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S&Mシリーズ1~3/森博嗣

表題通り、S&Mシリーズの3作目までを読んだのでその感想。

このシリーズを読むのは初ではなく、2巻目以降は大学時代に紙で買って全部持っている。1巻目を買わなかったのはアニメで見たのでいいやと思ったから。

ちなみにアニメを見たきっかけは、当時加瀬康之さんが好きで(今でも好きな声優さんの1人)、加瀬さんが出ていたからだった。そしてアニメ面白かったから続きのシリーズも本買って読もうと思い、集めることにした。

前置きはここまでで以下感想。3作目の「笑わない数学者」については匂わせる程度のネタバレがある。

すべてがFになる 

密室から飛び出した死体。究極の謎解きミステリィ。
コンピュータに残されたメッセージに挑む犀川助教授とお嬢様学生・萌絵。孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季(まがたしき)。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平(さいかわそうへい)と女子学生・西之園萌絵(にしのそのもえ)が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。

S&Mシリーズの第1作目。でも実際は4作目として書かれたものらしい。

かなりボリューミーな作品なのだが、想像以上に読みやすくてスラスラとページがめくれていくので驚いた。理系ミステリーということもあり、途中コンピューターの用語全然わからないと思うこともあるが、基本的には会話文が多いのでスイスイ読める。

犯人やどうやって密室で殺したのかという部分はあまりにも衝撃的で忘れようがないのだが、どうやって逃走したのかだったり「すべてがFになる」の意味は忘れてしまっていたので、そういうことか!とすごく驚いた。

やっぱり真賀田四季の存在感はすごいなぁと思った。彼女がいるだけで作品としての格が上がる気がする。やっぱり。

わたしは理系の思考回路も天才の思考回路もサッパリわからないが、理系の天才がいたらこういう感じなんだろなあと思わせる描写はすごいと思う。でもって犀川先生も萌絵も四季も別タイプの天才で、そのあたりの書き分けもすごい。


冷たい密室と博士たち

同僚の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女二名の大学院生が死体となって発見された。被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!?人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが…。究極の森ミステリィ第2弾。

確かこちらが本当の処女作だった気がする。

犀川先生って基本事件に関わりたくないよーと思いながら萌絵に引っ張られて何だかんだ事件に首を突っ込むことになる印象だったのだけど、この巻だと割と事件解決に乗り気で意外だった。

すべてが~ほどの衝撃度はなかったし、個人的にシリーズの中だと印象が薄い作品ではあったのだが、読み返すとなかなか手堅く面白かったし、読んでいて全然退屈しなかった。複雑なようで実はシンプルで安全重視なトリックはすごく好き。犯人の動機もすごく良かったと思う。


笑わない数学者

偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、2つの死体が発見され……。犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビが館の謎と殺人事件の真相を探る。超絶の森ミステリィ第3弾。

森先生曰く、すべてがFになるから封印再度までの5作の中で1つ読むならこの作品にしてほしいらしい。*1 個人的には1冊読むならやっぱりすべてがFになるだと思うが、1番好きなのは封印再度

オリオン像のトリックは覚えていたのかどうかわからないのだが、とにかく最初の段階でこのトリックしかないだろと思っていた。合っていた。でも殺人事件とのリンクまでは全然わからなかった……。

ただこの作品の本当のミステリーはオリオン像消失でも殺人事件でもないところがニクい。終盤読んでえーーーー何それ!!!!!って思った。

あと個人的にS&Mシリーズはミステリーも面白いけれど、このあたりから犀川先生と萌絵の関係性というか、超もどかしいラブコメ(コメディではない)がめちゃくちゃ面白くて好き。後半になるにつれ2人の関係性目的に読んでしまう。先ほど封印再度が1番好きと書いたのもこのあたりの理由だ。


数年ぶりに読み返してみたら良い感じに忘れていることもあり、すごく面白く読めた。S&Mシリーズは全部完走しようと思うが、大学時代には手を出さなかったVシリーズ以降も読みたい。


*1 https://ja.wikipedia.org/wiki/S%26M%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA


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