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運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 安藤 寿康・橘 玲 共著 いかに「地獄」を生き延びるか? その② Vol.43

橘玲さんが語る「人的資本の最強法則」
とは?(人的資本=個人の能力)
前回からの続きです。

橘玲
「どうすれば成功できますか?という問いに対して、圧倒的な才能はもちろん、圧倒的な努力も何の答えになっていない。どちらも遺伝的な要因が大きいから。」

ここでデータアナリストのレイトシルバー が提唱した法則、
努力の限界効用の提言の話がでてきます。

『2割の努力で8割のライバルに勝てる』

どういうことか?

「努力の限界効用の低減のもう一つの特徴は、 最初の努力は大きく報われることです。だったらまずは、
2割の努力をして8割の素人を圧倒できるブルーオーシャンを探せばいい。
問題は残りの2割のライバル(プロ)に勝つためにとてつもない努力を必要とすることです。」

強者との戦いを避けて、自分の能力を発揮できる場所を見つける。それが成功への近道になる。

橘さんは続けます。
「とてつもない才能がなくても、とてつもない努力ができなくても、競争相手の平均を上回っていれば十分な利益(金銭的な収入)と高い評価を獲得できるでしょう。

得意なことに人的資本(自分の能力)を集中させる、その上で自分の強みを生かせるニッチに活動の場をずらすことで、それなりの成功を手に入れることができるのではないでしょうか。

これが、行動遺伝学の知見とも整合性のある人的資本の最強の法則 だと考えています。」

上がグラフにしたものです。
ご覧のように20%の努力で80%上達します。この上を目指すとなるとプロの領域です。かなりの覚悟が必要。

ここで大切なことがあります。

自分にとって成功とは何か?
自分にとってお金とは何か?
何のために努力をするのか?
きちんと考えてから努力をすることが必要です。
私たちは幸せになるために生きています。
目的をはっきりさせておかないと、手段が目的化してしまいます。

安藤先生は言います。
「今はSNSなどでキラキラした人の世界か見えてしまう。自分には自分のリアルな人生があると思えるようになることが必要だと思う。
大成功でなくても、無名でほどほどの成功で幸せに生きている人はたくさんいる。そういう情報がもっとあってもいいように思うのです。
加えて人はずっと輝き続けなくてもいいということも大事なメッセージではないかと思っています。人生の中で一度だけでも輝けた瞬間、誇りに感じられた瞬間があればその経験はその人の核になりうる。
全国的でなくても、地域のコミュニティで高く評価されたということでもいい。そういった経験があるだけで、ずいぶ生きやすくなるということをささやかに伝えてほしいです。」

人と比べるのではなく 自分にとって幸せとは何だろう?
人間の欲には限りがありません 。だからこそ、自分の価値観や物差しが必要だと思うのです。

最後に、
橘さん
「遺伝的な適正というのは結局自分が何に向いているかを見つけなさいという話になるのかなと思います。」

安藤先生
「遺伝的に適正のあることと外部からの評価は無関係です。」

安藤先生は「たかが遺伝」とおっしゃいます。しかし、「遺伝が与える影響も大きい」とも言います。
『遺伝』という事実を突きつけられると、つらいところもあります。しかしそのことを頭の片隅にでもおいておけば、生きやすくなるのではないでしょうか。


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