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移動手段の選び方/電車に酔う私にとって、高速バスは動くオフィス



9:19 東京から名古屋に向かう高速バスを待つ待合スペースには、どこの国か分からない言葉が至る所で飛び交っている。思わず『インバウンド』という単語が頭に浮かぶほど、平日だと言うのにすごい賑わいだ。

かく言う私は、一週間の帰省兼仕事のために朝6時に起きてここにいる。1ヶ月前だったか、予約していた高速バスの出発30分前に起きて乗り過ごしてしまった苦い思いをしたばかりだったので(準備と片道に1時間半はかかる距離)今日こそはとアラームを10分おきに3回セット。なんとか予定通りにこの場所に辿り着けたというわけだ。


つい2年前まで、社会人になってからは特に、【高速バス=高校生や大学生で乗る夜行バス】のイメージで、もっぱら名古屋、東京間の移動は新幹線になっていた。

けれど、前提として私は電車酔いをする体質で。移動中の新幹線では、パソコンはもちろんのこと大好きな本もまともに読めず、ただ『移動をする、仮眠する』ことしか機能面の価値がなかった。もちろん、目的地への移動時間は最も早い手段だけれど…。

(『もし?どこにいる?』この文章を打っている今、隣に座る女性の高い声が耳に入る。恐らく待ち合わせをしているのだろうか。
見ると、足元はキティの白いサンダル。デニムのショートパンツにこちらも丈の短いショッキングピンクのキャミソール。ロングヘア―な金髪で顔立ちはよく見えないが、目元が何重にも重ねられたつげまつ毛で存在感があった。
自己表現、インパクトはあるけど、素敵ね。)

えっと、話を思い出すと…。そうそう、あれは遡ること2年前だ。珍しく「いつもと違う選択肢を選ぶキャンペーン」ならぬ、人生の実験をしていたタイミングで、10年ぶりに高速バスという移動手段を選んでみた。

そしたらなんと、これが快適。

パソコンを触っても酔わない、むしろ集中できる。本を読んでも酔わない、むしろ集中できる。幸い、閉所恐怖症などもなく、隣同士のプライベートも守られるから、安心して寝ることもできる。(夜行バスは睡眠の質がどうしても下がるので今の私には合わなかったが…)

途中休憩も基本、キャリーは預けっぱなしなので手荷物は軽量。移動時間に『仕事、読書、途中下車して楽しむ』という選択肢が加わった!


今日はあえてビジネス視点で考えてみると、移動時間が短い方がもちろん仕事の効率は良い。けれど『移動するオフィス』が新幹線ではなかった私にとって、これはひとつの選択肢としてはおおいに有りなのだ。




乗る乗り物によって、現れる『自分』は変わる。

運動欲や気分転換には「自転車」
自分で舵を切り、自分の心に赴くままに自由に世界を飛び回りたい時には「車」
普段見ることが少ない世界を眺めることを楽しめる「飛行機」
そして、移動するオフィス+旅行気分を味わえる「高速バス」
「電車」は、人や広告、車窓の景色から今の社会のながれを垣間見ている感覚。(船は…なんだろう、冒険?日を改めて考えてみたい)


乗り物と一言に言っても、時短、便利さといった機能面だけではない“その時の自分が求めている感情体験“が、その選択肢のなかには含まれているように思う。

もしどこかへ出かける時「どの移動手段で行きたいか」そこから今の自分が欲していることに目を向けられるのかもしれない。


バスの休憩時間に立ち寄った足柄SA

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