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学校法人梅光学院事件(令和元年9月24日最高裁)

事案の概要

大学を経営する上告人法人から文学部特任准教授として雇用された控上告人が、(1)上告人法人が被上告人との雇用契約を終了したとの扱いが無効な解雇又は雇止めに当たるなどと主張して、上告人法人に対し、
〔1〕上告人法人における雇用契約上の地位の確認
〔2〕就労請求権に基づき、研究室の貸与、図書館の閲覧カードの交付、研究室等の利用妨害禁止
〔3〕雇用契約による賃金請求権に基づき、未払賃金及び遅延損害金の支払を求め、

(2)上告人P3が上告人法人の代表者として本件大学の執行部に対する反対活動を被上告人が主導したように扱って被上告人の雇止めを行ったことは被上告人の期待権又は准教授としての権利を侵害するものであると主張して、上告人法人に対しては、私立学校法29条、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条に基づき、上告人P3に対しては、民法709条に基づき、連帯して、損害賠償金及び遅延損害金の支払を求め、

第一審が、(1)〔1〕の請求及び(1)〔3〕の請求を一部認容し、その余の請求をいずれも棄却したため、被上告人が控訴し、上告人法人も附帯控訴したところ、

控訴審が、(1)〔2〕の請求を一部認容し、また、上告人P3は、上告人法人の代表者として、本件雇止めを行ったものであり、しかも、契約を更新する準備をしていながら、合理的な理由がないのに、濫用ともいうべき本件雇止めをしたものであって、被上告人の准教授としての地位を違法に侵害したものというべきであるとして、(2)の請求を一部認容し、その限りで第一審判決を変更したため、上告人らが上告した事案で、本件上告の理由は,違憲及び理由の食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって,明らかに上記各項に規定する事由に該当しないとして、本件上告を棄却した事例。

結果

棄却、不受理

理由

1 上告について
 民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告の理由は,違憲及び理由の食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
2 上告受理申立てについて
 本件申立ての理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。 

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