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搾取が、怖いんだ。

約2週間前に映画「ラストマイル」を観てきた。

野木脚本が好きなので映画館まで足を運びましたが、まあ面白かった。
いろんな感想はあるけど、強いて言うと、野木さんは「搾取」に敏感な方だなと思う。

表には目立たない搾取に。
市井のひとへの搾取に。

例えば、逃げ恥では夫婦間の搾取。
MIUでは外国人労働者への搾取。
そしてこの映画は、ラストマイルを担う宅配業者への搾取。

恥ずかしながら、逃げ恥で初めて「搾取」という言葉を知りました。
その小さくてじわじわと侵食してくる存在に気づいたのは、私が医療専門職から離れたのが大きいなと思う。
医療の場面で搾取なんて、意識することはほぼなかった。
零細企業でパートで働き、労働の末端を見るにつけて知るようになった。

まさに、今感じていることだ。
末端の人たちが搾取されているなと。
十分、生死に関わることだ。
だから、映画でも宅配業者の親子が一番印象的だった。

「事実は小説よりも奇なり」とは言うが、事実は小説よりも毒があって悲しい。
私が感じていることは一握りに過ぎず、もはや世の中は搾取で労働や生産が成り立っていると思えてしまう。

映画に出てくるブラックフライデーも、ファストファッションも、その他日本企業の海外生産も。
安価なモノは末端の安い賃金の上で、上層部のお給料も末端の安い賃金の上で。

エアコンの取付業者に聞いた話。
今、エアコンの寿命はわざと短くなっているそう。
買い換えの回転を早くするため?
エコの部分を持ち上げて良い面を見せて、労働を増やすことにはなるけど、品質や賃金はどうだろう。
エアコンだけじゃないと思う。

そうやって人々は搾取されているが、金額や利便性を重視する現代の人々は気付かなかったり、わざと知らないフリをする。
だから、モノが増え、ゴミも増える。
ホント、人間のエゴで地球は回っている。

そして、うまく訴えられないのも現代の日本人。
大正デモクラシーのように主張の大波が起こらず、
SNSで愚痴って泡で消えていく。
(この、今書いているのもそうだなあ)
された側が心を壊さないでいいように退く形で終わっていく。
もしくは、心を壊して死んでしまう。

なんだか話が大きくなったのでこれくらいにするが、ラストマイルは、多分こういうことを言いたいんだと思う。
脚本を通して、末端を掬い上げている。


搾取だらけだ、怖いよ。


蛇足ですが、ブラックフライデー。
我が夫婦の新婚旅行は11月のハワイで、ちょうどアメリカのブラックフライデーの時期。
旅行の高揚感も相成り、アラモアナセンターで例外なく爆買いした。(当時はかなりの円高)
当時、日本にはその存在はなかったから、余計に得した気分になったんだと思う。
それが、ハロウィンと同じ感じで一気に日本に定着してしまった。
なんだかなーと、ECサイトや大型店舗の戦略に反対に冷めてしまい、最近はそういうセールの時期にはあまり買わないようになったのでした。


_終わり

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