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歩くと安心する

2024年2月20日(火)

春だ。
朝ごはんを食べて、録画していた『地球の歩き方 in タイ(旅人:森山未來)』の最終回とか、『ふるカフェ系ハルさんの休日』とかを見て、部屋掃除をして、お昼ごはんを食べて、2階の部屋にあがる。南の窓から部屋の半分くらいが太陽の光に包まれていて、あぁ、この陽気はデスクワークじゃないな、読書でもないな、外だな。back numberのツアーグッズの白のロンTに着替えて、下はネイビーのスウェットのまま、ベージュの5本指ソックスを履いて、ベージュのキャップを被って、スマホを肩から斜めに下げて、黒のスケッチャーズでGO。

あちらこちらに梅が咲いている。うすい絹の衣に包まれたような空気を身に纏いながら歩く。10分くらいで県立の森林公園に入って、庭と池を横目に展望台まで上がる。左手に相模湾、奥に箱根の山々、小田原、そして富士山、今日は見えないから想像上で。ちょうど雲の隙間から陽が海に射して、小田原あたりの海がうすいオレンジ色に染まっていた。

3回ほど深呼吸をして、回れ右をしてもうひとつの展望台へ。ゆるい坂を下って、上がる。甘い匂いがして立ち止まると左側にピンク色の可憐な花たちが咲いていて、顔を近づけるといま感じた甘い匂いがそこにあった。看板に「ジンチョウゲ」。これがあのいとし面影の沈丁花か。お気に入りスポット、誕生。

展望台からは江ノ島がぼんやり見える。グレーがかった雲の色と海が溶けあっているような海の色は私の中では冬の湘南の海の色、という感じがして好きだったりする。何色って言うんだろう。今度調べてみよう。

下りる。広場では中学生の男の子たちがバドミントンをやっている。5人中4人がバドミントンをやっていて、1人がリフティングをしている。ベンチに座ってスマホしている女子高生と、奥には絵を描いている風のおじいさん。

海に向かう。国道1号線を渡って、通ったことのない道を通ってみる。平屋の古民家がある。いい雰囲気だ。歩きながらちらりと覗くと、室内にお花がたくさん置かれている。大きな花瓶が床にいくつも並んでいて、お花屋さんみたいだなぁと思って角を曲がったら、お花屋さんだった。看板があって、お花屋さん兼カフェ、らしい。今度寄ってみよう。

お花屋さん兼カフェを右手に進む。突き当りを左に曲がると、右も左もお家の入口で、正面も土手みたいになっている。行き止まりかなと思いきや、よく見ると正面の土手に手作りの階段みたいなものがある。でも個人がつくった感全開で、個人宅の敷地感全開。運よく隣のお家の人がちょうど帰ってきたところだったので、聞いてみた。通れますよ、と一言。階段を上がる。夏になったら草ぼうぼうだろうな、みたいな獣道みたいな細い道をずんずん進むと、サイクリングロードに出た。あぁ、この道か。サイクリングロードを歩いているときにちょっとだけ気になっていた道。道というか、これ行けるのかな、と思うような獣道のような道。またひとつ未知との遭遇。道だけに。

サイクリングロードに出て、立ち止まる。右に進めば帰る方向。まぁまぁ歩いたなぁと思いつつ、でももう少し歩きたいし、海も見たいし。左に進む。少し歩いて、海に下りる。波が高い。空が広い。ふっくらとした月が浮かんでいる。防波堤に砂が溜まってちょうどいい丘みたいになっていて、寝っ転がるにはちょうど良さそうな場所だなぁと思った。今度はレジャーシートを持って来よう。

3回深呼吸をして、来た道を戻る。左手に西湘バイパス。車が気持ちよく通りすぎていく。

確かなのはこの一歩だけ。KREVAの歌詞に出てきそうな、そんな言葉がふと浮かぶ。足を踏み出して着地して前に進むこの感覚だけが、確かなものだ。自分の足で、自分の身体で、地に足がついて、前に進んでいる。だから私は歩くと安心する。散歩もそうだし、山に登るときもそう。登る、一歩を踏みしめる、あの感覚、瞬時にベストな着地場所を探してそこを踏み、また次の一歩を踏む、気を緩めたら滑ったり怪我をしてしまうという緊張感、頼れるのは今この瞬間の自分の感覚、次の一歩だけ、という感覚。といっても私が登るのは大山とか金時山とかで、北アルプスとかの高い山は登ったことがないしそこまで高くなくていいかなと思う。高くても低くても山は山で、あの独特の緊張感のようなものが、あぁまた山に行きたいな、と思わせる。生きている、という感じがするのかもしれない。ちょっと大袈裟かもしれない。

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