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セクシャルマイノリティが住まい探しに直面する2つの弊害

異性は歓迎なのに同性は敬遠!?
住まい探しのカップルの格差

「お二人の関係性は…?」。これは仲睦まじいカップルが不動産屋に出向くと、必ずと言っていいほど聞かれる質問のひとつです。男女のカップルであれば、「いいですね~」「うらやましいですね~」などと会話が明るく弾むものですが、それが同性同士のカップルの場合はどうでしょうか?「その場の空気が重くなった」「不動産業者に困惑された」さらには、「断られた」といったネガティブな体験談も決して少なくありません。カップルにとっての住まい探しは、本来ワクワク感に満ちたとってもハッピーなライフイベントであるはずなのですが...。セクシャルマイノリティ(LGBTQ)にとっての住まい探しには、まだまだハードルが高いイベントであるといった現実が存在しています。しあわせの形は人それぞれと言われる社会において、異性同士のカップルは歓迎なのに、同性同士のカップルだとなぜ敬遠なのか?その背景と要因を考えていきたいと思います。

LGBTQ=変わり者?
リテラシーの低さが偏見と差別へ

日本におけるLGBTQの割合は、おおよそ10%に上ると言われており、これは利き手が左手の人の割合に相当するほどの数字。えっ、そんなに割合が高いの?と多くの方が感じたのではないでしょうか。それは、自分自身がLGBTQであることを「いえない」人が多くいることの表れ。とくにLGBT法整備に未だ足踏みをしている日本においては、オープンにしにくい傾向が強いと感じています。その要因として、LGBTQへのリテラシーの低さが挙げられます。たとえば、「ゲイ」や「ホモ」といった言葉が笑いの対象になる事や、他人に対する冗談や陰口に使われる風潮。「あのアパートに住んでいる人は◯◯らしいよ…」。このような噂話が広まることで、物件の価値を下げてしまうことを恐れている大家さんにもいるくらいです。LGBTQ=変わり者。このような偏見や差別こそが、同性カップルの住まい探しにおける大きな弊害のひとつではないでしょうか。

カップルなのに友人って??
ルームシェアは難しい…

もうひとつの弊害は、「ルームシェア」の問題です。ルームシェアとは家族以外の同居人と共同生活をする居住形態をいいます。海外ではよく見かけますね。初期費用やランニングコスト等の金銭的な負担が抑えられることなど、入居者にとっては非常に大きなメリットがあります。しかし、それぞれが家賃を分担して支払うことでの滞納や早期退去への懸念、また同居人同士の争い事など、大家さんにとってさまざまなリスクが発生するため認められないケースがほとんどです。このようなことから、そもそも同性の場合は、カップルに限らず友人同士でも賃貸の契約はハードルが高いという前提があることを理解しなくてはいけません。日本では同性婚が法律で認められていない今、同性カップルの場合はルームシェアの定義に当てはめられることが多いのです。このように「カップルとして扱われない」といった現実も存在しているのです。男女のカップルであれば問題にはならないのですが…。

私たちに必要なアクションは
「LGBTQフレンドリー」の表明

カミングアウトとは、本来は自分が同性愛者であることを表明するときに用いる言葉です。偏見や差別への不安など、カミングアウトには多大な勇気が伴うことを理解しなければいけません。同性カップルにとっては、不動産業者に相談すること自体が高いハードルと思われているなか、私たちがとるべき最も必要なアクションは何か?それは「LGBTQフレンドリーである」ことを表明すること。「あなたたちを理解していますよ」という意思表示を私たち不動産業者側から率先して発信することが重要だと考えています。まずは店頭やホームページ等に分かりやすく明記し、同性カップルが相談しやすい環境づくりが第一のアクション。「LGBTQフレンドリー」とは、LGBTQの方と真摯に向き合い、事情をきちんと理解し、寄り添って不安を解消させること。
性別にかかわらず、全てのカップルに幸せな住まいが提供できるよう社会に呼びかけ、努めていきたいと思います。

まとめ

1.同性カップルが敬遠される現状を知ろう
異性同士のカップルは歓迎なのに、同性同士のカップルだとなぜ敬遠なのか?その背景と要因を知りましょう。

2. LGBTQへの偏見をなくそう
約10%の方がLGBTQといわているのに、いまだに偏見や差別を持つのは時代遅れです。

3.ルームシェアも簡単ではない
同性の場合は、カップルに限らず友人同士でも賃貸の契約はハードルが高いと現状を知ってください。

4.「LGBTQフレンドリー」を表明する
「あなたを理解しています」という意思表示を、不動産業者側から率先して発信することが重要です。


銀座の不動産会社「株式会社東京中央建物」社長。”多文化共生社会への貢献゛を掲げて、外国人に向けたアパート探しの事業を手がけています。マイノリティの立場で考え、誰ひとり取り残さない賃貸の実現を目指していきます。


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