響け!ユーフォニアム3 11話感想 久美子の青春の俯瞰図とその先

※正確なセリフを覚えられないので、変なところは目を瞑ってください
※原作未読です

いろんな登場人物が出てきたので、ずいぶん贅沢な回という感想がまずひとつ。ファンにとって、なかよし川再登場はご褒美だったんではないでしょうか。みぞれの希美まっしぐらなエンドカードも重たくなりがちな話に彩りを添えてましたね。

おとなになる、とは?

なんだかんだで家に返ってくる麻美子、そしてなんだかんだで「音大はないかなー」と本心を打ち明ける久美子。二人の関係性の強さを感じました。久美子は麗奈と関係性が結ばれていますが、元はといえば姉といっしょに演奏したくて楽器を続けていたのです。髪結いとメイクはまるで「おとな」になるための儀式めいていて、その光景の尊さにちょっと感動していました。

色々悩んで、上手く行かないことを上手く行かせたり、時にはありのまま受け入れたりして、乗り越える。それが「おとな」になることなのだと、麻美子の言葉どおりなのだとしたら、久美子はまさしくその過程にいるといえるでしょう。進路も、ソリの問題も。

11話は、総じてユーフォ3における久美子の青春の俯瞰図だったと言えるのではないでしょうか。

進路とソリ、2つの問題

麗奈との関係。これまで麗奈からもらうことが多かった久美子ですが、ここでは麗奈に「だって私にとって麗奈は特別だから」と、過去の麗奈からもらった言葉に意趣返しをしています。

麗奈にとっては、とにかく不安で不安で。大事な物相手には気が小さくなるところが麗奈の人間っぽさでもあるのですが、それゆえ「部長失格ね」がより一層心に響き渡るところでもあります。この言葉を放った麗奈の心中がいかばかりか察することは不可能かもしれません。不変の麗奈は、本気でそこで関係を絶とうとしていました。

でも、久美子が麗奈に返したことで、二人に、お互い与え合う関係が生まれました。久美子は素直ですが、律儀な割に無頓着だったりと抜けていて、だからこそ麗奈への言葉は、久美子がおとなになったんだなと、そう感じさせてくれるような、期待を持たせてくれる言葉でした。

前後しますが、みぞれは久美子が後輩として同じ大学に入るかどうか、久美子の進路問題に対して、「想像できない」と、刺すような鋭利な言葉を投げかけました。告げると言うよりも「あたかも事実である」かのように、渡した、そんな感すらありました。

ある意味、こういった言葉が一番刺激になるものです。10話のあすかの「一見突き放すかのような言葉」もそうです。

そんな中で、久美子は気づいてしまいます。ソリの問題で、真由を苦しめていたことに。でも、それはそれとして、受け入れるしかない。久美子は自分の責任において、真由の苦悩に対して答えを出さないという答えを出したのです。それもおとなになるということだと思います。

腹は決まらないが、肝は座った。久美子の決断は、決して無駄にはならないと思います。うまくなりたい、その先を見据えるようになったようにも思える久美子。スロースターターと言う向きもあるかもしれませんが、僕としては人よりスタート地点が後ろだったのかもと考えています。

久美子ちゃん、先生が向いているのでは?

さて、滝先生との会話です。

コンクール主義への葛藤について、滝先生の想い人が返したのは「石じゃない、人だよ」というものでした。これはそのまま受け取るのならば、人を育てているという意味だと思います。滝先生はその言葉を噛み締めているようにも、過去の自分を恥じているようにも感じられました。

久美子ちゃん、先生という職業が本当に向いていると思います。あれだけ人に寄り添えて、自分だけでなく全体のことを考えて発言できるようになった。それでいてエゴイストでもある点は、指導者という立場にはピッタリだと思います。なにより、滝先生と話が合うのが不思議だったんですが、滝先生の久美子への親近感は久美子のその雰囲気だったり姿勢だったのかもしれません。

ソリと進路。どっちも大事ですが、皆さんはどっちに重きを置いてユーフォ3を見ているでしょうか。長々と失礼しました。

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