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第42回 カウンセラーのTシャツと言葉のサラダ カウンセリングのマーケティング戦略

カウンセラーとスタッフの日常会話の記録です。

 Mi代表:深層心理学が専門のカウンセラー。Mitoce代表。
すたっふ:カウンセラー見習いのスタッフ。少々オタクらしい。


すた:気づいたのですが、良いカウンセラーって探しにくいですね。ホームページを探してもよくわからない。どうやって探すのでしょうね。

Mi代:そのあたりは私もどうすればいいのか、いつも悩んでいます。 

すた:この心理職の業界って、いわゆる顧客目線での情報発信が少ないと思って。ホームページを見ても、カウンセリングをしているのはわかるのですが、それ以上の情報って少ないですよね。人の名前と経歴が書いていても、それ以上に何か選ぶための基準って無いなって。あとは値段でしょうか。そのあたりを上手く表現するのは民間のカウンセリングルームなので。でも民間のカウンセラーは、臨床心理士と比べるとまだ専門家として信頼できるかどうかがわからない。けれど、そういったカウンセラーの方が集客は上手だと思います。この業界はどうにかならないでしょうか。 

Mi代:たしかに発信力がものすごく弱いです。

 すた:ほかのカウンセリングルームとの比較ができないんですね。それに気づいたのも、たとえば洗濯機を買うときを考えたらいいんですけれど、そういうときは自然とネットで調べているなって。どういう機能があるとか、比較サイトとか。でもカウンセリングって、そういう比較って出来ないじゃないですか。大体の情報は書いているけれど細かいとこまで書いていない。 

Mi代:なるほど。カウンセリングとか最近では認知行動療法って書いているけれども、それ以上の内容は書いていない。

すた:洗濯機で言えば「洗濯機です」「形はドラム式です」「メーカーはA社です、B社です」程度なので。

Mi代:それだけでは選べないですね。そこで値段だけ書いてあっても比較しようがない。 

すた:その先の情報が必要なんです。乾燥機能がついているといったら、どれもついているので。そうではなくて速乾機能がついていて、電気代はどれぐらいかかるとか。布が傷まない機能がついているとか。油汚れも、少ない洗剤で落とすことができるとか。そういったことなんです。

Mi代:カウンセリングで今、出てくる情報ってものすごく少ないですね。カウンセリングで話を聴きます、といわれても「それで?」となりますね。一応は「こころの悩みの解決を目指す」みたいなことを書いていたとしても、「それで?」。これって洗濯機でいえば「ドラム式です」「汚れが取れます」程度の情報。
顧客目線で考えると、悩みを軽くするのはカウンセリングに当然求めることであり、「悩みの解決を目指す」といわれても、ほかと差別化が出来ていない。つまり選ぶ基準としてそれ以上の情報がないと選びようがない。最近流行りの認知行動療法であってもドラム式洗濯機程度の情報。エビデンスがあります、具体的な認知と行動に焦点をあてます、といわれても、ドラム式の説明に過ぎない。顧客としてはもっと踏み入った部分の情報を必要としている。 

すた:そうなんですよ。だから、顧客からすれば比較の仕様がない。もっと詳しい情報が必要なんです。 

Mi代:それって認知行動療法の理論がどうであるとか、そういうことではないですよね。ドラム式洗濯機の具体的な設計方法を教えてもらっても、別に顧客にとってはどうでもいい。一部の家電マニアだけが喜ぶ情報です。 

