ゾンビ時代小説まとめ



はじめに

 『歴屍物語集成 畏怖』が発売されたこともあり、ここで自分のとこのブログでこれまでに取り上げたゾンビ時代小説を振り返ってみるのもそれなりに有益(?)かな、ということで、ゾンビ時代小説に関する過去記事まとめです。

 正直なところ、自分のブログの過去記事のまとめというのは気が引けるものがありますが、そこそこ長期間運営しているからにはそれなりの蓄積があるもの。少なくとも長編についてはこれまで発売された作品の九割は押さえているのではないかと思います。

 なお、ここでいうゾンビ時代小説は、原則としてゾンビが(敵キャラの一人や敵キャラの使う術として)作中に登場するだけではなく、物語において中心となるとなる作品を挙げています。あくまでも原則として。

ゾンビ時代小説特集

 さて、当ブログで大々的にゾンビ時代小説を扱ったのは14年前の2010年。ゾンビ時代小説特集として以下の五つの作品+αの記事を書きました。

『神州魔法陣』(都筑道夫)

『関ヶ原幻魔帖』(火坂雅志)

『あやかし同心 死霊狩り』(加納一朗)

『魔剣士 妖太閤篇』(菊地秀行)

『幕末屍軍団』(菊地秀行)

 そして最後に無駄に熱く語ったまとめ。

 実は最初の『神州魔法陣』は、思い切り冒頭に挙げた原則に抵触しているのですが、それでもここで取り上げた理由はまあ記事をご覧ください。
 五作品ですがこの時点でのほぼ重要作品は押さえたラインナップですし、「ゾンビ時代小説特集を終えて」はそれなりに面白いことを書いていると思います。

 なお、『幕末屍軍団』の短編版については、この特集以前に以下で取り上げています。

「幕末屍軍団」(短編)(菊地秀行)

その後の作品たち

 これ以降は基本的に刊行されるたびに、単発で作品を紹介してきました。

『くノ一秘録』(風野真知雄)

 その中でも最も重要かもしれない、くノ一vsゾンビの『くノ一秘録』三部作の紹介はこちら。

『くノ一秘録 1 死霊大名』 戦国ゾンビー・ハンター開幕!

『くノ一秘録 2 死霊坊主』 死霊vs死霊の地獄絵図

『くノ一秘録 3 死霊の星』 妖星堕つ、そして第三の死霊

 内容的にはいわゆる「第一部完」なのですが、もし続いていたらとんでもない作品になっていたのではないか、という可能性を見せてくれた作品でした。

 その他、如何にも続きそうで続かなかったのが以下の作品。脱力もののタイトル(この時期の作者の作品ならではですが)ながら、なかなかシビアな作品でした。

『新選組!!! 幕末ぞんび 斬られて、ちょんまげ』(高橋由太)

一方、今回まとめるまでゾンビものだったと忘れていたのはこの作品。

『松井清衛門、推参つかまつる』(山田正紀)

 それもそのはず、怪獣時代小説(このジャンルもいつかまとめたい)枠だったのですが、ゾンビ要素も大きいという、不思議な作品です。

『百夜・百鬼夜行帖』(平谷美樹)

 そしてもしかしたら日本最長のゴーストハンター時代小説シリーズ、『百夜・百鬼夜行帖』でも第12章(本シリーズは一章六話)がゾンビもの。

平谷美樹『百夜・百鬼夜行帖』 第12章の1『犬張子の夜』 第12章の2『梅一番』 第12章の3『還ってきた男(上)』

平谷美樹『百夜・百鬼夜行帖』 第12章の4『還ってきた男(下)』 第12章の5『高野丸(上)』 第12章の6『高野丸(下)』

 シリーズものの一章らしい派手さに加えて、作者らしい伝奇性とロジカルさが印象に残るエピソードでした。

その他の作品

 このほか、色々あってまだ取り上げられていないのは、森晶麿の初期作品にして怪作『奥ノ細道・オブ・ザ・デッド』(これは歴史改変ものの枠では、という気もしますが)くらいでしょうか。

 また、ゾンビ時代小説特集で触れているように、ゾンビメインではないのでここでは外しましたが、荒山徹『魔風海峡』は、時代小説史上に残る最低(褒め言葉)のゾンビ禍が描かれる作品です。(タイミングが合わずブログ記事はなし)

 もう一つ、中見利夫の暗号伝奇時代小説(?)ものの蒼海&友海シリーズの一つ『軍師の暗号』は、これもゾンビメインではないのですが、終盤のゾンビ(というかアンデッド)軍団大暴れは印象に残ります。

「軍師の秘密」 恐るべき勘介の暗号


 というわけで、まとめてみると結構な数のあるゾンビ時代小説まとめでした。

 そして『歴屍物語集成 畏怖』に続く!


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