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東京都知事選挙2024区別得票率を解析してみた~後編~

2024年東京都知事選挙における各候補者の23区別の得票数とその区の統計データの相関を調べてみました。後編です。
前編では高齢化率、年収、学歴などを調べました。後編では社会サービスの状況などを調べます。

認可保育園倍率

認可保育園0歳児定員に対する0歳児人口の倍率。高い区の方が保育園に入りにくいことになる。
小池氏は保育園倍率の高い区で高い得票率でした。弱い相関でした。
安野氏は保育園倍率の低い区で高い得票率でした。弱い相関でした。
石丸氏、蓮舫氏、田母神氏、暇空氏、内海氏、桜井氏、中松氏は得票率と保育園倍率に相関はありませんでした。

区民1人あたりの図書貸し出し数

この項目は全体の選挙投票率と正の相関がありました。図書貸し出し数が多い区では選挙投票率が高い傾向があることが他の私の解析で分かっています。

安野氏は図書貸し出し数の多い区で高い投票率でした。
桜井氏は図書貸し出し数の少ない区で高い投票率でした。
小池氏、石丸氏、蓮舫氏、田母神氏、暇空氏、内海氏、中松氏は図書貸し出し数と投票率に相関はありませんでした。
人口1万人
田母神氏、安野氏、中松氏は医師数が多い区で高い得票率でした。
小池氏、石丸氏、蓮舫氏、暇空氏、内海氏は医師数と得票数に相関はありませんでした。

ワクチン接種率

まず最も直近の令和5年開始新型コロナワクチン接種率(65歳以上)を見ていきましょう。このデータを採用した理由は高齢者はより接種が推奨されており、その上で接種していない人を計測するためと、高齢者の方が圧倒的に接種率が高く、全体で統計を取ると高齢化率の影響を受けてしまうためです。

杉並区、江東区、文京区が接種率上位、港区、目黒区、千代田区、渋谷区が下位でした。
田母神氏、内海氏はコロナワクチン接種率の低い区でより高い得票率でした。
小池氏、石丸氏、蓮舫氏、安野氏、暇空氏、桜井氏、中松氏はワクチン接種率と得票率に相関はありませんでした。

ちなみに全年齢でのワクチン接種率は以下の通りです。

高齢者ではワクチン接種率が高く高齢化率が高い区ほど接種率が高い気がしたので、年齢補正をしてみましたがあまり変わりませんでした。

ちなみにちなみに年齢補正をした上でワクチン接種率と得票率の相関を計算してみましたが、65歳以上に絞った時と同じ結果が出ました。

次に他のワクチンについて、ということでMRワクチン(麻疹/風疹)について調べてみました。MRワクチンについては基本的に2回の摂取が推奨されており2006年より2回接種が開始されています。
mRNAワクチンであるコロナワクチンの忌避をしている人についても生ワクチンであるMRワクチンについては違う傾向が見られるかもしれません。

上位は千代田区、板橋区、中野区、下位は港区、渋谷区、目黒区でした。渋谷区、目黒区、港区についてはコロナワクチンと同様でしたが、コロナワクチン接種率が低かった千代田区はMRワクチンについては高い接種率でした。
石丸氏、内海氏はMRワクチン2回接種率の低い区で高い得票率でした。
暇空氏はMRワクチン2回接種率の高い区で高い得票率でした。
小池氏、蓮舫氏、田母神氏、安野氏、桜井氏、中松氏はMRワクチン接種率と得票率に相関はありませんでした。

税金未納額

次に特別区民税未収入額 いわゆる区民税の滞納額です。

最も未納が多いのは世田谷区、もっとも少ないのは文京区でした。

収入が大きければ納める区民税も多くなりますのでその分滞納額も多くなる可能性があるかと思い、念のために平均年収と税金の滞納額を比較してみましたが

有意な相関は見られませんでした。右下の平均年収が低いものの滞納額が多いのは足立区で、左上の平均年収は高いものの未納が少ないのは千代田区です。

蓮舫氏、内海氏は区民税未納額が多い区で高い得票率でした。
暇空氏は区民税滞納額が少ない区で高い得票率でした。
小池氏、石丸氏、田母神氏、安野氏、桜井氏、中松氏は未納額と得票率に相関はありませんでした。

まとめ

この他にも遊びでいろいろ解析して一部有意差が付いたものももありましたが(人口10万あたりのスターバックス店舗数とか因みに有意差ある候補者もいました)、以上が私が今回解析した結果になります。
以下で各候補者ごとにまとめていきます。

小池百合子氏


小池氏がより多く得票した区では
・高齢化率が高い
・単身者が少ない
・平均年収が低い
・大学進学率が低い
・私立中学進学率が低い
・保育園に入りにくい
といった特徴が見られました。

石丸伸二氏

石丸氏がより多く得票した区では
・高齢化率が低い
・平均年収が高い
・私立中学進学率が高い
・麻疹風疹ワクチン接種率が低い
といった特徴が見られました。

齊藤蓮舫氏

蓮舫氏が多く得票した区では
・区民税の未納額が多い
といった特徴が見られました。

田母神俊雄氏

田母神氏が多く得票した区では
・昼間人口が多い
・高齢化率が低い
・単身者が多い
・平均年収が高い
・大学進学率が高い
・私立中学進学率が高い
・人口当たり医師数が多い
といった特徴が見られました。

安野貴博氏

安野氏の高い得票率の区は
・昼間人口が多い
・高齢化率が低い
・単身者が多い
・平均年収が高い
・大学進学率が高い
・私立中学進学率が高い
・図書貸し出し数が多い
・保育園に入りやすい
・人口あたりの医師数が多い
といった特徴が見られました。

水原清晃(暇空茜)氏

暇空氏が多く得票した区では
・単身者が多い
・麻疹風疹ワクチンの接種率が高い
といった特徴が見られました。

内海聡氏

内海氏が多く得票した区では
・高齢化率が高い
・単身者が多い
・平均年収が高い
・大学進学率が高い
・私立中学進学率が高い
・区民税の未納額が多い
・コロナワクチン接種率が低い
・麻疹風疹ワクチンの接種率が低い
といった特徴が見られました。

桜井誠氏


桜井氏が多く得票した区では
・高齢化率が高い
・平均年収が低い
・大学進学率が低い
・市立中学進学率が低い
・図書貸し出し数が少ない
といった特徴が見られました。

中松義郎(ドクター中松氏)

中松氏が多く得票した区では
・昼間人口が多い
・高齢化率が低い
・単身者が多い
・平均年収が高い
・私立中学進学率が高い
・人口あたりの医師数が多い
といった特徴が見られました。

最後に

以上で解析を終わります正直なところ統計というのは結果の解釈がすべてな所があります。
それぞれの項目が何を示しているのかを読み解くのは難しいですし、交絡バイアスも多分に含まれていると思います。
また各候補者の区間の解析であって、そもそもの得票率が異なる候補者間の比較はできないと思います。
ただし出てきた結果をみてなんとなく納得するところがあるもの事実。
皆さんも是非ご自分で気になるデータを解析してみてください。
今回の統計解析はGraphPad Prismを用いて行っています。
また元となった統計データは以下に示す通りです。


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