最近、例のワクチンでADE(Antibody-Dependent Enhancement:抗体依存性感染増強)なる現象が生じるのではないかと話題になっている。
正直どっちもどっちな医師なのだが正義のお医者様方が情報発信をして下さっている。是非「もう打ったわ遅いわ!!」という突っ込みをされる前に話を聞いた方がいいかもしれない。多分釈然としないけど。
※というかEnhancement(増強)しか書いてないのに「感染」の意味はどこから来るんだろう?
で、そんな騒ぎを他所に我らが厚労省様の見解は以下の通りだ。
報告ないんだって。流石忠実なワンコ集団プロフェッショナル集団が妄言適切なアドバイスをされてますからね。
さて、そんな大変な接種後の現象ADEなのだが、タイトルの通り、私にはどうもこの用語の説明が気持ち悪くて仕方ない。
何や不 適 切 って!!!!(# ゚Д゚)
不適切なんて用語を使うなら「適切」を定義しやがれ!!!
と私はこの僅か二行目の時点で胡散臭さを感じてしまうわけなのだ。
まぁどうせ「中和抗体」と言いたいのだろうが、だったらそう書けばいいのになんだこの言い回しは
で、だ。そこを百歩譲って先に進んだとして、重要なのは
この部分なのだろう。
・我々を守ってくれるはずの抗体がウイルスに結合した
にも関わらず
・ウイルス感染が起こった
が本質らしい。
全身に細胞って70兆個あるわけだがどれだと突っ込みたいが、その答えが
ここなんだろう。更に先を読み進めると
何で科学用語に「トロイアの木馬」なんて神話用語が出てくるんだ?ただカッコつけたいだけやろうがどうせ要するに
・ウイルスさんが抗体を引っ提げたまま
・別の免疫細胞にアクロバティックに感染する
ということが言いたいらしい。
うん。。で?
この説明に則るならただ単に免疫細胞が死んだだけだ。そっから何が起こるの?
今度は「免疫細胞の暴走」と来たもんだ。しかしその原因が「中和活性のない抗体」とある。漸く「中和」の文字が出てきた。これで「不適切」なんて曖昧用語は排除できる。
しかしこれまでの話で疑問点がある。
抗体「が」ウイルスの侵入を「促進」するのだろうか?
それとも中和活性のない抗体のせいでウイルスが侵入してしまう、つまり「事故」なのだろうか?
中和抗体の定義は
中和抗体とは、抗体の中で特に中和能力を持ったものを指す。中和抗体が結合したウイルスは、この定義に則れば活性を失ってしまう。抗体の中にはこの活性を持つものと持たないものとがあることになる。
ウイルスはとにかく感染したいはずだ。ということは中和活性を持たない抗体に味を占めてウイルスは目的を遂げようとするはずだ。だとするなら「抗体"が"」「感染"を"」「増強」とは何なのか?
また意味不明だ。次から次に用語が出てくる。感染増強抗体ってなんだ。何の目的で生体がそんな抗体を作るんだ。抗体は生体を守りたいはずじゃないのか?
だが最近こんな文面を見つけた
まず注目したいのはコチラ
一番しっくりくる説明だ。主体がウイルスだからだ。しかしこの記事には以下の表がある。
おやおや?????中 和 抗 体でADEが起こっている????
どういうこと????
引用されているこの論文には何と以下の記述がある。
引用のnote記事は「スパイク蛋白が危ねぇ」の論調だが、そんなことより、この論文が中和抗体を計測しながら実験動物にADEが発生したことを報告していることだ。
あれれれれれ????「不適切な抗体」やら「中和活性を持たない抗体」やら「感染増強抗体」のせいなんじゃなかったかしら????結局抗体の種類は関係ない????
…と。簡単に調べて出てくる範囲ではこんな矛盾だらけの情報ばかり引っ掛かる状況だ。ハッキリいって気持ち悪い。
そしてそもそもの問題は「抗体だけに注目し」「その役割だけを見て」次から次に命名を生み出すことにある。だからこんな厄介な事態になるのだ。
病原体を中和した→中和抗体
病状が悪化した→感染増強抗体
などなど。
だが抗体とは、構造的にIgE/IgM/IgD/IgA/IgGの5つ(細かく言えば10)のクラスに分類できるはずだ。
中和抗体とはこの内のどれかなのか?
それとも
この5つとは別に中和抗体という種類があるのか?
というクソみたいなことが起こるわけだ。
中 和 抗 体 っ て 何 な ん だ
要するにこの内容だと、「これが中和抗体だ」と掲げられるものなどなく、後から抗体分析をして「中和をしているか否か」という結果論で判断していると見られても仕方ない。これは一体誰に聞けばいいんだ?
天下の国立感染症研究所様が「中和抗体の定義がお答えできない」そうだ。
まぁこれは一般窓口に聞いたことが場違いであった可能性もある。この記事を読まれている方の中に、適切な問い合わせ窓口が浮かぶ方がいたら是非ご連絡を頂きたい。
※実際「中和」を何を以て判断しているかは後ほど検討するが、とにかくこんな↓マニアックな構造解析に励んでいらっしゃるようだ。中和後の複合体の生理活性が問題だと考える私からすれば無駄極まりない研究だ。
彼らは「中和」をゴールにしているため、in vitro(試験管内)で中和だけ確認できたらOKだと判断するのだ。中和後の塊を処理する生体のことなど微塵も考えていない。
話を戻すと、そもそもの問題は抗体を役割で語ることであり、中和だのオプソニンだのに拘るからいけないのだ。抗体が何をするかなど、分泌しているのが生体なのだから、生体の体調や栄養状態、遺伝で決定されるはずだ。
一例としてこんな論文を紹介する。
胚中心選択と親和性成熟にはmTORC1キナーゼの動的制御を必要とする
mTORは筋トレマニアに馴染み深い物質である。一般的には体内の栄養を中継し、筋肉の合成を指令する(同時に筋肉の分解を抑制する)物質として知られ、立派な筋肉を見せびらかしたい筋トレマニアは如何にこのmTORを活性化するかに命を捧げている。この論文は、そのmTORが免疫形成にも関与していること報告したものだ。
皆大好き抗体の中和活性は「親和性成熟」とほぼ同義であるが、その親和性成熟はmTORが制御している。この論文は
①ヘルパーT細胞からの指令が出た時点で、B細胞中のmTORC1が活性化
②抗原に特化したB細胞の増殖をmTORC1がサポートし、親和性成熟に寄与する
③ただし、mTORC1を(薬理学的・遺伝的に)持続的に活性化させ続けると、無駄なB細胞を残すことになることから、動的なオン・オフ制御が行われていると考えられる
という内容であり、そのmTORの機能は栄養状態に左右されるのは上図の通りだ。従って生体の栄養・健康状態を考えることなしに免疫を語ることはナンセンスである。
研究者らは、抗体というタンパク質、つまり物質と向き合っているがために、その物質を作り出しているのが生体だという前提を忘れている。だから彼らの話には「個体の生活習慣」という重要な因子が欠落していて、机上の空論ばかりが飛び交うことになる。