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大黒柱の素質があった私。猫被り彼女〜大黒柱女爆誕までの歴史

「僕が仕事辞めて専業主夫になる!
みたにちゃんの苦手な料理だって全部僕が毎日やります!」

ある日の彼のこの提案により私は大嫌いな料理から解放され、その代わりに我が家の稼ぎ頭になることとなります。

数年前は家事をして彼の帰りを待つよくある良い彼女をやっていました。(というか頑張って演じていた)

そもそも家でおとなしくルーティンをこなせるタイプではない自分と、
可愛い彼女でいたいと思う自分とのせめぎ合いの心情はこんな感じでした。




筋金入りの(?)殿様体質

学生時代からなぜだか私は専業主婦に憧れたことがなく、人に養ってもらって生きていくなんてそんなの不自由だ!毎日家でごはんをつくって主人を待ってる自分なんて自分じゃない!誰かに守られるなんて嫌だ!と思うようなやつでした。

単純に料理が下手くそで美味しいものができなくて成功体験を積めず料理嫌いになったということももちろんありますが、
料理は女がするものだ、料理ができてこそ良いお嫁さん、合コンでは料理できるアピールしとこう、みたいな俗世間の風潮にも苦手意識がありました。

むしろ、結婚する人の収入を超えたいとか自分はバリバリ稼いでなんなら養う側になりたいとかそういうスタンスでいました。

私の母もそういうタイプだったことも大きいかもしれません。
母は明るくて男勝りな性格でした。
父は尻には敷かれていなかったが、家族内では母のことを殿様みたいなやつだと笑い合っていました。

私は自分のことは殿様みたいだとは思わないけれど、三歩下がって歩くような性格では絶対にないので、そこは自分にも少し遺伝したかもしれないなと思うことが多いです。



お手本彼氏と猫被り彼女

…だというのにここ数年の自分ときたら。

数年前、可愛い彼女になりたかった私はいつしか本当の自分との戦いに悩まされるようになりました。

彼は気前の良い人なので外食に行ってご馳走してくれることもしばしばあり、

ご飯をつくったら感謝してくれるし、やる気なさげにしていたらどっか食べに行く?と言ってくれるし、洗い物やゴミ出しなどできる家事はやってくれていました。

仕事帰りに何かおつかいはないかと聞いてくれるし、仕事が早く終わった日はごはんをつくってくれることも。

Twitterで見るようなモラ夫みたいなやつとはかけ離れた優しい彼に恵まれて自分は幸せだなと確かに思う一方で、それでも、このままだとこの先の人生ずっと日々自炊ベースで節約しないといけない、そしてその自炊担当は私ベースであることにも変わりはない。

食費を考え、日々献立を考え、仕事帰りにはスーパーに寄るルーティンからは逃れられない。

仕事から帰ったら罪悪感なく何も考えずにテレビやスマホを見てだらだらしていたい。

(しようと思えばできていたが当時の私は頭が堅かった。彼に愚痴をこぼせば全然手伝ってくれたと思うが、ひとりで頑張らなきゃ!と思っていた。若い。)

こうして思い返してみると、自分の料理嫌いの原因は、料理をする作業が単に苦手ということよりも、家でおとなしくしていなければいけない立場にいる現状の自分が嫌だったからなんだなと思います。

理想の自分と現実の自分の乖離。

理想に近づくためにどうしたらいいかわからない、自分自身を変えられないもどかしさと戦っていました。



考えすぎて生命倫理

そんなこんなで、彼のことは大好きだし一緒に暮らしたいけれど、今の自分およびライフスタイルには不満がありました。

これって自分に力がないからなんじゃないか?
金!!!財力!!!経済力!!!
メイドさん雇えるくらいのお金があればなぁ。

でも食事って生きてく上で絶対欠かせないことであって
生きてる以上しぬまで毎日必要なことであって
そこに大金かけるって大富豪にならないとできなくない?
料理が好きな人って人生得しすぎじゃない??
てかサプリとかドリンクとか注射とか、宇宙食とか完全食とか。
そういうのって一般人が買えるようにはまだ開発されないのかな??
なんでこんなに技術が発達してるのに食事ってこんなに面倒な方法しかないんだろう??
いや自分が知らないだけで大富豪の人とかはそういうのも取り入れてるのかな??
いやそもそも食べることって生きることなんだからそれを技術によって人工的に簡略化しちゃったり代替できるようになってしまうとそれってもう生き物ですらなくなってしまうのでは??
生命??倫理??シンギュラリティ、、、??

こんな感じで考えすぎてあらぬ方向に思考が血迷ったりもしていました(笑)

そんなこと考えても解決には繋がるわけもなく、いつも通りスーパーに行く日々が続きました。

一方で、私はパートタイムで働く傍ら、個人で事業をしており、彼との同棲から2年が経とうとしていた頃、努力が実り収入がぐんと増え、なんと彼の収入を超えることができたのです。

そしていろいろあり、彼はその当時の仕事を続けるや否やで考えなければいけない時期にさしかかっていた頃でした。



猫、取れる

ちなみに彼の当時の趣味はパチンコ(笑)
私は特に行くなとは言っていませんでしたが、ほどほどにするように言う私をよそに内緒でパチンコに行ったりして、お金を持って帰ってくるならまだいいもののボロ負けして帰ってくることもしばしば。

そんな時間も金も脳細胞も無駄にしてる暇あったら、ごはんつくってくれない???!!

相手に強く言うことが苦手な私はそう内心では思いつつも、言葉には出さず、でも顔はムスッとしていたと思います。

自分は前よりも稼げるようになった。

それでもやっぱり毎日の食事を人にやってもらうほどの経済力はないし、そもそももっと良い方法があるのではないか、でもどうしたらいいかは思い浮かばない、このままでは私がフラストレーションを抱え込みながら料理をし続けなければいけない事実は変えられない、どうして自分は変われないのか、もどかしい。

そこに、大好きな彼ではあるが、ここのところ頭空っぽでギャンブルに通う男。

私はいつものように食材を買って家に帰り、私より先に帰宅してソファでスマホ片手にごろついている彼を見たある日、静かにキレたのでした。



「じゃあ、僕が仕事辞めて専業主夫になる!
みたにちゃんの苦手な料理だって全部僕が毎日やります!」

彼の提案にははじめは少し戸惑いましたし、決断を出すのに何日もかかりましたが、この提案のおかげで私はささいな苦悩から脱却し、現在の生活スタイルに落ち着いたのです。

私は大黒柱であろうとなんだろうと、一緒に生活する、ということは苦楽を共にすること、楽なことも面倒臭いことも共有することだと思っています。

例えば、料理は何か記念日には私が何かつくる!と手を挙げるし、もちろん彼の体調がいまいちなときや都合が悪い日なども。

洗い物やごみ出し、ペットのお世話、こまかな掃除など自分にできることはやるようにしています。
(とにかく毎日の料理が嫌いだけれど、それ以外の家事はわりと好き)

生活費を全部負担しているからと言って、全部丸ごと家事を任せるなんてそんな亭主関白?いつの時代?みたいなことはしたくないし、そもそもそんな味気のない、温度のない生活なんて嫌ですよね。

自分は稼ぎまくってふんぞり返りたいとか殿様になって優越感に浸りたいとかいう願望はなく、とにかく毎日家で苦手なことをして誰かを支えるみたいな立場が嫌だったんだなぁと。

大黒柱になりたかったんじゃなくて、ザ・奥さんになりたくなかっただけなんだなと今になって思います。

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