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プーファフリ―の危険性

一昨日、2023年度第一回目の講習会を終えてきた。

現地に来て下さった人数は3人、オンラインで申し込んでいただいた人数も3人と、Twitterをやめて勢いが落ちた中で来ていただいたことが嬉しかった。現地に来ていただいた方には概ね満足いただける内容にできたのだが、残念なことにオンラインは当日の接続がうまくいかず、散々な結果となって大失敗であった。ライブ開催にはやはりトラブルが生じた。この辺の見通しの悪さは私の欠点だ。申し込み頂いた方向けに再収録の準備中だ。

氏を批判しなければならない理由は、反ワクチンを主張する時点で批判の目に晒されることになる一方、その根拠に穴があると結果として印象が悪くなる為である。1796年の時点でワクチンは「一切の科学的手法を侵害している」だけの存在でしかなく、そこから”改良”を考える時点で科学としては論外だが、「完全なる健康を侵害する行為は、貞操や節制の侵害に匹敵する専制的邪悪である」というフランシス・ニューマンの言葉や、「予防接種は、病気を蒔いて健康を収穫するという永遠に達成不可能なタスクに挑んでいる」というジョセフ・スワンの言葉はもはや現代人には届かない。19-20世紀の種痘の頃のような、接種直後に分かりやすく銀硬貨ほどの肉片が爛れ落ちる」「破傷風感染や敗血症が起こるといった深刻な被害を経験することもなく、一見して健康なように見えることもあるだろう。ワクチン学の発展とは、如何に被接種者に自覚症状をもたらすことなく内部から腐らせるかにあるといえる。

せいぜい”発言者がベジタリアンだから"等という下らない反論にもなっていない”ファクトチェック”で簡単に納得するように100年かけて躾けられてしまっている。従ってあくまで同じ科学の土俵で戦争をしなければならない。

別に好きで毒物を打ちたいなら話は別だが、大半の民衆にとってはこんなものただの黒魔術に過ぎないのだという圧倒的情報量が必要である。その為には常に互いを監視し、アップデートをし続けなければならず、故にこんな杜撰な言論を放置するわけにはいかない。

一方で、確かにプーファが有害になる場面も存在する。それは「何故今私がワクチンの話をしたか」である。プーファはワクチンとの組み合わせによって兵器(Tateno et al., 1997; 梁瀬, 1980)となり、その作用は鎖長の長さに依存する。そのメカニズムは、腎臓の近位尿細管が急性の障害を受けると「脂質代謝から嫌気性糖代謝に切り替わり、乳酸新生をする」(Gewin, 2021) ことによる。従って氏の言う「メタボリック・スイッチ」と「プーファが慢性病の原因」は部分的真実ではあるのだ。

(Gewin, 2021)‐Fig.3
腎臓傷害は近位尿細管の脂質酸化を抑制して嫌気性解糖を増加させることで代謝を変化させる。
A(左):健康な近位尿細管細胞はペルオキシソームとミトコンドリアによるATP生成に脂肪酸を利用する。PCG-1αやPPAR-αのような転写因子がミトコンドリア生合成と脂肪酸酸化関連遺伝子の発現を増加させる。換言すれば、解糖系は無傷の近位尿細管では主要なエネルギー源ではない。.
腎障害はミトコンドリア機能を傷害し、PGC-1αとPPAR-αの発現を低下させる。
B(右):従って、脂肪酸酸化が減少し、損傷した近位尿細管細胞はエネルギー的な要求を満たす為に解糖系に依存することになる。嫌気性解糖は乳酸レベルの上昇に繋がる。

今回の講習会ではここまで話すことは叶わなかったが(ここを話さないと正直私が喋る意味もないのだが)、本記事ではその講習会で話した内容の一部をご紹介したいと思う。
今回の講習会でお話でした内容は
①     先人の名誉を守る
②     プーファフリ―の危険性について

この二点だ。
1に関しては批判記事の②で語っている通りだ。端的にまとめると、”必須脂肪酸”を定義した人物が言ってもいないことを言ったことにして一方的に批判しているという内容である。これは先人の名誉を著しく毀損する行為であり、100歩譲ってプーファフリーの健康面での有益性が認められたとして正当化される行為ではない。

