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セクハラは何回も繰り返されて良い行為なのか

1.セクハラは長時間かつ複数回ならはじめて降格可?!

 最近はフェミに染まりすぎたか、何か関連するニュースがあればすぐ気になる。ちょい前になるけど、2週間前の朝に、恒例のヤフーニュースチェックタイムにこの記事を見かけた。

 「パナソニックホールディングス傘下でIT事業を手がけるパナソニックコネクトが、1回でもセクハラがあった場合に降格を前提とする罰則を導入したことが20日、分かった。日本企業で最も厳しいレベルを目指したといい、専門家は『長期間や複数回のセクハラで降格することはあっても、1回で即降格は珍しい』としている。」

 ここでびっくりしたのは、この当たり前のような罰則の導入がニュースに取り上げられたことと、どこかの「専門家」の「セクハラは長時間や複数回ならはじめて降格可」の馬鹿発言だった。

 見た瞬間に怒りを覚え、「悪いことをした人を罰するために、弱い立場の人に、あと何人、あと何回ひどい目に遭わせないといけないんだ」って思った。

2.プラチナえるぼし(女性活躍推進)認定を受けた会社で起こった女性差別事件:「女性は子宮で物事を考える」

 自分が入社2年目の時にセクハラを受けたことを思い出した。

 本題に入る前に少し脱線するけど、私が勤めている会社は、プラチナえるぼし(女性活躍推進)とくるみん(子育てサポート)認定を数年前より継続して受けている会社です。プラチナえるぼしはえるぼしの中でも、「特に優良な取り組みを継続して行っている」会社です。新入社員の男女比率も私が入社した7年前からずっと半々だったし、世間一般から見れば、女性が働きやすい環境かもしれない。

 まず自分が2年目の時のことについて。
 当時は会社で航空機産業を担当していた。他社からの出向者Aさんと一緒にチームを組んで、日本各地の航空機関連のシンポジウムに参加したり、世界各地のエアショーに出展したりするような仕事をしていた。Aさんは奥さんもいて子どももいて、私とは15歳ぐらい歳が離れていた。
 彼の出向期間は1年間だったけど、ほぼ1年間一緒に仕事をした翌年の2月に、シンガポールエアショーに参加するために、二人でシンガポール出張をしていた。
 その出張の初日の夜に、マリーナベイサンズの裏の植物園で手を握られた。
 たった一瞬ですぐ私が離したけど、ショックだった。
 その先にあるのが2週間にわたる出張だった。もし彼の誘いに私が乗れば、私と楽しい2週間が過ごせるわけなのだ。何よりも1年間一緒に仕事を共にしてきた彼にそう思われていたことに対して悲しかったし、ムカついた。
悲しみと怒りの後に来たのが自己嫌悪:私は周りにとってそれだけの価値しかなかったのかって、思ったりもした。

 その後何とか出張を耐え、日本に帰ったらすぐ上司に伝え、一緒に担当していたイギリスのエアショーから彼をはずしてもらった。その1ヶ月後に彼の出向期間が終わり、部署からいなくなった。すぐ立ち直れるかと思ったけど、あれから丸5年経った今でもなぜか嫌なほど鮮明に覚えている(笑)
嫌なことは簡単に記憶から消えてくれないんだなって思った。

 私のこの経験はまだ、人によっては「ちょっと下心があるおじさんのあわよくばの過ち」と解釈できるかもしれないけど、もう1件、2年ぐらい前に先輩の身に起きたことだった。

 私の3個上で、インドに駐在している優秀な女性の先輩だったけど、私が名古屋に異動になった年の3月にインドで退職した。あまりにも急だったので、なんでだろうと思った。ほかの先輩から聞いた話によると、現地でセクハラを受け、会社の対処に不満を持ち、退職したそうだ。
 同じインドにいた、だいぶ年上の男性社員から「男は頭で物事を考えるけど、女性は子宮で考えるんだ」と言われたとのこと。
 今の時代において、こんないかにも女性差別、いかにもセクハラになる発言を、時と場所をわきまえず、軽々しくするおじさんはまだいるんだなと、失笑してしまった。
 その後その先輩が会社に対して、その男性社員の処罰を求めたようだが、会社としては具体的な罰則は特に下さず、うやむやにしようとしていたそう。結局その先輩が会社全体に対して失望し、転職することにした。

 最初の話題に戻るけど、結局、このようなおじさんたちへの罰則は今まであまりにもあいまいだったから、何回も逃げられたから、結局どの会社の管理層にいるのも「自分も同じ男として、同じような過ちをしてしまうかもしれない」と思いながらその「犯人」をかばうおじさんたちばかりだから、いつになっても差別はなくならないし、セクハラ問題は存在していると思う。

3.性的被害の被害者は、事態が耐えられないほどまで悪化していない限り、声を上げない

 「1回で即降格は珍しい」とあったけど、過ちを犯した人を罰することはごく当たり前のことじゃないの?被害者は何回も被害に遭わないと加害者が罰せられないわけ?
 結局このような性被害は、被害者は大概弱い立場になるので、ほぼ声を上げることができません。一度上げたら、もう耐えられないほどの状況だと考えていただきたい。

 うちのような、罰則すら設けられていない会社でさえ、プラチナえるぼし認定を獲得しているんだから、ほかの企業の状況は考えられないし、この認定の基準を疑いたくなる。

 この数十年で社会が変わった。変わったのが本音じゃなくて建て前。それで良いんです。本音はもう少し時間をかけないとなかなか変わらないので。
 昔はやって良いけど今はダメ。おじさんたちはまだそれに対して戸惑っているし、「ジェネレーションギャップ」という人もいるだろう。
 もしセクハラが発生したら、一度だけでも、何らかの形の罰則があるなら、建て前だけでも、これから徐々に変わっていくんじゃないかと、期待している。
 だから、パナソニックコネクト、Good Job!

4.不条理と戦おう

 最後に強調したいのは、決して自分の会社の悪口を言うためにこの文章を書いたわけではない。ちょっと前に人事課からハラスメント実態調査とハラスメント防止研修の連絡があったし、来年度から総務部に「ダイバーシティ推進室」ができるらしい。
(総務課長に聞いてみたところ、会社が行っている様々な取り組みを対外的にアピールする広報業務が主な仕事だそう。会社としては、もう十分に取り組んでいると思っている証拠だね(笑))

 誰よりもこの会社のことが好きだから、一緒に働いている先輩や後輩、上司が好きだから、だから変わってほしいし、良くなってほしい。

 この社会に理不尽や不条理が存在していても、誰も言わないと変わらないのであれば、私が言いたいし、戦いたいと思う。Me Too運動のように、仲間は色んなところにいると思うし、どんどん増えていくと思う。








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