ぎちぎちスケジュールのこと

わたしの推しは立派な人気俳優だ。お休みなどない。


推しはとってもとっても忙しい。イベントの前の日に別のイベントに出席し、舞台の本番中にドラマの撮影を行い、ほぼ毎月舞台に出演する。聞くところによると、1年以上先のスケジュールも埋まっているそうだ。どんどん新しいお仕事に挑戦していて、最近ではメディア露出も多いから中学生高校生のファンも多い。わたしの推しは本当に忙しい。

推しのおたくたちはそんな推しを心配する。お休み取れてますか?寝られてますか?心配です、体調に気を付けて、ちょっとは休んで…

わたしはそれをぼんやり遠くから眺めている。推しはなんだか忙しそうだ…。舞台でこれまで一度もしたことのなかったミスをしたらしい。前はよくしていた公演期間中のツイートがぱったり止んだ時期もあった。イベントではあまり喋らず、テンションが低かった。そう言っていると、他の俳優さんを推している友達に、あんたも心配してあげなよと言われた。心配。

たしかに、推しはぶっちゃけ、若手俳優といえるほどもう若くはない。界隈ではそろそろ「ベテラン」の枠に入る人だ。そう考えると、このスケジュールは無茶なものなのかもしれない。でもわたしは、今日の〇〇くん元気なかった?静かだったよね?大丈夫?とおたくに心配される推しはきらいだ。推しは芸能人だ。このお仕事を初めて間もないわけじゃない。自分の限界くらいきっと知っている。撮影の合間とか移動中とかマチソワ間とか、公にならない場所で疲れているのを出すのまでいろいろ言うつもりはないが、体調管理ぐらいできて当たり前なのではないかと思ってしまう。それが当然できたうえでお仕事の予定を組むものなのではないか。元気ないのを露骨に出さないでほしい。じゃなきゃそんなにぎちぎちにスケジュールを詰めるのはやめてほしい。

ここまでで分かっていただけるように、わたしは推しに「ちゃんとできないなら休んだら?」は提唱するが、推しを心配することはほぼない。むしろ、疲れてるのを前面に出すのは萎えるけど休みなく死ぬほど忙しくしていてほしい!と思っている。

わたしはなにも、「自分は推しに厳しいおたくなので✋」「あまやかしたりしないので✋」を気取って他のおたくとは違うアピールをしたいわけではない。本当のことを言うと良くないことではあるのだろうと思うのだけれど、不快になる人がいるのだろうけど、わたしは推しに板の上で死んでほしいのだ。休みなんてなくていい。仕事だけ舞台だけ愛して、一生そのままそこにいてほしい。



推しが好き。だからこそ、推しに人間で居てほしくない。今までさんざん本当の推しを知ることができないとを悲しんでおきながら、こんなことも考えている。だって人間じゃなかったら恋人がいたって結婚しない限りずっと隠しておかなきゃでしょう。プライベートなんてないフリしなきゃでしょう。きっとこの距離がちょうどいい。わたしが推しにりあこなのもこの距離であるからだきっとそうだ。

ずっと厄介なのは、「それでもちゃんと恋だもん。」とつぶやいているやつが心の中にいることだ。今日は、なんかぐちゃぐちゃな日です。夏がはじまりましたね。

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