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【予告】いまにつながる江戸時代の暮らし「長崎歳時記手帖」はじめます!

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お正月、節分、ひなまつり、七夕、秋の祭り、年迎え……。
いまに伝わる年中行事や風俗習慣を、江戸時代の歳時記でご紹介します。
季節をちょっと先取りしながらの更新は、毎月10日と20日です。
お代は、一記事200円。記事本文に加え、江戸時代に書かれた「長崎歳時記」の現代語訳を全文載せていきますので、興味に合わせて読んでいただけます。
コロナ禍により、祭りや年中行事の中止、簡略化が相次ぐご時世。
ひとときの季節感を楽しんでいただければうれしいです。

◇◆◇

はじめに
 江戸後期の長崎では、画文両方の「長崎歳時記」が生まれました。
 「文」の歳時記は、長崎の地役人・野口文龍が著した「長崎歳時記」。元旦から大晦日まで、日々の行事やその方法が細かく記されています。
 「画」の歳時記は、出島出入り絵師・川原慶賀によるもの。鎖国時代の西洋への窓口であった出島に赴任した西洋人、とりわけシーボルトの依頼で描かれた風景は、写真のようなあざやかさで、当時の人々の生活を見せてくれます。
どちらも長崎独特の祭りなどはありますが、多くの年中行事はほかの地方と共通しているので、これを読み、見ることで、江戸時代の日本人の暮らしぶりがどのようなものだったのか、生き生きと想像できるのです。

 私は長崎在住のライターで、町の歴史や暮らしについての文章を書いたり、本を作ったりしています。2016年には、この二つの長崎歳時記を組み合わせた「川原慶賀の『日本』画帳〜シーボルトの絵師が描いた歳時記」(弦書房刊)を作りました。

 この本では野口文龍の「長崎歳時記」をすべて現代のことばに訳し、川原慶賀の絵にあてはめて紹介しています。画文両方を並べることで、絵を見るだけでは意味がわからないこと、文を読むだけではピンとこないことが、それぞれに立ち上がってくるのです。

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(写真は、長崎の季刊誌『樂』に寄稿した、野口文龍なりきり解説)


 ちなみに、一万点を超えるともされる川原慶賀の作品は、そのほとんどが海外にあります。「長崎歳時記」も大半はオランダのライデン国立民族学博物館の所蔵で、出版にあたっては特別に許可をいただいて掲載することができました。
 Web上では、長崎歴史文化博物館のサイト内にある「川原慶賀の見た江戸時代の日本(I)」で、オランダと日本にある作品を見ることができますので、こちらを使ってご紹介していきます。

http://www.nmhc.jp/keiga01/kawaharasite/top2/top2.html

 記事では、本からはあふれてしまったエピソードや考察、現在の様子や写真もなども載せていこうと思いますので、本をお持ちの方も、いっそうお楽しみいただけます。

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「長崎歳時記手帖」予定

(1→10日、2→20日に公開予定)

九月
1 月見、菊見、丸山(花街)
2 くんち、秋祭り

十月
1 阿蘭陀船出港、出島
2 旅の風景

十一月
1 炉開き、川渡りの餅、節気候
2 餅つき、正月のお飾り

十二月
1 年越し
2 正月

一月
1 絵踏み、〆おろし、小正月
2 節分、初午

二月
1 唐人屋敷、中国の影響
2 ひなまつり、浜遊び

三月
1 ハタ揚げ(長崎の凧揚げ)
2 花まつり

四月
1 陸ペーロン・ペーロン(競漕)
2 端午の節句

五月
1 水祖神祭礼、井戸さらえ
2 稲作、村の生業

六月
1 祇園まつり、見せもの
2 夏越の祓、水浴び

七月
1 七夕
2 町の生業

八月
1 お盆
2 行商人、芸能者

その後「ボーナストラック」として、「人の一生」をご紹介予定です。

「長崎歳時記手帖」を、どうぞお楽しみに!

下妻みどり

稲佐山と船


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