採択者振り返り②小川泰佑さん
採択者によるMiTOHOKU Program振り返り。2人目は医大生の小川泰佑さんです。「医療的ケア児」の支援に取り組もうとMiTOHOKU Programに応募した小川さん。最終発表会で発表したテーマは当初から変わっていました。彼自身がMiTOHOKU Programを通して何を感じ、どんな変化があったのか、お話を聞きました。
プロフィール
小川泰佑さん
一般社団法人ari代表理事 医学部3年
医療的ケア児を支援しての気づき
小川さんがMiTOHOKU Programに応募しようと思ったきっかけは、「医療的ケア児の支援」という課題に取り組みたいから。医療的ケア児とは人工呼吸器や胃ろうなどを用いて日常的な医療ケアが必要な児童のことです。
小川さんは、全国に約20000名いる医療的ケア児を救い、その家族やきょうだいを支援しようと考えました。そこで医療的ケア児の支援を行っている医師の方と連携し、約20軒の家族を訪問。うち7~8家族に関してはご家庭の許可を経て、その後も週1回程度のペースで訪問をし続けました。
小川さんは訪問を続けながら学びを得ることができた一方で、自分たちのスタンスに葛藤したといいます。医学を学ぶ学生である自分たちが「支援する」という立場で子どもたちに接すると、子どもたちは「助けてもらっている」という感じることになる。結果的に、子どもたちに対して「自分たちは困っている」という感覚を与えてしまわないだろうか。その考え方は違うのではないか。
小川さんはここで、2つのことに気づきました。
1つ目は「支援する―支援される」という関係性ではなく、対等な関係を作ることの大切さ。医療を学ぶ小川さんは、どうしても「支援する」という先入観で考えてしまったと振り返ります。「医学生」という肩書にとらわれず、「人として何ができるか」という考え方がより大切だ、ということに気づいたそうです。
もう1つは、「人として何ができるか」という考え方に立った時、医療的ケア児を含め、より多くの子どもたちを幸せにしたい、と視野が広がったこと。教育領域での課題にも気づき、心の孤立や子どもたちが居場所を持てていないことを課題ととらえなおしました。
「かかりつけお兄さんお姉さん」を作る
そして、小川さんが最終発表会で披露したアイデアは、「かかりつけお兄さんお姉さん」。
教育・福祉・医療について学んだ学生をご家庭に派遣し、子どもたちの好きなことを一緒にしたり、遊んだりしたりするという取り組みです。
MiTOHOKU Programの学びと今後に向けて
一般社団法人ariの代表理事である小川さんは、まずは一般社団法人の事業として取り組み、考えた事業を軌道に乗せることを目標にしています。
ただ、サービスに対してお金を出せるご家庭だけ支援していても、心の孤立という課題解決にはつながらないと感じているといい、行政と連携しながら、お金を出すのが難しいご家庭にもサービスを提供していきたいと話します。
また、ぜひ読者の皆様にお伝えしたいのが、小川さんのプログラムへの参加の積極性です。中国研修中、参加者同士で夜語り合う場を発案したのも小川さん。他の採択者からも称賛の声があがりました。
https://note.com/mitohoku/n/n86fb7e5a431e
小川さんは語り合いの場を発案した理由について、「事務局の本気さに刺激された」といいます。「事務局を務めたWasshoiLabのみなさんが本気で向き合ってくれたからこそ、自分たちも本気で応えよう、もっともっと価値を生み出そう、と思った」と小川さん。先ほどの語り合いの場もそうですが、他にも中国研修の振り返りのアンケートの項目を事務局に提案したといいます。
MiTOHOKU Programについて「私たちの要望に応えてくれるプログラム。通常のメンタリングのほかに、個別でメンタリングをお願いしたら実現していただいた。必ず成長ができるプログラムだと思う」と小川さん。
自分の事業も、そしてプログラムへの参加も「人として何ができるか」を熱く考えてきた、小川さん。事務局としても、小川さんのプログラムへの参加の姿勢に熱く感謝します。これからのご活動も心から応援しています!
<MiTOHOKU Programの運営体制>
主催:
株式会社Wasshoi Lab
共催:
manordaいわて株式会社、七十七リサーチ&コンサルティング株式会社、株式会社日中BHEコミュニケーションズ、株式会社オーナー、国立大学法人東北大学、国立大学法人岩手大学、一関工業高等専門学校
特別協力:
株式会社七十七銀行、株式会社岩手銀行、仙台市、盛岡市、一関市
協力:
一般社団法人EO North Japan主催 GSEA東北大会、NPO法人学生ネットワークWAN主催 学生エバンジェリストアワード、研究コミュニティ ミツバチ
経済産業省
令和4年度 未踏的な地方の若手人材発掘育成支援事業補助金AKATSUKIプロジェクト 採択事業
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