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自給自足生活をするお宅の子どもの言葉から教えてもらったこと。

先日、BSで放送されていたテレビ番組『自給自足ファミリー2023  秋』を見た。

紹介されていたなかの1組が、長野県の村に親子3人で暮らすご家族。ご両親は同じくらいの世代で、ご息女は12歳。うちの田舎もかなり山奥なので、ちょっとやそっとで驚きはしないが、やはりぽつんと一軒家レベルになってくると、生活の利便性において大変なんじゃないかという意味でびっくりせずにはいられない。

こちらのご家族が暮らしている村は、信号もコンビニもないのだそう。娘さんは初めて信号を見たとき「赤色」の意味がわからず、そのまま横断歩道をすたすた歩いてわたりそうになったところをお母さまに止められ、初めて「止まれ」の意があると知ったのだとか。

自給自足ファミリーと紹介されているくらいなのだから、お米や野菜はもちろん、味噌・柿酢・マスタードなどなど、調味料までほとんど手作り。

親御さんはともかく、娘さんは田舎暮らしが退屈じゃないのかなと疑問がよぎったが、楽しいと感じているのだそう。理由は、都会の子には味わえない楽しみがあるから。自分はその逆に感じていた小学生だったため、子どものころから自然に対する愛があることに目を丸くした。

彼女は学校から帰るやいなや、ランドセルを置いて家のお手伝いを開始。親御さんから「やってね」と言われて動くのではなく、自発的にやるのだから立派。刈ってある稲を干したり、蒔割りをしたり。さらにはお風呂掃除まで! 次から次へとよく働く姿を見てスタッフが感心していると、「お手伝いだとは思っていない」とのこと。

ええっ、そうなん?? 番組スタッフが「じゃあ何なの?」と、まさにわたしも聞きたかった質問をしてくれた。すると返ってきた答えは、「生きるためにやるべきこと」。目の前にいるお母さまとスタッフから上がったのは、「おーっ!」という感嘆の声。もちろんテレビを見ているわたしも、まったく同じ。

自分が子どものころ、こんな言葉は絶対に言えなかった。親に「日曜は稲刈りを手伝って」と言われると「勉強あるから無理」と抵抗するも、「いつもたいしてしてやってないやん」と言われ、結局駆り出されるハメに。祖母に野菜出荷のお手伝いを頼まれれば、「絶対にいや」と言って怒られるなど日常茶飯事。いくら振り返っても、反発していたことしか思い出せない。この違いたるや、一体なんなのか。

うちはもともと自給生活を目指していたわけではなく、代々田畑を受け継ぎ、たまたまそんな暮らしになっているだけ。しかし、自給自足を理想として移住を決意し、田舎の生活を心から楽しんでいるご両親のもとで育ったお子さんたちの口からは、同じような言葉がすっと出てくるのかもしれない。

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