見出し画像

サブ

昨年亡くなった母はエッセイを書くことが好きでした。そのエッセイの数と言ったら本を二、三冊出版出来そうなくらいの量で、母はそれを本化することが夢でした。

私はバレエで海外留学をしていて、それもかなり佳境に入った頃、母は長年勤務していた学校も
そろそろ退職引退を考えなければならない時期に差し掛かり、日々の寂しさからその気持ちを紛らわすためか猫を1匹飼い始めました。

その猫とは、
ある初秋の秋分の日も間近な頃、激しい雨と雷があった夕方にうちの裏庭の塀あたりから、その豪雨の音にも負けないくらいの叫び声をあげていたところ私に発見されました。一時帰国中だった私はその子猫を豪雨の中助けたらこの先どうなるかなどと考える間も無く、急いで裏の窓を開けて、
 「にゃんこちゃんおいで〜こっちだよ」とその子猫の声が聞こえる方に向かって呼んでいました。そうすると近くから、悲しそうな猫の声でウニャオ〜ンと返事があります。
 「どうしたの?」と私の大声に驚いた母もその場に現れ、子猫の叫び声を一緒に聞き、そうして家に飛び込むように現れたのが、小さくて白い子猫。塀にある飾り穴からひょこっと飛び出てきました。真っ白な子猫だけれど尻尾だけ茶虎の子猫は、ずぶ濡れでなんとも哀れに小刻みに震えていたのでした。
その日からこの子は、私達は家で飼う3番目の雄猫だったので、サブちゃんと呼ぶことにしました。

👇その後の写真

この記事が参加している募集

雨の日をたのしく

ペットとの暮らし

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?