「植物から、自然の香りをいただく蒸留体験」 花、暮らし、私 vol.07
みなさんは普段、どんな香りと暮らしていますか?
香水、アロマオイル、ディフューザーやお香、化粧水にハンドクリーム、紅茶、コーヒー、スパイス、香草…
パッと思い浮かぶだけでも、空間・スキンケア、リラクゼーション、飲み物や食べ物まで、多種多様な香りを普段から楽しんでいますね。
この香りたち、多くの原料は植物です。
私たちは食べる、愛でるだけでなく、鼻からも植物の恩恵をいただいています。
嗅覚は五感の中でも、太古から存在する原始的な感覚器と言われています。より本能的な行動や感情に関わる脳内機関にダイレクトに届くため、香りは一瞬にして脳を活性化してくれるのだとか。
今日はそんな香りのお話。
名古屋市守山区に工房を構え、主に日本産の植物からエッセンシャルオイルやアロマミスト、お香などをプロデュースしているHaya さんの蒸留体験ワークショップにお邪魔してきました!
香りのプロフェッショナルHayaさんで蒸留体験
実は私自身、香りの世界は今まで興味はあったものの、その奥深さから中々踏み込めずにいました。それがHayaのフレグランスデザイナーである中村さんとの出会いから一気に近い存在へ。昨年夏に渋谷ヒカリエで作品を共同出展させていただく機会があり、名古屋の企業展でもご一緒させていただきました。中村さんはその際に、ブース内にも香りを焚いてくださっていたのですが、これまたいい香り!香りにつられてブースを訪れてくださる方も沢山いらっしゃいました。私自身、慣れない出展で緊張もあったのですが、香りに癒されながら無事に会期を終えることができました。
Hayaでは普段、様々な植物やお花からエッセンシャルオイルの蒸留をされています。主に日本産の植物を厳選し、素材選びにはとことんこだわって、必要とあればあちらの山へ、こちらの畑へ。自分の目で鼻で確かめて、蒸留して、さらに確かなものにしていくスタイルでお仕事をされています。豊富な技術や調香のセンスも、そんなフレグランスデザイナーの中村さんの姿勢で培われてきたのだなぁと感心してしまいます。
今回体験したワークショップは昨年の暮れに参加したもの。
毎年12月に柚子の蒸留体験ワークショップを開催していて、その様子をお届けます。
大量の柚子の皮をまずはムキムキ
柚子の和精油は海外からも人気の、日本ならではの貴重な精油だそうで、文字どおり盛り盛り!!!の柚子とご対面。
これ、一回の蒸留で使う量です。
「まずはこの柚子の皮をムキムキするところからはじめましょう!」と聞いて、一瞬びっくりしたのち、ちょっと笑ってしまいました(笑)。
今回のワークショップ参加者は7名。みんなで力を合わせて、ムキムキムキ…
オレンジ色の皮の部分に油分があり、ここに香り成分が多く含まれているそうです。なるべく白い部分が薄くなるように、ムキムキ…
その間に、参加者同士わきあいあいとお話したり、中村さんから香りのこと、素材のことや蒸留の仕組みを教えていただいたりとしながら進みます。途中これまでに作られた、お茶の香り、桜の香りも嗅がせていただき、日本の植物の香りって本当に素晴らしいなぁ。と、どんどん魅力にはまっていく自分がいるのをしっかりと感じながら、とても楽しい時間を過ごしました。
さて。
最初はどうなることかと思いましたが、終わってみればあっという間!無事に全ての柚子の皮剥き完了です(拍手)
つくれる精油は、ほんのわずか
そしてミキサーで細かくした柚子皮を沸騰させたお湯と共に大きな釜へ入れ、蒸留開始!
独自で開発されたという特殊な蒸留機械で精油と水分に分離させていきます。
ゆずの香りが水分とともに水蒸気となり、この、くるくるとなっている管の中(外側に水が流れている)を通ることで温度が下がり、水とオイルが分離する、という仕組み。
…理科の実験室みたいですね!
この管を通っていく間、油分が光を受け、キラキラと輝いて、とても綺麗だったのが印象的でした。
そして、取れた精油がこちら。
あれだけのゆずを使って、この量!!
よく売られているボトルが小さい意味も頷けます。精油がいかに貴重なものか、肌で感じることができました。
ちなみに先ほど分離させた水分の方は、フローラルウォーターとして使うことができるそうです。精油とはまた少し違う、フレッシュで柔らかい香りがついていて、柚子の成分もしっかり入っているため、化粧水にして使ったり、加湿器に入れて使うのもおすすめなんだとか。
今回は、この貴重な精油と、フローラルウォーター、そして、皮をむいて残った柚子の実をを大量にいただきました。ジャムやドレッシングにしたりと、存分に楽しめそうです。
ワークショップ後は、中村さんがご用意してくださった自家製のゆずジャムや黒文字茶(黒文字は日本に昔からある樹で精油の原料です)でリラックス。娘さんが焼いてくださったゆずシフォンケーキなど、たくさんのおもてなしをいただいて楽しい時間を過ごしました。
この時間にも、ヒノキや黒文字、レモングラスにローズマリーなど、原材料である植物への思いを熱く語られていた中村さん。自然や植物への愛が深まり、香りの世界を存分に楽しめた一日でした。
“香り”がもたらす豊かな暮らし
Hayaでは、無農薬・自然素材から香りを抽出し、独自のブレンドで香りをつくりだしています。蒸留からブレンド、ボトリング、パッケージデザインまで自社で行っているため、世界観が統一されているのも素敵です。パッケージデザインは、香りをイメージした絵画を描くところから始まるのだとか。
また、蒸留によって出る残渣も無駄なく最後まで活用できるようにと、草木染めの試作を進めているそうです。優しい風合いのスカーフなど、今後アイテムが追加されるのが楽しみですね。
中村さんとの出会いのおかげで、私も今では夜寝る前と寝起きに、シュッとヒノキの香りを嗅いでリラックス&リフレッシュするようになりました。お仕事に集中したい時や気持ちを切り替えたい時は、シナモンの効いた香りのミストをシュッ。すっかり香りが身近になったような気がします。
こうして、暮らしの中で、気分やシチュエーションに合わせて香りを選んで楽しむというのも、とても豊かなことだと思います。
今回の記事でご紹介した蒸留体験ワークショップは、ゆずの他にもレモングラスやローズなど、その時々で素材を変えて開催されているそうです。出店情報なども合わせて、詳しくはHaya ホームページのNews/Blog からチェックしてみてくださいね。