒購入に関するアンケート」を2023年11月10日~11月11日に実施しました。酒税法改正が消費者に与える影響について調査していきます。
酒税法改正後の変化や影響は?
まずはPOB会員に、酒税法改正後に価格の変化・影響を感じるかたずねました。
回答者のうち酒税法改正後にお酒を購入した会員は65.1%、その中で変化を「感じた・多少感じた(31.5%)」「感じていない(33.6%)」と回答した比率はおおよそ同率となりました。男女別でみると購入率の高い男性の方が変化・影響を感じていることがわかります。さらに年代が上がるごとにお酒の購入率が高くなることから、その影響の大きさも比例しています。
酒税法改正後の飲酒状況は?
普段から飲酒をする会員に、酒税法改正前と比較して自宅や外食でお酒を飲む頻度・量に変化があるかたずねました。
酒税法改正前と比較して、「改正前と変わらず飲酒している」と回答したのは8割となりました。変化があった2割のうち、そのほとんどが「改正前より減った(17.0%)」と回答しています。男女それぞれで大きな差異はない一方、年代が下がるほど「改正前より減った」と回答する比率が高くなっていることがみてとれます。
【外食】・【自宅】の飲酒状況は?
前問に続いて、どのような飲酒の変化があったのか、【外食】・【自宅】のそれぞれでたずねました。
飲酒機会は【外食】・【自宅】それぞれ「改正前と変わらず飲酒している」が最も高く、比較すると【外食】は【自宅】と比べ「減った」に-12.7P差があることから特に影響が大きいことがわかります。
また、【自宅】での飲酒状況は、年代が若くなるほど「増えた」「減った」の変化が大きくなります。中でも30代以下は特に「増えた(5.7%)」「減った(23.6%)」が各年代で最も比率が高いことから飲酒状況は分極化しているといえます。
購入するお酒の変化は?
次に、購入するお酒の変化について調査しました。
酒税法改正後の現在、購入しているお酒は「ビール(48.5%)」「チューハイ・サワー(32.8%)」「新ジャンル(第3のビール)(21.7%)」の順になりました。各年代別でも同傾向ですが、30代以下のみ、「ビール(33.5%)」「チューハイ・サワー(29.1%)」に次いで飲みやすい「カクテル(12.2%)」が好まれていることが特徴的です。
酒税法改正前後で差異が大きい項目に注目すると、総計では「ビール(-5.5 %)」が最も差が大きく、次に「新ジャンル(第3のビール)(-5.2%)」、「お酒は購入していない(+4.2%)」の順となりました。年代別でみると、「お酒は購入していない」の回答比率は若くなるほど高くなり、「30代以下」は「お酒は購入していない(+5.7%)」が最も変化が大きいです。「40代」は「ビール(-5.8%)」、「50代」「60代以上」は「新ジャンル(第3のビール)」が最も差異があらわれていました。
レシートデータ:ビール系飲料1,000枚あたりの出現金額
次に、影響の大きいビール系飲料の購買状況の変化をレシートデータから分析します。
上図は会員の投稿レシートデータから、アサヒビール社の「アサヒ スーパードライ(ビール)」「アサヒ スタイルフリー(発泡酒)」「アサヒ クリアアサヒ(第3のビール)」のレシート1,000枚当たりの出現金額をあらわしたものです(調査期間:2022年9月~2023年10月、レシート:53,920,278枚)。
出現金額を、昨年22年10月と酒税法改正後の23年10月で比較したところ、「アサヒ スーパードライ(ビール)」は+459円、「アサヒ スタイルフリー(発泡酒)」は+80円と上昇、酒税法改正で値上げとなった「アサヒ クリアアサヒ(第3のビール)」は-241円と減少傾向でした。
コメントを見ると酒税法改正後は購入商品をスイッチしたり、お酒を買い控える様子がうかがえます。
3年後の2026年にビール系飲料の酒税統一も控えています。引き続き、生活者が感じる影響や変化に注目していきます。
今後も、レシートと消費者アンケートで様々なトレンドを分析していきます。
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