すた:たとえばMi代表のしている深層心理学とか、夢分析ってそれだけでもう情報が突出しているんですよ。ほかにそういうことを前面に出している人はいないんで。 

Mi代:たしかに、そうですね。近隣のカウンセリングルームを見ても、それを前面に出している人はいない…なるほど。近隣の情報をみると、発達障害、パニック障害の治療とか、アンガーマネージメント、認知行動療法、そして心理テスト。ほかにはカップルカウンセリングや、医療機関と連携していますなど。でもこれはどこのカウンセリングルームでもしているので、顧客にしてみれば比べようがない。それは差別化にならない…。
ホームページについても、私も書いてしまっているのですが、こころの病に関する知識を書いていたとしても、それはどこでも書いている内容。正確な情報が欲しいなら、公的なサイトもありますし、わざわざカウンセリングオフィスの情報を読む必要がないかもしれない。
きれいなホームページを作るのも大切ですが、最近はお金をかければある程度、見栄えの良いホームページが出来る。でもそれも、どこも同じ程度きれいだと、差別化はできていない。こういったことに溢れています。
結局はカウンセリングオフィスなので、大切なのは「そのカウンセラーに会って相談したくなるかどうか」です。「一度、このカウンセラーに会って話をしてみたい」と思ってもらうことが大切。とくにカウンセリングは1回会って終わりではなくて、繰り返し通うことになるので「このカウンセラーと会い続けられるか」どうかがものすごく大事になる。
そう考えると認知行動療法やアンガーマネージメントと書いてあっても、「会ってみたい」「会い続けたい」と思うかどうかとは少し違う。洗濯機の機能で「布団の丸洗いができる」など高機能があったとしても、毎日布団洗いをするわけではない。特定の機能面だけでは引きにならない。もちろん高機能が好きな人もいるのですが。それよりも普段使いを考えると丈夫で長持ち、長期的に見て節水できて、電気代が少ない。それでいて静音など、使い続けるときに気になる情報を伝えていくことが大切なはずです。
すたさんがおっしゃるように、私の専門である深層心理学や夢分析というのは一見、洗濯機の機能面の話のように聞こえるのですが、実際にはそうではないですね。どちらかというと静音とか、洗剤が少なくて済むとか、そういった地味だけども長く使い続けているうちに、明らかに結果が違ってくるという内容です。

すた:それって一般には知られていないですよね。

Mi代:はい、知られていませんね…。深層心理学をもっと知ってもらわないといけないのですが。深層心理学とは何かと考えて、今回はホームページに説明を書きましたので読んで頂けたらと思いますが。
深層心理学は、こころの深い層を扱って自分らしい個性を発揮できるようになることを目指します。こころの悩みの解決もまずは大切になるのですが、それはカウンセリングの効果の一部であって、結局はその人らしい個性化を目指すことを大切にしています。
自分がなぜ生まれてきたのか、生きがいは何かなど、いわゆる深い悩みを抱える方も対象としています。そういった方々は、とくに目立つこころの症状はないのですが、こころの深い部分ではすごく悩んでいます。これらは、いわゆるこころの機能的な側面を整えていくだけでは、どうにもならない。だからどうしても個性とか、こころを深く知るとか、そういったことが必要になります。 

すた:作品分析もそういった流れで。

Mi代:そうですね。作品を分析するのも、深層心理学的な観点を、もっと身近に感じて理解してもらいたいという動機が一番です。前回に話した、もののけ姫もそうですが、主人公のアシタカを分析したように、相談に来られたクライエントの持っている世界もこころの深層から捉えて考えます。勝手にカウンセラーがわかったつもりになるのではなくて、クライエントに「私はこう思ったのですが」と意見の一つとして伝えます。そこから、お互いに協力してこころの分析を深めていきます。
私の仕事を知ってもらうために、もっと作品分析を出していくと面白いかもしれないですね。たとえば庵野監督のひたすら鬱っぽい重い世界を、作品ごとに追っていくとか。 

すた:それはMi代表の趣味が出すぎてしまいます。庵野監督作品って、エヴァとか、最近の『シン~』シリーズは人気でしょうが。そんな庵野監督個人に焦点を当てても…。もっとディズニーとか、ハリウッド系の作品とか、日本だったらジブリだとか。そういうみんなが興味を持っているような作品がいいと思います。私は断然、ハリーポッターですが。

Mi 代:なるほど…。たとえばディズニーのファンタジアとか…。

すた:あれこそディズニーマニアしか観ない作品ですよ。観るにしても、白雪姫ぐらいでしょうか、古い作品だったら。

 Mi代:ピクサーだったら、王道になるかもしれませんが『インサイド・ヘッド』がこころの機能をテーマにした作品でした。あれはそのまま、という感じがしますが。ジブリだとすれば、ナウシカの原作マンガでしょうか。もののけ姫の頃に完結した…。 

すた:あの…、Mi代表の思いつく作品がどれもオタクかマニア向けなんです。私は今言ったじゃないですか、一般向けの作品だって。だからこそハリーポッターって言ったのに!子どもに一般にも人気があるので、あの作品の分析であれば読んでくれる人はたくさんいると思います! 

Mi代:それはすみません。ハリーポッターを分析となると、イギリスの歴史から始めて、J.K.ローリングの育った環境やタッツヒルの森のことも調べければならないので…。 

すた:そこまでする人はいないと思います。でもそれがMi代表の考える、深層心理学だと。 

Mi代:そうなんです! 自分がわかる限りの情報を集めながら、作品を理解しようとする。情報が少ないときには、何度も作品を観たり読んだりして分析を重ねていく。分かったことを少しずつ組み合わせて分析を深める。まさに深層心理学のカウンセリングそのものです。

すた:Mi代表…。その行動を一般的にはオタクっていうんですよ。

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