なぜ"軽音"は音量が大きいのか

一般的に「軽音」と呼ばれる、ライブハウスで行われるもの、とっても音量が大きいと感じたこと、ありますよね。
この理由はズバリ、「曲の細部まで感じてもらいたい」という考えが根底にあるようです。


ライブハウスに行くとものすごい音量に驚かされる

ライブハウス。一回は行ったことがある人が多いんじゃないでしょうか。
実際に会場に入ってライブが始まるとそれはそれは大きい音量で、聴力の心配をした人もいるんじゃないかと思います。
しかしながら、その理由を調べても「文化的な理由」「受け継がれてきたものだから」のような理由しか見当たらず…
ということで、詳しく調べてきたのでその報告です。

そもそも"軽音"とは?

【軽音】=【軽音楽】=【ポピュラー音楽】
クラシック音楽が主流だった時代、一般庶民レベルで楽しめる、気「軽」な音楽として登場したのが「軽音」です。英語に訳すと「light music」となります。
「軽音」という言葉が意味するのは、あのライブハウスでやるようなものではなく、J-POPやK-POPのような「ポップス」全般になります。

なぜ大音量が主流となったのか?

ストリーミング技術が発達した現在、音楽をどこでも、誰でも気軽に聞けるようになりました。
おそらくほとんどのみなさんはヘッドホンやイヤホンを使って音楽を聞くことが多いはずです。こうした再生機器では、曲に仕込まれた繊細な仕掛けを比較的分かりやすく感じ取ることができます。
では、スピーカーではどうでしょう。同じ曲でも、細かな部分が聞こえなくなってしまうはずです。

これには空気中を伝う音の性質が関係します。

高い音は音が遠くまで伝わる代わりに指向性が高く、方向によってはあまり聞こえません。対して、低い音はより広い方向に聞こえる代わりに、近くにしか聞こえないといった性質があります。
現在はさまざまな方向にスピーカーを配置したり、Dolby Atmosなどの技術を使うことでこうした問題をある程度解決することができますが、「軽音」という文化が生まれた当時にはこうした技術はなかったため、大音量が主流になっていったと考えられます。
メインのメロディーから外れたベースのドラム、ベースといった作者の工夫。こうしたものを聴衆に感じてもらうための手段だったということですね。

変革の必要性

先ほど少し紹介したように、現代の音響技術は登場した当時から大きく変化しています。
音の特性の問題も、さまざまな方向にスピーカーを組み合わせ、また音響エンジニア(PAさん)など専門の方の力を借りることで忠実で細かい音まで伝えられる会場が出来上がります。

また、音量の大きさは難聴などの問題を引き起こします。
WHOの基準では、音量別のI日あたりの推奨ばく露量を以下より小さくするよう求めています。

https://www.ituaj.jp/wp-content/uploads/2017/02/2017_2-06-SpotSafeListening.pdf

ライブハウスは一般的に100~110dbと言われていますから、長時間連続で大音量を聴くことになるライブハウスのような環境では、難聴のリスクを大きく上げることになります。
また、100db以上では突発性難聴を起こすリスクが高まります。突発性難聴の状態が継続すると、一生聴力を失うリスクもあります。

長い歴史を持つ軽音。人生100年時代と言われる現代では、長く音楽を楽しみたいものです。時代に合わせて、音量を調整していくことが必要かもしれません。


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