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今を生きるはなし。

大きな窓から
老舗の年季の入った看板と眩しいくらいの灰色の空が見える。

季節は今ちょうど変わり目だ。
でも足早に行き交う人たちの首元には
あったかそうなマフラーがグルグル巻かれている。

きっと少しずつ、
でも確実に季節は前に進んでいて
ほんの少しそれに遅れながらわたしも前に進んでいる。

昨日のままじゃいいられないし
この瞬間も今は常に過去になる。

ひとつ残らず過去になる。
食べ残しはノーだ。貯蔵もできない。

好きなひととの楽しい時間も
悔しさに泣き喚いてもう立ち上がれないと思う夜も。

未来を見ることはきっと。
過去を振り切って進むことだ。

できることならそこに留まって
ぬくぬくあったまっていたいと思う時もある。

もう二度と
ここには戻りたくないと思う時もある。

それでも。
ここがどんなに居心地のいい場所だとしても。
ここがどんなに居心地のよくない場所だとしても。

連続している明日へ進むしかない。
未来の一瞬一瞬を
過去へと変えていくんだ。

二度と戻れないからこそ。
全てが過去になるからこそ。

今が光って見えるんだ。

二度はないと悟った瞬間に
今っていう瞬間が
キラッキラに輝きはじめるんだ。

毎日はそんな、
イロトリドリの宝石で溢れていて

それを集めた過去と呼ばれるカケラたちが
宝物箱の中でいつまでも光放つ
思い出になっていくんだ。

そう思ったらさ、
この寒々しく映る灰色の空も
すでに冷め切ったコーヒーも
墨が染み込んだこの右手の中指も
好きなひとからのLINEを待つ時間も

わたしの目の前に現れる
全ての瞬間が
美しく心に映って愛おしく感じるんだ。

わたしの今。

あなたの今、
この瞬間。


キラキラ光っていますか。


もし、
今はちょっと霞んじゃってるな
そう感じるひとがいるのなら

わたしのことばでほんのすこしでも
光を足すことができたら
嬉しいと思うのです。

そう願う今が
わたしにとっての光なのです。

ちいさな光を。
大切なあなたへ。

いつもありがとう
心からの感謝を込めて。
チョコレートの代わりに。

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          2022/02/14   ことば屋 美空



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