プーファフリーは実質何が危険なのか?プーファフリーで上昇する「糖のエネルギー代謝の正体」について。

対象となる文章は以下の部分である。突っ込み処に☆をつけておいた。

必須脂肪酸欠乏、つまりプーファフリーにすると逆に糖のエネルギー代謝が上がります<☆5>。これはプーファを「必須脂肪酸」と誤認したジョージ・バーでさえラットの実験で認めていた事実<☆6>です[72]。さらに、バー自身もかかわっているファットフリーの臨床実験の結果からも知ることができます[73]。この臨床実験は、健康人を対象に6か月プーファも含めたファット・フリー(脂肪抜き)の食事をしたものです。その結果は、驚くべきものでした。そして何より、重要な所見は、糖のエネルギー代謝が高まったことです。バー自身も関わったこの臨床実験から、ヒトの場合は必須脂肪酸フリー(プーファフリー)でも悪影響は出ないという結語になっています(エビデンスは逆を示しているのに、なぜバーはラットの実験での必須脂肪酸に拘ったのでしょうか?)<☆4>
 それでは、なぜファットフリーのラットの皮膚炎や成長障害がリノール酸やリノレイン酸投 与で改善<☆1>したのでしょうか?1つには、当時実験に使用されたリノール酸やリノレイン酸の純度が低く、他のビタミンやミネラル分を含んでいたことが指摘されています☆2>。
 そして重要なのが次の理由です。プーファフリーで糖のエネルギー代謝が高まるということは、それだけ糖以外にもエネルギー産生の元になる材料が必要<☆7>になります。それがタンパク質、ビタミンやミネラルなのです。糖のエネルギー代謝を回す酵素は、タンパク質、ビタミンやミネラルを必要とするからです。
 実際にプーファフリーで、これらのビタミンやミネラルが欠乏すると糖のエネルギー代謝が回らなくなります。つまり、バーの実験は、実際はプーファフリー(脂肪フリー)で糖のエネルギー代謝が高まりましたが、それに見合うビタミンやミネラルなどの栄養素の需要量が欠乏していたため、皮膚炎や成長障害が起こっている<☆7>のです。したがって、糖質、ビタミンやミネラルなどをプーファフリーのダイエットにしっかり含ませると、これらの皮膚炎や成長障害は起こりません<☆3>。これが、リノール酸やリノレイン酸を投 与 し な く て も<☆1>ビタミンB6などで、ファットフリーのラットの皮膚炎や成長障害が治癒した理由<☆3>です。
 オメガ3を含むプーファをフリーにすることによって、糖のエネルギー代謝が20~30%高まることが分かっています[74/75/76]<☆6>。しかし、これらの過去の動物実験では、プーファフリーで成長が遅れることがたびたび指摘されています。これは、バーの実験でも起こっていた基礎代謝(糖のエネルギー代謝)アップに伴うタンパク質、ビタミンやミネラルなどの栄養素不足から生じているのです<☆7>。糖のエネルギー代謝が高まれば、それだけ糖、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素をそれまで以上に必要とします<☆7>。この代謝アップに伴う栄養素供給不足によって、好ましくない結果が出るのです。

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この一連の段落に、この男の悪意の全てが込められている。全てを理解した今となっては反吐を催すほどで、お陰で坊主憎けりゃ袈裟まで憎い的に全ての﨑谷姓の人物が嫌いになりそうだ。巻末の注意事項に

(2)本書は著者が独自に調査した結果を出版したものです。
(4)本書の内容に関して運用した結果の影響については上記にかかわらず責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。

などという誠実さの欠片もない言葉があるのは責任逃れだとすら勘繰ってしまう。

上記の突っ込み所(引用文に☆をつけた)は以下の通り

☆1:文章が論理的に破綻している
☆2:引用がない
☆3:引用がないPart2
☆4:臨床試験でのバーの結論を全て紹介していない(自説に都合よくピックアップ)
☆5:「糖のエネルギー代謝」という言葉のミスリード
☆6:”糖のエネルギー代謝が”20~30%高まった動物実験の惨憺たる結果の無視
☆7:基礎代謝が上がって「必要量」が増える背景の無視

「リアルサイエンスは信じる、信じないや好き嫌いの宗教」ではないなら(そのまま著者の頭にブーメランを突き刺して延髄まで捻じ込みたいほどだ)、以下の指摘に誠実な対応を求めたい。

☆1:文章が論理的に破綻している

そのままである。「何故リノール酸/リノレイン酸の投与で改善したのでしょうか?」で始まるなら、以降の文章はそれを説明するものでなければならない。だが結語は「投与しなくても改善した理由」となっており、辻褄があっていない。端的に何が言いたいか不明である。

最大限著者の主張を汲み取るなら、「当初の実験で脂肪酸の投与により改善したのは飼料に他の雑物が混じっていたからであり、その証拠に”脂肪酸欠乏”の皮膚炎がビタミンの投与によって改善した」なのだろうが、以下2点(☆2/☆3)によりそれは封殺される。

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